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ジャンヌ速報 ξ゚⊿゚)ξツンと星空と海風のようです

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ξ゚⊿゚)ξツンと星空と海風のようです 

ξ゚⊿゚)ξツンと星空と海風のようです


1 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:03 ID:3Ia+C9II0
―3月30日(金曜日)―

Boon『えっ! Shiちゃんって美府南高なのかお? 』

Shi『そうですよー。今度2年になるんです』

( ^ω^)「近くに住んでるだけでもすごい偶然なのに、同い年とはどんな奇跡だお」

そう呟き、ブーンはキーボードを叩く。

Boon『これはすごい偶然だお! 僕も4月から美府南高の2年だお』

Shi『えー! Boonさんって年上だと思ってましたよ~』

Boon『僕だってShiちゃんは年下だと思ってたお』

Shi『そんなに子供っぽいですか? 』

Boon『……見たこともないのに分かるわけないお。でも、敬語だったからなんとなく思ったんだお』

Shi『年上だと思ってたんだから仕方ないじゃないですか』

Boon『でも、Shiちゃんは普段から年下に見られるタイプっぽいお』

Shi『見たこともないのに失礼ですよ! そこまで言うなら直接会いませんか? 』

Σ(;^ω^)「ちょ、これフラグかお!!! 」

ブーンは震える手で返事を返す。





ξ゚⊿゚)ξツンと星空と海風のようです


3 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:05 ID:3Ia+C9II0
Boon『いいお。 明日の12時に美府駅の前の大きな街路樹で待ち合わせでいいかお? 』

Shi『いいですよ♪ じゃぁ、明日起きられなかったら困るからもう落ちますね』

Boon『あっ、ちょっと待つお。目印は何にするお? 』

Shi『そうですねー。入学式のときに入学生全員に配られた腕時計覚えてます? 』

Boon『あの校章が入ってるやつかお? 』

Shi『あれを右手首に付けて来るっていうのはどうですか? 』

Boon『おけおけだお。あともう一つ』

Shi『 ? 』

Boon『同い年なんだから敬語はやめてほしいお』

そこで、Shiのレスが途絶えた。

(;^ω^)「あれ? 僕、何かまずいこと言ったかお? 」

ブーンが不安になりかけたころレスが届いた。

Shi『うん。じゃぁ、また明日ね。Boon、バイバイ♪ ノシ』




結局ブーンはその日の夜、一睡もできずに夜を明かした。




4 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:07 ID:3Ia+C9II0
―4月9日(月曜日)―

―時刻・AM8:07―

('A`)「ブーンの野郎オセーな」

いつも待ち合わせているコンビニの前。ドクオは缶コーヒーを飲みながら、ブツブツとぼやく。

ξ゚⊿゚)ξ「いつもの事とはいえ、あの馬鹿何考えてるのかしらね? 」

('A`)「まったくだよ。十年以上の付き合いだが、あの馬鹿の思考回路はホントにわからんわ」

二人がブーンを見捨てて行ってしまおうかと思った矢先、
地面に落ちた桜の花びらを巻き上げながら疾走する男子生徒がいた。

⊂ニニ( ^ω^)ニ⊃「ブーーーーン!!! 」

男子生徒は二人の前に着くと急停止する。

( ^ω^)「ドクオ! ツン! おはようだお」




5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/31 04:08 ID:ADtnzsP/O
どうやら今日も眠れないようだな




 


7 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:10 ID:3Ia+C9II0
いつに無くハイテンションなブーンに、ドクオとツンの怒りは臨界点を突破した。

('A`#)「なにが『おはようだお』だ、ボケナス! 」

ξ#゚⊿゚)ξ「まずは、ごめんなさいでしょうが! デュクシ!! 」

ドクオの左ローキックとツンの右ストレートが同時にブーンを襲う。

( ゚ω(#)「ひでぶ! 」

('A`#)「始業式から遅刻する気か! 」

ξ#゚⊿゚)ξ「あんたと違ってこっちは皆勤賞狙ってんのよ! 」

( ;ω(#)「だからって、ツープラトンアタックは勘弁してほしいお」

('A`#)「な  ら  後  1  0  分  早  く  起  き  ろ  ! 」

ξ#゚⊿゚)ξ「ほら! 行くわよ! 」

三人は桜吹雪の舞い散る道を歩き始めた。




 


9 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:12 ID:3Ia+C9II0
ξ#゚⊿゚)ξ「だいたい、何で始業式から遅いのよアンタは! 」

時間的に言えば、まだ歩いても十分に間に合う時間だったが、
待たされた事が気に入らないツンは、まだ不満を漏らしていた。

( ^ω^)「最近ネトゲにハマッてて、徹夜でやってたんだお」

('A`)「あれ? お前『なかなかパーティ組んでもらえなくて面白くないお』とか言って無かったか? 」

( ^ω^)「そうなんだお。でも、最近始めたばっかりの友達が出来たんだお! 」

ドクオの疑問にブーンはうれしそうに答える。

ξ゚⊿゚)ξ「だからって、徹夜でやることも無いでしょうに。所詮、ゲームの中だけの友達でしょ? 」

( ^ω^)「それが、違うんだお! 実はその相手が同じ学校の同学年だったんだお! 」

('A`)「ほう、そいつはすごい偶然だな」

( ^ω^)「……誰だか知りたいかお? 」

ブーンはだらしの無い顔をさらに崩して、いかにも話したくて仕方ないといった態度でドクオに聞き返す。

('A`)「……聞いてほしいんだろ? めんどくせぇ奴だなおめーは」

もちろん付き合いの長いドクオやツンが、その態度に気づかないわけも無い。

(*^ω^)「そこまで分かってるなら聞いてくれお! その相手って言うのh……「おはよう! 内藤君! 」

ブーンが途中まで言いかけたところで、後ろから声を掛ける人物がいた。




 


11 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:14 ID:3Ia+C9II0
ξ゚⊿゚)ξ「 ? 」

('A`)「 ? 」

ツンとドクオが後ろを振り向くとそこには一人の女子生徒がいた。

( ^ω^)「お? しぃちゃん。おはようだお」

(*゚ー゚)「内藤君。今日起きられた? 」

( ^ω^)「何とか起きられたからここにいるんだお」

(*゚ー゚)「それもそうだね! 昨日は遅くまで付き合ってくれてありがとう」

( ^ω^)「お? レベル上げくらい、いくらでも付き合うお」

(*゚ー゚)「ホント? じゃあ、またお願いしてもいいかなぁ? 」

( ^ω^)「お安い御用だお! 」

(*゚ー゚)「ありがとう! じゃ、私は生徒会の仕事があるから先に行くね」

そういうとしぃは、三人を追い越し、しばらく先にいったところで立ち止まり振り返る。

(*゚ー゚)「内藤君! 同じクラスになれるといいね! 」

そして、一方的にそう伝えると桜並木を駆け抜けていた。




 


13 ◆DyhKUHe1jM [>>12あれとは別の世界の話]:07/10/31 04:17 ID:3Ia+C9II0
ξ゚⊿゚)ξ「今の隣のクラスの椎名さん……だっけ? 」

('A`)「ああ。……今の会話から察するに、オンラインゲームで知り合った友達って彼女か? 」

( ^ω^)「そうだお」

二人の問いかけにブーンは嬉しそうに答える。

ξ゚⊿゚)ξ「ゲームの中だけの付き合いにしては、随分親しげね」

( ^ω^)「ゲームの中だけじゃないお」

('A`)「あ? 直接会ったりしてたのか? 」

( ^ω^)「チャットしてたら、近くに住んでる事が分かったから直接会ったんだお。
      そうしたら、しぃちゃんだったんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「あんた、危なっかしいわね。それで変な詐欺とかだったらどうするつもりだったのよ? 」

(*^ω^)「リスクを恐れては宝物は手に入らないお。
       結果的に可愛いおにゃのこと出会えたからおkだお! 」

('A`)「……」

得意気に、そして嬉しそうにしぃと出合った経緯を話すブーンを、
なにか言いたげな顔で見ながらドクオは黙っていた。




14 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:19 ID:3Ia+C9II0
ξ゚ -゚)ξ「ふーん。なら勝手にすれば? 」

ツンはそんなブーンを冷ややかな目で見ると黙って歩くスピードを早めた。

(;^ω^)「お? ツン、どうかしたのかお? 」

ツンの不可解な行動に首を傾げながらブーンはドクオに問いかける。

('A`)「……なんで俺に聞くんだよ。しらねぇよ、ばーか」

不機嫌そうにそういうと、ドクオも歩調を早めた。

(;^ω^)「お? ドクオまでどうしたんだお? 」

ブーンは二人の態度に困惑しつつも少し前を歩く二人を追った。



その後、学校に着いた三人は同じクラスになり、
小1から続く、その連続記録が11に伸びたことを知る。

そして、しぃも同じクラスになりブーンは大いに喜んでいた。










 


16 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:22 ID:3Ia+C9II0
―4月27日(金曜日)―

新学期が始まって約一ヶ月。
そろそろ新しいクラスにも慣れ、いくつかのグループに分かれていく。
もちろん、大体は一年の頃に一緒のクラスで仲のよかったグループに、
新メンバーが加わる程度で分かれていくのがほとんどだ。

それはブーン達も一緒だった。
ブーン、ドクオ、ツン。この三人に新しくしぃが加わって一つのグループが出来上がっていた。

その頃には既にツンとドクオは「しぃ」と呼ぶようになり、
しぃもまた「ブーン」「ドックン」「ツンちゃん」と呼ぶようになっていた。

そんな桜の季節から新緑の季節に移り変わろうとする4月最後の金曜日の昼休み。

4人は昼食を取っていた。
そのとき、ブーンが一つの提案をする。

( ^ω^)「明日、みんなで遊びに行かないかお? 」




17 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:24 ID:3Ia+C9II0
('A`)「お前が、どこか行こうなんて言い出すとは珍しいな」

(*゚ー゚)「明日からGWだしね。いいんじゃないかな? 」

ξ゚⊿゚)ξ「いいけど、どこに行くの? 」

( ^ω^)「決めて無いお」

思いつきだけで言い出したらしく、ブーンは言い切った。

ξ゚⊿゚)ξ「てっきりどこ行くのか決めてから言ってるのかと思ったわよ」

('A`)「ブーンが考えて行動するわけねーだろ」

ξ゚⊿゚)ξ「そうね。ブーンを買い被り過ぎたわ」

(;^ω^)「ちょ、二人とも言いすぎだお」

ξ゚⊿゚)ξ「そんな事ないわよ。ねぇ、しぃ? 」

(*゚ー゚)「そうだね。ブーンって思いつきだけで行動するよね」

( ;ω;)「おっおっお、しぃちゃんまでそんな事言うのかお? 」




 


19 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:26 ID:3Ia+C9II0
('A`)「で? 遊びに行くのはいいけど、どこいくよ? 」

このままブーンをいじめたところで、話が進まんと言わんばかりにドクオが話を進める。

(*゚ー゚)「ねぇ、ツンちゃん。最近、美府海岸に新しいテーマパーク出来たよね? 」

ξ゚⊿゚)ξ「『VIPマリンパーク』だっけ? 確か今月の美府ウォーカーに特集が載ってたわね」

そういいながらツンはカバンを漁ると一冊の雑誌を取り出し、パラパラとページをめくる。

ξ゚⊿゚)ξ「あった。『水族館と遊園地を同時に楽しむ欲張りなテーマパーク! 』だってさ」

見開きのページを開き机の上に置くと四人は食い入るように記事を覗き込む。

('A`)「『海面スレスレを猛スピードで突き抜ける!
    海上ジェットコースター【海王・リヴァイアサン】』かー。これ乗ってみてーな」

ξ゚⊿゚)ξ「『水中パイプをゴーカートで駆け抜ける! 【SEA-1・GP】! 』
       へー、これ、水族館の水槽の中を走るんだ。おもしろそー」

(*゚ー゚)「ねぇねぇ、『全高75メートルの【大観覧車】! 夕焼けと輝く海の二重奏! 』だって」

三人はアトラクションを見て、感嘆の声を上げ……




20 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:28 ID:3Ia+C9II0
( ^ω^)「お?『シーフードピッツァがお勧め!
      海上レストラン【オーシャン・ブルー】』かお。これは美味そうだお! 」

一人だけ方向性が間違ってるヤツがいた。

(;゚ー゚)「……ブーン」

ξ゚⊿゚)ξ「……本当に、馬鹿ね」

('A`)「……まぁ、デブはピザでも食ってろって事だな」

( ^ω^)「お? 僕、何か変な事言ったかお? 」

もちろん、本人は間違ってることなんて気付くはずも無かった。



結局、『VIPマリンパーク』に行くことが決まったのと同時に予鈴が鳴った。




 


22 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:30 ID:3Ia+C9II0
―4月28日(土曜日)―

―時刻・AM8:05―

ξ#゚⊿゚)ξ「遅ーーい!! 」

待ち合わせの時刻を5分程過ぎた頃。美府駅の駅前でツンは叫んだ。

ξ#゚⊿゚)ξ「ねぇ、しぃ? 」

(;゚ー゚)「な、何? ツンちゃん」

明らかに不機嫌な顔でツンはしぃに話しかける。

ξ#゚⊿゚)ξ「昨日はブーンとゲームやった? 」

(;゚ー゚)「う、うん。でも、明日早いからって十一時にはやめたよ? 」

ξ#゚⊿゚)ξ「……あの馬鹿。いい加減に縁切ろうかしら」

ツンは一人息巻いていたが、ドクオがなだめる。

('A`)「アイツの遅刻なんて、今に始まったことじゃねーだろ? 少し落ち着け」

(*゚ー゚)「ねぇ、ドックン。ブーンてそんなに遅刻するの? 」

('A`)「学校行く時以外は、ほぼ毎回だな。学校行く時の待ち合わせだって七割は固い」

(;゚ー゚)「そんなに? 」




 


24 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:32 ID:3Ia+C9II0
予想以上の答えにしぃは驚きの声を上げる。

(;゚ー゚)「で、でも、それでなんで学校には間に合うの? 」

ξ゚⊿゚)ξ「それは、待ち合わせ時間を早めにしてあるからなのよ」

(;゚ー゚)「そうなの?! 」

('A`)「10分までなら遅れても、歩いて間に合う」

ξ゚⊿゚)ξ「走れば15分までなら、ギリギリセーフ」

('A`)「走るのだるいから10分までしか待たないけどな」

(;゚ー゚)「それで、置いて行かれたブーンは遅刻しないの? 」

ξ゚⊿゚)ξ「あの馬鹿。足だけは速いからね」

('ω`)「『僕だけなら、あと20分遅くても余裕だお! 』とか言ってたな」

ドクオがブーンの物まねをしながら答える。

(*゚ー゚)「あははは! ドックン、そっくり! 」

ξ゚⊿゚)ξ「もうちょっと、太れば完璧ね」

('ω`)「『そんな事無いお! 僕はピザじゃないお!! 』」

調子をよくしたドクオは更に物まねを続ける。




 


27 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:35 ID:3Ia+C9II0
⊂二('ω`)二二⊃「『ブーン! 』」

そこに同じポーズで疾走する人物が現われた。

⊂ニニ( ^ω^)ニ⊃「ブーーーーン!!! 」

ξ#゚⊿゚)ξ「『ブーン! 』じゃない!!」

猛スピードで走ってきたブーンの腹に、ツンのボディブローがめり込む。

( ゚ω゚)「ぶふぉ!!! 」

(;゚ー゚)「ブーン! 大丈夫?! 」

心配するしぃをよそにドクオはニヤニヤしながら、腹を押さえてうずくまっているブーンに近づく。

('A`)「なぁ、ブーン。昨日の夜、電話で集合時間何時っていったっけ? 」

(;^ω^)「えっと、8:00に駅前だったけど、7:48の電車で行きたいから7:30に変更になったって聞いたお? 」

ちなみにそれはドクオの嘘で、ブーン以外の三人は8:00に待ち合わせてる。
それでも7:40にはブーン以外の全員が集まっていた。

(;゚ー゚)「ドックン、そんな事言ってたの? 」

('A`)「ああ、たぶん15分は遅刻すると思ってたからな」

ドクオは「見事にその倍以上の遅刻だけどな」と付け加えてブーンに向き直る。

('A`)「さて、ブーン! Time of punishment! (訳:お仕置きの時間だ! )」




 


29 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:38 ID:3Ia+C9II0
ドクオはブーンの腕を掴むと袖をまくり、思いっ切りしっぺをする。

( ゚ω゚)「いでーーーーお!!! 手加減しろお! 」

('A`)「ツンと協力して、サンドイッチ・ラリアットの方がよかったか? 」

(;^ω^)「のーせんきゅーだお」

ξ゚⊿゚)ξ「しぃもやっちゃいなさい」

(;゚ー゚)「ええっ! 私も?! 」

突然、話を振られたしぃは、今日何度目か分からない驚きの声を上げる。

('A`)「『遅刻したら一発だけ何してもOK』俺らのルールだ」

ξ゚⊿゚)ξ「ブーンしかやられたこと無いけどね」

(;^ω^)「お、お手柔らかにお願いしますお」

(;゚ー゚)「え、えっと。じゃあ、いくよ? えい! 」




30 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:41 ID:3Ia+C9II0
しぃはブーンに軽くデコピンをする。

(*^ω^)「しぃちゃんは、誰かさんと違ってやさしいお」

ξ#゚⊿゚)ξ「誰かさんって誰の事だ! 」

( ゚ω(#)「ひでぶ! 」

ブーンの余計な一言に、間髪いれずツンの右フックがブーンの顔面を捉えた。

(;^ω^)「ちょ、ツン二発はルール違反だお」

ξ#゚⊿゚)ξ「フン! しぃが手加減した分の補足よ! しぃ、行こ? 」

そういうとツンはしぃを引っ張って駅構内に入っていく。

('A`)「相変わらず一言多いな、おまえ」

(;^ω^)「つい脊髄反射で言ってしまうんだお」

('A`)「知ってるよ。ほら、行くぞ」

そういうと、二人もツンたちを追って駅に入っていた。




 


32 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:43 ID:3Ia+C9II0
それから電車に揺られること30分。
【美府海岸駅】で降りた四人は5分程歩き『VIPマリンパーク』に到着した。



('A`)「結構混んでるな」

入場ゲートをくぐり園内に入った四人を出迎えたのは、人だかりだった。

(*゚ー゚)「GW初日だしね。仕方ないよ」

ξ゚⊿゚)ξ「【海王・リヴァイアサン】は諦めたほうがいいかもね」

('A`)「ちぇー、あれ乗りたかったんだけどな」

ツンの提案にドクオは不満を漏らす。

( ^ω^)「『VIPパス』って言うのを使えば乗れそうだお」

ドクオの言葉に答えたのはパンフレットを眺めていたブーンだった。

('A`)「なにそれ? 」

( ^ω^)「前もって予約しておけば、指定された時間に戻ってきて優先的に乗れるシステムみたいだお」

ξ゚⊿゚)ξ「その間、他のに乗れるのね」

(*゚ー゚)「じゃあ、それ予約してこようよ」

こうして四人のアトラクションめぐりは始まった。




 


35 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:45 ID:3Ia+C9II0
………

……



(;´ω`)「おえー、気持ち悪りぃお」

【SEA-1・GP】から出てきたブーンは青い顔で唸りながらベンチに腰を下ろす。

(*゚ー゚)「ブーン、大丈夫? 」

(;´ω`)「お昼に食べた、シーフードピッツァが出てきそうだお」

('A`)「馬鹿みたいに、二つも食うからだよ」

ξ゚⊿゚)ξ「それに加えて、あれだけ蛇行運転すれば、気持ち悪くもなるわよ」

ツンの言うように【SEA-1・GP】に乗ったブーンは「すごいお! 」と連呼し、
キョロキョロと回りを見ながら、猛スピードで蛇行運転を繰り返していた。

結果、昼食を食べ過ぎたこともあり、乗り物酔いするのは火を見るより明らかだった。

('A`)「そろそろ、【海王・リヴァイアサン】の予約の時間だけど大丈夫か? 」

(;´ω`)「ちょっと無理だお。幸い【海王・リヴァイアサン】の乗り場はすぐそこだし、
      僕はここで待ってるから三人で行ってきたらいいお」




 


37 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:47 ID:3Ia+C9II0
('A`)「別に無理に乗ることもねーし、パスしてもいいんだぜ? 」

(;´ω`)「いいから行って来るお。ただの乗り物酔いだし、少し休めば治るお」

ドクオもブーンもお互いに譲り合って話が進まない。そこに、助け舟を出すように、しぃが提案する。

(*゚ー゚)「なら、私がブーンと残るから、ドックンとツンちゃんは行ってくれば? 」

ξ゚⊿゚)ξ「……」

('A`)「え? いいよ。別に……そこまでして乗りたいわけでも無いし」

(*゚ー゚)「いいから、いいから。ドックン、乗りたかったんでしょ?
     私、ああいう絶叫系って、実はちょっと苦手なんだ」

ぶっきらぼうに答えるドクオにしぃは、はにかんだ笑顔で答える。

('A`)「でも……」

ξ゚⊿゚)ξ「それなら、ドクオ行きましょ? 」

('A`;)「おい、ツン! 」

ξ゚ー゚)ξ「しぃ、ありがと。ちょっと行って来るから、ブーンをお願いね」

ツンはそう言い残し、ドクオの腕を引っ張って乗り場に向かった。




 


39 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:49 ID:3Ia+C9II0
ツンとドクオは階段を登り、マンションの5階ほどの高さに作られた乗り場の上から、地上のブーンとしぃを眺める。
何を話しているのかは聞こえるはずも無かったが、
しぃが買ってきたであろうジュースをブーンが飲んでいるのは分かった。

('A`)「……よかったのか? 」

二人をじっと眺めるツンにドクオが話しかける。

ξ゚⊿゚)ξ「……なにが? 」

ドクオのほうを見ることなくツンは答える。

('A`)「あいつら二人を残して、これに乗って良かったのかって事」

ξ゚ー゚)ξ「いーのいーの、私はこれに乗りたかったし。
      体調の悪いブーンと、こういうの苦手なしぃを無理やり乗せる訳にいかないでしょ? 」

こっちに気付いたしぃが手を振ってるのを見て、手を振り返しながらツンは笑顔で答える。

('A`)「……そうかい」

ツンがそう答えるのでドクオはそれ以上何も言わず、しぃに一度だけ手を振った。

ξ゚⊿゚)ξ「……」

そんな事をしているうちに、列は進みツンとドクオは龍を模して造られたコースターに乗り込んだ。

…………

……




 


41 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:52 ID:3Ia+C9II0
コースを一周したコースターは、乗り場まで戻ってくると徐々にスピードを落とし、定位置で停止する。

(’e’)「では、足元にお気をつけて、お降りください」

係員の言葉と共に、ガチャンと音がしてセーフティバーのロックが解除される。

('A`)「けっこう、迫力あったな? 」

ロックの外れたセーフティバーを押し上げるとドクオは隣に座っているツンに話しかける。

ξ; -;)ξ「……」

ツンはドクオの言葉に答えず黙って涙を流していた。

('A`;)「おい、ツン! どうした?! 」

慌てたドクオの声に、ツンはハッとして慌てて目を擦る。

ξつ⊿⊂)ξ「な、なんでもない。さっき跳ねた海水が目に入っただけ」

そういうとツンはセーフティバーを押し上げ立ち上がると、コースターを降りる。

ξ゚ー゚)ξ「しぃ達が待ってるし、早く行こ」

ツンは赤い目をしながら、笑顔でそう答えた。

('A`)「……ああ」

結局、ドクオはその笑顔に何も言えず、適当に相槌を打ってコースターを降りた。




 


43 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:55 ID:3Ia+C9II0
( ^ω^)「ふぅ、落ち着いたお」

しぃの買ってきたオレンジジュースを飲み干す頃、ブーンはようやく回復した。

(*゚ー゚)「よかったね。でも、ブーンが乗り物に弱いなんてちょっと意外だったなー」

( ^ω^)「別に弱い訳じゃないお。ちょっと食べ過ぎたのと、あとは多分寝不足のせいだお」

(*゚ー゚)「え? 寝不足って、昨日あの後、何してたの? 」

( ^ω^)「しぃちゃんが落ちた後、ちょっとお得な情報を手に入れたから、踊り子のレベル上げてたんだお」

(*゚ー゚)「なんで急に踊り子のレベルなんて上げてたの? 」

「レベル上げならいつでも付き合うのに」という意味も込めてしぃは聞き返す。

( ^ω^)「今やってるミッションでベヒーモス倒すのに必要なんだお」

(*゚ー゚)「えー? 踊り子で倒せるの? 」

( ^ω^)「踊り子の特殊スキル[Moon Dance]を使うと、
      物理攻撃が半減する代わりに、魔法攻撃の威力が倍増するんだお」

(*゚ー゚)「でも、ブーンは戦士系の職業しか育ってないし、
     私は魔道士系だけどレベル低いから、ベヒーモス倒せる魔法なんて無いよ?」




 


45 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:57 ID:3Ia+C9II0
( ^ω^)「それが一つ方法があるんだお。
      性別が異性のプレイヤーとパーティ組んで累積50時間以上プレイしてると、
      リアル時間換算で1時間に一回、合体魔法の[純情ラブ☆マジック]が使えるんだお! 」

(*゚ー゚)「それで倒せるの? 」

( ^ω^)「[Moon Dance]使ってからやれば、ほぼ一撃で倒せるらしいお」

(*゚ー゚)「へー、それはすごいね! 」

二人がゲームの話で盛り上がってるところにドクオとツンが戻ってきた。

('A`)「えー、大変盛り上がってるところお邪魔しますが、ただいま戻りました」

(*゚ー゚)「あ、ドックンとツンちゃん、おかえり。どうだった? 」

('A`)「あれは、すげーや。もう一回乗っても楽しそうだ」

ξ゚ー゚)ξ「面白かったわよ。ブーン、体調はどお? 平気? 」

( ^ω^)「もう、すっかり平気だお! 」

ξ゚⊿゚)ξ「あっそ。少しくらい元気ないほうが静かでいいのに」

( ^ω^)「それはひどい言い草だお。……お? ツン、目が赤いお。どうしたんだお? 」

ツンの赤い目に気づいたブーンがツンに問いかける。




 


47 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 04:59 ID:3Ia+C9II0
('∀`)「ああ。あまりの怖さに泣いちゃったんだよなー、ツンちゃん? 」

(*゚ー゚)「えー! ツンちゃん大丈夫? 」

ξ#゚⊿゚)ξ「ドクオ怪情報流すな! しぃも信じないの! 」

ツンはドクオを思いっきり睨む。

ξつ⊿゚)ξ「海水が目に入っただけよ。大した事じゃないわ」

そういいながらツンは目を擦る。

(*゚ー゚)「だいじょうぶ? 顔洗いに行く? 」

ξ゚⊿゚)ξ「へーきへーき! それより次の乗り物行こ」

(*゚ー゚)「ホント? なら、大観覧車行こうよ! そろそろ夕日が綺麗に見える時間だよ」

しぃの言うように空は赤く染まり始めていた。

ξ゚ー゚)ξ「ホントだ。最後は観覧車で景色を見るのもいいね! 」

( ^ω^)「これはまた、随分と似合わない台詞もあったもんだお! 」

笑顔で夕日を眺めるツンに、ブーンがゲラゲラ笑いながらまた余計な一言を口にする。

ξ#゚⊿゚)ξ「何ですってーーーー!!! 」




 


49 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:02 ID:3Ia+C9II0
( ゚ω(#)「ぷるお!! 」

ツンの右手が閃光の如く横に走ると、ブーンの左頬には季節外れの紅葉が彩られた。

ξ#゚⊿゚)ξ「フン! しぃ、行こ! 」

(;゚ー゚)「えっ? ちょっと、ツンちゃん、待って」

ツンはしぃの手を掴んで引きずる様に大観覧車に向かった。

('A`)「……おまえさー。犬だってそれだけ叩かれたら理解するぞ? 」

(;^ω(#)「頭ではわかってるんだお。でも、つい口が出てしまうのは止まらないんだお」

('A`)「……はぁ、お前も難儀な奴だな。ほら、いくぞ」

ドクオがため息をつくのと同時に二人もツン達の後を追って大観覧車に向かう。







('A`)「……ホント、難儀な奴だな」

ドクオは、誰かに向けたようにも、誰にも向けていないようにもとれる言葉を、ポツリと一人呟いた。




 


51 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:04 ID:3Ia+C9II0
(*゚ー゚)「おっきいねー! 」

ξ゚⊿゚)ξ「ホントね。この上から見る夕日と海は楽しみだねー」

(*゚ー゚)「だよねー」

ツンとしぃは大観覧車を見上げ感嘆の声を上げると、そこにようやく追いついたブーンとドクオが口を挟む。

('A`)「いま、看板見てきたけど4人乗りみたいだな」

ξ゚⊿゚)ξ「あら、丁度いいわね」

(#^ω^)「よくないお! 」

ブーンが急に大きな声を上げる。

(*゚ー゚)「え、どうして? 」

(#^ω^)「観覧車といえば女の子と二人っきりで乗るもんだお!! 」

(*゚ー゚)「……はい? 」

ξ゚⊿゚)ξ「……頭になんか虫でも湧いてる? 」

('A`)「……これがゲーム脳ってやつか」

ブーンの漢気溢れる主張に、三人は温度差を感じずにはいられなかった。




 


53 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:05 ID:3Ia+C9II0
( ^ω^)「というわけで男女二人ペアで乗ることにするお」

そんな三人を置いてけぼりにしながらブーンは一人で話を進めると、バッグから爪楊枝を4本取り出す。
どうやら昼食を取ったレストランから持ってきたらしい。

ξ゚⊿゚)ξ「あんた、お昼からそんな事考えてたの? 」

('A`)「馬鹿の極み、処置なしってやつだな。手に負えん」

(;゚ー゚)「あはははは」

あきれるツンに、達観して匙を投げるドクオに、最早笑うしかないしぃ。

( ^ω^)「さぁ、みんな一本引くお! 二本は先に印がついてるお! 」

三者三様のリアクションをスルーして、ブーンは爪楊枝を右手に握って突きつける。

('A`)「しかたねーな。ホントめんどくせぇ奴だな、てめー様はよ! 」

ξ゚⊿゚)ξ「言い出したら聞かないんだから……。ホントにアンタはガキよね」

(*゚ー゚)「まぁ、楽しそうでいいじゃない」

そういいながら三人はクジを引いた。




……その結果




 


55 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:07 ID:3Ia+C9II0
(;゚ω゚)「……この発想は無かったお」

(*゚ー゚)「あはははは」

ξ゚⊿゚)ξ「これは、いいオチが付いたわね」

('A`)「……男女のペアに分けるなら、4人同時に引いたらダメだろ。常識的に考えて」

ツンとしぃペアとドクオとブーンペアに分かれた。

(;^ω^)「や、やり直しを要求するお!! 」

ξ゚⊿゚)ξ「はぁ? アンタが決めたルールでしょ。それくらい守りなさいよ」

(;^ω^)「で、でも、これじゃ意味が無いお! 男女二人ペアで乗るという目的が果たせないお! 」

('A`)「それは4人同時に引かせたお前が悪い」

(;^ω^)「この結果は読めなかったんだお」

('A`)「それで今度は空気が読めないのか」

(;TωT)「やだお! これじゃ面白く無いお! 泣きの一回でやり直しさせてくれお」




 


58 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:10 ID:3Ia+C9II0
駄々をこねるブーンにツンとドクオがあきれていると、しぃが助け舟を出す。

(*゚ー゚)「まぁまぁ、ドックンもツンちゃんも、やり直してあげようよ」

ξ゚⊿゚)ξ「えー? もう一回やるの? 」

('A`)「コイツを甘やかすとろくな事にならねーぞ」

(*゚ー゚)「まぁ、それは分かるけどね。でも、こういう時はみんなで楽しめる方がいいじゃない? 」

ξ゚⊿゚)ξ「しぃってホントお人好しねー」

('A`)「まぁ、しぃがいいって言うなら俺は構わんが……」

(*^ω^)「ならもう一回やるお! 」

今度はツンとしぃ、ドクオとブーンに分かれてクジを引く。



その結果、ブーンとしぃ、ドクオとツンのペアに決まった。

('A`)「……満足か? 」

(*^ω^)「おっおっお、これぞ観覧車の醍醐味ってやつだお」

('A`)「そいつぁ、よかったな」

ホクホク顔のブーンに対してドクオが素っ気無く答えたところで、ブーンたちの順番になった。




59 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:12 ID:3Ia+C9II0
ブーンとしぃの乗ったゴンドラは、ゆっくりと上がっていく。

(*゚ー゚)「すごーい! 夕焼けがすっごく綺麗! 」

海とは反対側の山のほうに沈む夕日を眺めながら、しぃは声を上げる。

(*゚ー゚)「ねぇ、ブーン。あれ、私達の学校だよ! 遠くまで見えるんだね」

しぃの指差す方にはブーンたちの学校があり、ブーンたちの住む街が見えた。

(*^ω^)(しぃちゃんはやっぱり可愛いお)

楽しそうに笑うしぃの横顔を眺めながら、ブーンは柄にも無く赤くなっていた。

高校2年生にしては小さな身長。

肩に届くくらいに切りそろえられた髪がすこし赤っぽいのは、生まれつき色素が薄いのだろう。
二重まぶたの奥にある濡れた瞳も茶色がかっている。

白く透き通るような肌を、少し赤みの差した健康そうな頬が彩りを添える。
それらの要素に加えて、小さな鼻とさくらんぼのように瑞々しい唇。

若干幼さを残した顔付き。

そして、華奢なようで女の子独特の丸みを帯びた体形。



美少女という言葉がピッタリな少女だった。




 


61 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:14 ID:3Ia+C9II0
(;^ω^)(あんまりジロジロ見てたら、変態さんみたいに思われちゃうお)

そんな事を考えたブーンは海の方角へ向きを変える。
ブーンの眼前に広がる光景は、夕日を受けてキラキラと輝く海。
どこまでも続く水平線が広がり、その海上をウミネコの群れが飛んでいた。

( ^ω^)「すごい綺麗だお! 」

先程の邪な思考は吹き飛び、ただ美しい景色に見とれた。

(*゚ー゚)「え? どれどれ? 」

ブーンの感嘆の声にしぃが振り返る。

(*゚ー゚)「すっごく綺麗……」

海に見とれたしぃが、海側の窓際に移動しようと立ち上がるとゴンドラが揺れた。

(;゚ー゚)「きゃ! 」

しぃは小さな悲鳴を上げて、よろめく。

(;^ω^)「おっ! 」

それに反応してブーンは立ち上がり、しぃの腕を掴んで引き寄せる。
すると、しぃの体はポスッとブーンの胸の中に納まった。

(;゚ー゚)「えっ? 」

(;^ω^)「おっ? 」




 


63 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:16 ID:3Ia+C9II0
しぃが恐る恐る顔を上げると、しぃを見下ろしているブーンと目が合った。
その瞬間二人は、時が止まったような錯覚を覚える。

(;////)「ごごごご、ゴメン! 」

見つめあった状態が1分程続いた後、しぃは慌ててブーンから離れ座席に戻る。

(;^ω^)「こっちこそ、ゴメンだお! 」

(;////)「そそそそ、そんな! 倒れたのは私だし、ブーンは支えてくれたんだし! 」

手をブンブン振りながら、しぃはまくし立てる。

(;^ω^)「そんなの気にすること無いお。むしろ、嬉しいくらいだお」

(;゚ー゚)「えっ? 」

(*^ω^)「だって、しぃちゃんみたいに可愛い女の子に抱きつかれたんだお。
      謝られるどころか、こっちがお礼を言いたいくらいだお! 」

ブーンの言葉にしぃはフリーズし、見る見るうちに顔が真っ赤になる。

(;////)「そそそそそ、そんな! かかかかか、可愛いなんて! からかっちゃ、やだよぉ! 」

(;^ω^)「か、からかってなんか無いお」

(;////)「あああ、ありがとう……」

しぃは、その言葉を合図に顔を紅潮させてうつむき、ゴンドラが下に着くまで顔を上げることはなかった。
そして、ブーンも何かを話そうとして、結局何も話せないまま、ゴンドラが地上に着くのを待った。




64 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:18 ID:3Ia+C9II0
ξ゚⊿゚)ξ「……」

('A`)「……」

ブーンとしぃに先を譲り、次のゴンドラに乗ったツンとドクオは無言で外を見ていた。
それでも気まずい空気にならないのは、10年以上の付き合いがあるからこそ為せる業だろう。

お互いに西の方角を黙って眺めていると、ゴンドラの位置が90度を越えたあたりから、
他のアトラクションや建物の高さを越えたため視界が開け、夕焼け空や街の様子が見渡せるようになった。

その景色に、それまで無言だったツンが口を開く。

ξ゚⊿゚)ξ「……綺麗」

('A`)「……」

ドクオはツンの声に反応して、無言のままツンのほうに視線を移す。




 


67 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:20 ID:3Ia+C9II0
昔からトレードマークになっている、綺麗に巻かれたフワフワのツインテール。

勝気な性格をそのまま現したような眼は少しつり目で、
長くきれいなまつげが縁取っている。
すっと通った鼻筋に、小さくて艶やかな唇は年齢よりも大人びて見せる。

それらがまるで計算されたのように並び、一つの顔を形成している。

そしてスレンダーで均衡の取れた肢体。

本人は胸が小さいことを気にしているが細く華奢な体は、
ガラス細工のように儚く透明感のある美しさを放っていることに
本人はまったく気付いていない。

そんな芸術作品のような少女が夕日に照らされている姿は、一枚の絵画のようだった。

('A`)「……ああ、綺麗だな」

ドクオはツンのほうを向いたまま、呟くように相槌を打つ。

ξ゚⊿゚)ξ「……? アンタ、景色見て無いじゃない」

ドクオの視線に気付きツンもドクオと向き合う。

('A`)「……」

ドクオは視線を外すことなく、無言のままじっとツンを見つめ返す。




68 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:22 ID:3Ia+C9II0
ξ゚⊿゚)ξ「なによ? なに、見つめてんのよ? 」

('A`)「……」

ξ*゚ー^)ξ「もしかして、綺麗って私の事? 」

ツンはいたずらっぽい笑顔で微笑むと、ウィンクをする。

('A`)「……」

ξ゚⊿゚)ξ「……? 」

('A`)「…………そうだよ」

ドクオは少し間を置き、ツンを見つめたまま真顔で答える。

ξ;゚⊿゚)ξ「えっ? 」

('A`)「……」

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

そのまま、二人の表情は固まる。
まるで辺りの空気まで凍りついたように。









 


70 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:23 ID:3Ia+C9II0








時間まで止まってしまったのではないかと思い始めた頃、ドクオが口を開いた。

('A`)「……冗談だ、バカ」

ξ;゚⊿゚)ξ「えっ? 」

('A`)「……」

ξ ⊿ )ξ「……」

再び、沈黙。





だが、今度の沈黙は短かった。




 


72 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:25 ID:3Ia+C9II0
ξ# ⊿ )ξ「……貴様、殺す! 」

('A`;)「ちょ、落ち着け! 俺が悪かった! 」

ドクオは掴みかかって来たツンの両腕を掴む。
それでもツンの白魚のような手がドクオの首筋にジワジワと伸びる。

('A`;)「くぁwせdrftgyふじこlp;@:!! く、首を絞めるな!! 」

ξ# ⊿ )ξ「ウルサイ! 黙れ! 無駄な抵抗はやめなさい! 
       抵抗しなければ楽に殺してあげるわ!! 」

('A`;)「……抵抗したら? 」

抵抗する手を緩めずにドクオが聞き返す。

ξ# ⊿ )ξ「抵抗するなら、地獄の苦しみの中で殺してやる!!! 」

('A`;)「どっちも、いやぁーーー!!! 」

ドクオが絶叫したところでツンの手から力が抜ける。

('A`;)「 ? 」

ξ ⊿ )ξ「……」




 


74 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:27 ID:3Ia+C9II0
ドクオが横にそむけていた顔を正面に戻しツンの顔を見上げると、ツンは海の方角を見ていた。

ξ゚⊿゚)ξ「ねぇ、ドクオ見て」

('A`)「……」

二人の眼前には、夕日を受けてキラキラと輝く海がどこまでも広がり、
その海上をウミネコの群れが飛び、どこか非現実的な光景を演出していた。

ξ^ー^)ξ「……凄く、綺麗だね」

いつの間にかドクオの首から手を離したツンは、笑顔で食い入るように海を眺めていた。

('A`)「……ああ」

ドクオは曖昧な返事を返すのが精一杯だった。
それほど、ドクオは見入っていた。

ツンが笑顔で「……凄く、綺麗だね」と言った、凄く綺麗な景色ではなく……










「……凄く、綺麗だね」と笑顔で言ったツンの、本当に綺麗な横顔に。




75 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:28 ID:3Ia+C9II0
( ∵) 「足元に、お気をつけ下さい」

係員の言葉に従い、ツンとドクオはゴンドラをゆっくりと降りる。

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

('A`;)「……」

乗り場のスロープを降りてきた二人はとんでもない光景を目にした。

\( ^ω^)ノシ「ツーン、ドクオー! こっちだおー! 」

先に降りていたブーンがまわりの目も気にせず、両手を大きく振り大声で二人を呼んでいる。

(;////)「ちょっと、ブーン。恥ずかしいよ……」

その後ろには、顔を真っ赤にして俯くしぃが立ってる。

('A`;)「……他人の振りする? 」

ドクオはブーンの方を見ないでツンに問う。

ξ;゚⊿゚)ξ「そうしたいのは、山々だけど……」

ツンも出来るだけブーンの方を見ないでしぃを盗み見る。

(;////)「……あうぅ」

何を言っても、大声で呼ぶことを止めないブーンに、
しぃはただ真っ赤になって俯きながら、少し距離を取ることしか出来ないようだった。




 


77 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:30 ID:3Ia+C9II0
ξ;゚⊿゚)ξ「しぃを置いていくわけには……」

('A`;)「……しぃもホントお人よしだよなぁ」

ξ#゚⊿゚)ξ「……何より、私がムカつくわ! 」

('A`#)「……そいつに関しては俺も同意見だ! 」

ξ#゚⊿゚)ξ「私達の怒りを鎮め……」

('A`#)「被害を最小限に抑えるには……」

ξ#゚⊿゚)ξ『アレしかない!! 』('A`#)

ツンとドクオはブーンとの距離を早足で一気に詰めると、ブーンの左右に分かれる。

ξ#゚⊿゚)ξ『破ッ!! 』('A`#)

ブーンの左に回ったツンは、下から斜めに突き上げるような右のショートフックを左わき腹へ
ブーンの右に回ったドクオは、上から斜めに振り下ろすような左の中段回し蹴りを右わき腹へ






 


79 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:31 ID:3Ia+C9II0





同  時  に  叩  き  込  ん  だ  。





( ゚ω゚)「げふっ!! 」

膝から崩れ落ちるブーンをツンとドクオが肩で支える。

('A`#)「よし! おとなしくなったな」

ξ#゚⊿゚)ξ「いくわよ! しぃ! 」

(;゚ー゚)「う、うん! 」

既に丸一日三人のノリを見てきたしぃも、即座に状況を理解する。

そのまま三人と一体の屍は、速やかにその場から撤収した。




80以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/31 05:32 ID:ADtnzsP/O
( ∵)<しえんに、お気おつけ下さい。




81 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:33 ID:3Ia+C9II0
(;^ω^)「あうあう、まだわき腹が痛いお」

エントランスのベンチに腰掛けたブーンは両わき腹をさする。

ξ#゚⊿゚)ξ「自業自得よ! 」

('A`#)「いい加減にTPOってもんをわきまえろよ。ガキじゃねーんだから! 」

(;^ω^)「そんなステレオで説教しないでほしいお」

(;゚ー゚)「ブーンが悪いんだからしょうがないよ」

今回ばかりはしぃも庇わない。

(;^ω^)「しぃちゃんまでそんなこと言うのかお? 」

('A`#)「当たり前だ! 」

ξ#゚⊿゚)ξ「むしろ、しぃが一番は恥かいてるんだから、嫌われないだけ感謝しなさい! 」

(;´ω`)「申し訳ないお」

そんなやり取りをしていると、園内に設置されているスピーカーから放送が聞こえてくる。




 


83 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:34 ID:3Ia+C9II0
『本日はVIPマリンパークへご来場、誠にありがとうございます。
 当園はあと30分少々のお時間を持ちまして閉園いたします。
 本日のご来園、誠にありがとうございました。』

(*゚ー゚)「あ、もう閉園時間なんだね」

ξ゚⊿゚)ξ「もうそんな時間なのね。なんか、最後に無駄な時間をすごしちゃったね」

(;^ω^)「……ツンさん、なぜそこで僕を見るんだお? 」

ξ#゚ -゚)ξ「何か言ったかしら? 」

(;´ω`)「なんでもありませんお」

('A`)「さて、ブーンをこれ以上いたぶっても仕方ねーし、帰ろうか? 」

ドクオは大きく伸びをしながら言うと三人も同調した。

ξ゚⊿゚)ξ「そうね、お腹もすいたしね」

(*゚ー゚)「じゃあ、帰りに何か食べていかない? 」

('A`)「お? いいね。帰りの電車混むのも嫌だし美府駅に戻ってからにしようぜ」




84 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:35 ID:3Ia+C9II0
話がまとまりかけたところで、ツンが一つ提案をした。

ξ゚⊿゚)ξ「もちろん、ブーンの奢りよね? 」

(;^ω^)「何でそうなるんだお?! 」

('A`)「当然だわな」

(;^ω^)「ちょ、ドクオまで何を言い出すんだお! 」

追い詰められたブーンは、最後の望みであるしぃに視線を向ける。

(*゚ー゚)「えっと……。ブーン、ご馳走様! 」

Σ(゚ω゚;)「しぃちゃんまで!! 」

ξ゚⊿゚)ξ「3対1ね」

('A`)「決定だな」

(*゚ー゚)「多数決は民主主義の基本だよ? 」

(;´ω`)「……把握しましたお。だから、ファーストフードで勘弁してほしいお」

こうして、四人のGW初日は楽しく過ぎていった。




 


86 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:36 ID:3Ia+C9II0
―5月1日(月曜日)―

GWの谷間の月曜日。どことなく生徒も教師もだるそうな顔をしながら時間だけが過ぎていく。
そんなだらけた空気に加え春の陽気も手伝って、ウトウトする輩も多い。

そんな中、四時間目の授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。

ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと、購買に行ってくるから、先にご飯食べてていいよ。ドクオ、行こ」

('A`)「あいよ。ブーン、ちょっと行ってくるわ」

そういうとツンは、いつも購買にお世話になっているドクオとともに教室を出て行った。

(*゚ー゚)「あれ? 今日ツンちゃんお弁当じゃないんだ」

ブーンの席にお弁当を持ったしぃが首をかしげながらやってきた。

( ^ω^)「今日は、珍しく寝坊したから、作る暇が無かったらしいお」

(*゚ー゚)「えっ? ツンちゃんって自分でお弁当作ってるの? 」

( ^ω^)「あー、しぃちゃんにはまだ言ってなかったのかお? 」

ブーンはしぃのリアクションを見て納得する。




 


88 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:37 ID:3Ia+C9II0
(*゚ー゚)「なに? 」

(;^ω^)「うーん、ツンに聞かないで僕の独断で話していいものかお? 」

少しだけ考えた結果、話すことにした。

( ^ω^)「ツンは事実上、一人暮らしなんだお」

(*゚ー゚)「え?! 高校生なのに? 」

( ^ω^)「一応、お父さんと二人で暮らしてる事になってるんだけど、
      ツンのお父さんは単身赴任して殆ど家にいないんだお」

(*゚ー゚)「お父さんと二人って事は、お母さんは? 」

( ^ω^)「ああ、去年離婚しちゃったんだお」

(;゚ー゚)「そうなんだ。ごめんね変なこと聞いて」

その後、戻ってきたツンとドクオも合流し四人で食事をしたが、
結局ツンの家庭事情に触れられることはなかった。




 


90 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:45 ID:3Ia+C9II0
―5月6日(日曜日)―

GW最終日。ツンは一本の電話に声を荒げていた。

ξ#゚⊿゚)ξ「だから、分かってるって言ってるでしょ!! 」

『でもな、パパはツンを心配してだな…』

ξ#゚⊿゚)ξ「心配するくらいならなんで、ママと別れたのよ! 」

『……それに関してはすまないと思っているよ』

どうやら、相手は父親らしい。

ξ#゚⊿゚)ξ「ねぇ、パパ。パパ達が離婚したとき、私が言ったこと覚えてる? 」

『……』

ξ#゚⊿゚)ξ「私はママに付いて行っても良かったのよ? 
       隣の天石市からだったら、転校しないで通えたんだから」

『……』

ξ#゚⊿゚)ξ「美府市から離れたくないからパパに付いて来たのに、今更そんなの卑怯じゃない! 」

『……それでも、年頃の娘が一人暮らしというのも』




 


92 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:47 ID:3Ia+C9II0
父親としてはどうしても一緒に暮らしたいらしい。
年頃の娘を持つ父親なら当然の心配であると言える。
むしろ、男手一つで育てているだけに、その心配も大きいのだろう。

ξ#゚⊿゚)ξ「なら、パパが帰ってくればいいだけの事じゃない! 」

『それは……』

ξ#゚⊿゚)ξ「わかってるわよ。二言目には仕事、仕事って。だから離婚したんでしょ! 」

『……わかった。この話は、また今度にしよう』

ξ ゚⊿゚)ξ「……いつ話しても変わらないわよ。私は美府市から離れたくないわ」

『じゃあ、パパは明日早いからもう切るよ』

ξ ゚⊿゚)ξ「ええ、おやすみ。パパ」

『おやすみ。ツン』

ピッという電子音の後に不通である事を示す、プー、プーという電子音が耳に届く。

ツンは通話終了ボタンを押すと、携帯を机の上におきベッドに身を投げ出す。




93 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:48 ID:3Ia+C9II0
ξ ゚⊿゚)ξ「……勉強しなきゃなー」

そんな事を呟くが、体は一向に動く気配が無かった。
静かな部屋の中、目覚し時計が時を刻むコチコチという音だけがやけに大きく聞こえた。

ξ ゚⊿゚)ξ「……はぁ」

ツンはため息をついたが、そんなものは気休めにもならない。

ξ ゚⊿゚)ξ「だめだわ、気分が乗らない。気分転換でもしてこよう」

ツンはそういいながら部屋着を脱ぎ、
ジーパンとTシャツというラフな格好に着替えると時刻を確認する。

お気に入りの目覚まし時計は、PM7:00をちょっと回った時刻を示していた。

ξ ゚⊿゚)ξ「財布と携帯だけでいいわよね」

ポケットに財布と携帯を入れて、家のカギを持つとツンは部屋を後にした。




 


95 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:49 ID:3Ia+C9II0
ξ >⊿<)ξ「うっ、ちょっと寒いかも」

玄関の扉にカギをかけた後、ツンは少しだけ後悔した。
昼間は暖かいとはいえ、5月上旬の夜風はTシャツ一枚では少し肌寒い。

ξ ゚⊿゚)ξ「まぁ、ちょっとコンビニに行くだけだし」

パーカーを一枚羽織って来ようか一瞬迷ったツンだったが、
そう自分に言い聞かせてコンビニに向かう事にした。

ξ ゚⊿゚)ξ「……慣れると、夜風が気持ちいいかも」

ツンは、星の輝く夜空を眺めながら、普段から通いなれている道を歩く。
時折吹く風が、トレードマークのツインテールを撫でていく。

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

夜風に身を任せ、空を眺めながらゆっくりと歩くツンを、
後ろから一台のバイクが追いついたと思うと隣に並んで停車した。

ξ;゚⊿゚)ξ(えっ、なに? )

ライダーはバイクを降りずにツンの方を向き、フルフェイスのヘルメットを脱いだ。




 


97 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:51 ID:3Ia+C9II0
('A`)「お前こんな時間に何してんの? 」

ヘルメットの中から出たきた顔は10年以上の顔見知りだった。

ξ;゚⊿゚)ξ「ドクオ?! アンタがなんでバイクなんか乗ってんのよ」

('A`)「あれ? 去年の4月に16になってすぐクー姉に借金して教習所通って、
    6月に免許取ったって言わなかったっけ? 」

ドクオはジーパンのポケットから財布を取り出すと免許を見せる。

ξ;゚⊿゚)ξ「聞いてないわよ。そのバイクは? 」

('A`)「これ? 従兄弟がもう乗らないからって譲ってもらった。で、今受け取りに行った帰りだ。
    いやー、さすがに2時間も乗ってると、途中、休憩しながらでもキツイやな」

そういうと、首をコキッと鳴らす。

('A`)「で、お前は何してるわけ? 」

ξ;゚⊿゚)ξ「え? ……散歩、かな? 」

('A`;)「……こんな時間にか? 」

ξ ゚⊿゚)ξ「べ、別にいいじゃない。勉強してたから気分転換に散歩がてらコンビニ行こうと思っただけよ」

本当は勉強なんてしていない。
しようと思ってはいたが手につかなかった。
最近、勉強が手につかない。




 


99 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:56 ID:3Ia+C9II0
そんな思考が頭をよぎるが、ツンはそんな事は言わない。

('A`)「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「……なによ」

無言のドクオにツンが食って掛かる。

('A`)「……なぁ、ツン」

不意にドクオが口を開く。

ξ ゚⊿゚)ξ「……なに? 」

('A`)「……今暇か? 」

ξ ゚⊿゚)ξ「え? 」

('A`)「暇か? って聞いてんだよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「う、うん」

普段より少し強い口調で言うドクオにツンは面食らった。

('A`)「……よし」

何かを納得したドクオは、バイクに引っ掛けてあった予備のヘルメットをツンに放り投げる。

ξ;゚⊿゚)ξ「……なによ? これ」




 


101 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:57 ID:3Ia+C9II0
('A`)「見ての通り、ヘルメットだ。……乗れよ」

ツンの返事も待たずに自分のヘルメットを被り、エンジンをかける。

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

('A`)「……いいから、早く乗れよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「う、うん」

結局、ドクオの強い口調に押し切られるようにツンはドクオの後ろに跨った。

('A`)「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「ドクオ? どうかした? 」

ドクオは無言のまま少しだけ思案した後、自分の着ているパーカーを脱ぎツンに渡す。

ξ ゚⊿゚)ξ「……? なによ、これ」

('A`)「その格好じゃ寒いから着とけ」

ξ ゚⊿゚)ξ「……ありがと」

('A`)「すこし飛ばすから、しっかり掴まってろよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「うん」

ツンは珍しく素直に返事をするとドクオの腰に手を回した。
ツンが腰に手を回したのを確認し、ドクオはアクセルを開けバイクを発進させた。




102 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 05:57 ID:3Ia+C9II0
('A`)「見ての通り、ヘルメットだ。……乗れよ」

ツンの返事も待たずに自分のヘルメットを被り、エンジンをかける。

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

('A`)「……いいから、早く乗れよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「う、うん」

結局、ドクオの強い口調に押し切られるようにツンはドクオの後ろに跨った。

('A`)「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「ドクオ? どうかした? 」

ドクオは無言のまま少しだけ思案した後、自分の着ているパーカーを脱ぎツンに渡す。

ξ ゚⊿゚)ξ「……? なによ、これ」

('A`)「その格好じゃ寒いから着とけ」

ξ ゚⊿゚)ξ「……ありがと」

('A`)「すこし飛ばすから、しっかり掴まってろよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「うん」

ツンは珍しく素直に返事をするとドクオの腰に手を回した。
ツンが腰に手を回したのを確認してから、ドクオはアクセルを開けバイクを発進させた。




 


104 ◆DyhKUHe1jM [すまん同じの2回投下した]:07/10/31 05:59 ID:3Ia+C9II0
('A`)「……着いたぞ」

ξ;゚⊿゚)ξ「……うん」

バイクで走ること20分。二人は美府岬の到着した。

ξ ゚⊿゚)ξ「……ねぇ、ドクオ。ここがどうかしたの? 」

('A`)「ん? まぁ、いいから来いよ」

ドクオはそういうと岬の突端へと向かい、ツンも黙って付いていく。
ツンがドクオの向かう先に視線を向けると、
どうやら簡単な展望台と小さな灯台があるらしい事だけは分かった。

展望台に向かう十数段の階段を登りきると急に視界が開けた。

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

ツンは息を呑み固まった。

漆黒の海を月明かりが照らし、
空には幾つものガラスの破片を散りばめた様に輝く無数の星。

時折、白くうねる波が漆黒の海を切り裂く亀裂のように
生じては消え、消えては生じて、心を落ち着けるような独特の音を奏でていた。

その音は、まるでこの星の鼓動の音のように聞こえた。




 


106 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:01 ID:3Ia+C9II0
('A`)「……そんなとこ突っ立てないで、こっち来いよ」

すこし先、展望台の中に更にひとつ高く、十数段の階段を登った台の上からドクオが声を掛ける。

ξ;゚⊿゚)ξ「……す、スゴイ」

その景色にツンは言葉を失う。

そこから見た海は、水平線が丸く見えた。
視界を何にも遮られることなく広がる、海と空と波と星だけがそこにはあった。

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

ツンは眼前に広がる景色をただ黙って見ていた。

手すりに掴まり、黙って景色を見ていたツンの頬に不意に冷たいものが触れる。

ξ;>⊿<)ξ「っ! 」

慌てて振り返るとドクオが缶コーヒーと缶紅茶を持って立っていた。

('A`)「ほれ、お前の分だ」

ツンが抗議するまもなく、ドクオは缶紅茶をツンに突き出す。

ツンはその缶を両手で受け取ると黙ってプルトップに指を掛ける。




 


108 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:03 ID:3Ia+C9II0
ξ;゚⊿゚)ξ「……あれ? 」

カチン、カチンと音を鳴らしながら開けようとするが何故か開かない。

('A`)「……おまえ、変なところだけ女の子するなよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「う、うるさいわね。わざとじゃないわよ……あれ? 」

('A`)「……貸せよ」

ドクオはツンの返事を待たずひったくるように缶を奪うと、プルトップに指を掛ける。
ドクオが力をこめると、いとも簡単にプシュと音がして、プルトップは唯一の役目を終えた。

('A`)「……ほら」

ξ;゚⊿゚)ξ「あ、ありがとう」

ツンはドクオから受け取った缶紅茶を一口飲む。
ロイヤルミルクティーの優しい甘みが口の中に広がる。

ドクオは黙って缶コーヒーを開けると一口のみツンの横に並ぶ。

二人の間にわずかな沈黙が流れ、ただ波の音と、時折吹く海風だけがその場を支配していた。










 


110 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:04 ID:3Ia+C9II0
ξ ゚⊿゚)ξ「……ねぇ、ドクオ」

それまで黙っていたツンが視線を海に向けたまま口を開く。

('A`)「……ん? 」

ドクオもツンのほうを見ないで返事をする。

ξ ゚⊿゚)ξ「なんで、ここに連れて来たの? 」

('A`)「……お前が気分転換したいって言ったから」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

('A`)「……ここな、俺の高校受験の時、クー姉が気分転換によく連れて来てくれたんだ」

ξ ゚⊿゚)ξ「……そう。最近会ってないけどクー姉は元気? 」

('A`)「今年で専門学校2年だからな。元気に就職活動してるよ」

ξ ゚⊿゚)ξ「そう」

('A`)「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

それっきり二人はまた無言になる。




 


113 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:08 ID:3Ia+C9II0
次に沈黙を破ったのはドクオだった。

('A`)「……ックシ! 」

ξ ゚⊿゚)ξ「大丈夫? これ、返そうか? 」

ツンはドクオのパーカーの裾を引っ張る。

('A`)「いや、いい。そしたらお前が寒いだろ? 」

ξ ゚⊿゚)ξ「でも」

('A`)「女の子が体を冷やすのはよくないって言うだろ? 」

ξ ゚ー゚)ξ「あら、アンタいつから私を女の子扱いしてくれるようになったの? 」

ツンは微笑みながら答える。

('A`)「あ? お前も一応女の子なのは昔から知ってるが? 」

ξ ゚⊿゚)ξ「一応が余計ね」

('A`)「見てくれだけ女の子で、中身が伴って無いんだから、一応で十分だ」

ξ#゚⊿゚)ξ「ふーん。そういう事をいうのね? 」




114 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:09 ID:3Ia+C9II0
そういうと、ツンはドクオの腕に自分の腕を絡ませる。

('A`;)「ちょ、ツン! お前何を! 」

ξ ゚ー゚)ξ「別に。私が寒かったから腕組んだだけよ」

まるで子供のように無邪気な笑顔でツンは答える。

('A`;)「冗談は止めろよ」

ドクオはツンの腕を振り払うとコーヒーを飲み干し、既に飲み終わったツンの空き缶を奪い取ると
そのまま、近くのゴミ箱に缶を捨てる。

('A`;)「そ、そろそろ帰ろうぜ」

照れてツンのほうを見ることが出来ないドクオは、ツンに背を向けたままぶっきらぼうに言葉を発する。

ξ ゚ー゚)ξ「……えい! 」

そんな事、お見通しなツンはニヤニヤしながらドクオの背中に抱きつく。

('A`;)「くぁwせdrftgyふじこlp;@:! 」

ξ ゚ー゚)ξ「なに、慌ててんのよ。私なんか女の子じゃないんでしょ? 」

ツンはドクオの予想通りの反応に楽しくなったのか、さらにギュっと力を込める。

('A`;)「ちょ、ツンいい加減に……」

そこまで言いかけて、あることに気付いたドクオは言葉に詰まる。




 


117 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:11 ID:3Ia+C9II0



ツンの手が少し震えてる。

('A`)「……ツン? 」

ξ ⊿ )ξ「……ゴメン、ドクオ。……少しだけ、もう少しだけでいいから、こうさせて」

先ほどまでとは違う、弱々しい声で懇願する。

('A`)「……」

ドクオは何も答えず、返事の代わりに腰に回されたツンの腕に優しく手を重ねる。

ξ ⊿ )ξ「……ありがとう」

('A`)「……」

ξ ⊿ )ξ「……」

二人の耳には波が打ち寄せる音と二人の鼓動の音が聞こえた。




そして、ツンの手にはドクオが重ねた手の、優しい温もりが残った。




 


119 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:13 ID:3Ia+C9II0
('A`)「……着いたぜ」

ツンの家の前に停車するとドクオはツンに声を掛ける。

ξ ゚⊿゚)ξ「……うん」

ツンはパーカーとヘルメットを脱ぎドクオに渡す。

ξ ゚⊿゚)ξ「……ドクオ。今日はありがとう」

('A`)「べつに。バイクの試運転のついでだ。気にすんな」

ツンから受け取ったパーカーを羽織りヘルメットを引っ掛けながらドクオはぶっきらぼうに答える。

ξ ゚⊿゚)ξ「……ねぇ、ドクオ。また気分転換したくなったら、あそこに連れてってくれる? 」

('A`)「……俺とお前が、独り身の内はいいぜ」

ξ ゚⊿゚)ξ「そう。なら、私に彼氏が出来ない限り大丈夫ね」

('A`)「……言ってろ、ばーか。……じゃあな」

そういうと、ドクオはヘルメットのバイザーを下ろしそのまま走り去った。

ξ ゚⊿゚)ξ「……ドクオ。ありがとう」

ドクオが走り去った後、ツンはもう一度だけ呟き、家に入った。




 


121 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:16 ID:3Ia+C9II0
―5月12日(土曜日)―

( ^ω^)「ふーさっぱりしたお。やっぱりお風呂は日本の宝だお」

バスタオルで頭を拭きながらブーンは自室に戻り、机に設置されたPCの前に腰掛ける。

( ^ω^)「あとは、風呂上りの冷たいコーラだおー♪」

鼻歌を歌いながら机の下の小型冷蔵庫からコーラを取り出し、のどを潤す。

( ^ω^)「ぷはー。この一杯のために生きてるようなもんだお」

コーラに満足したブーンはいつものように、PCを起動するとオンラインRPGにログインする。

( ^ω^)「今日はちょっと遅くなっちゃったお」

時計を見ると時刻はPM10:30を少し回ったところだった。
ブーンはログインするとすぐにリストを開きログイン状況を確認する。

( ^ω^)「お? しぃちゃんもログインしてるお」




122 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:18 ID:3Ia+C9II0
Boon『しぃちゃんおまたせだお』

Shi『あ、ブーン! 今日は遅かったね』

Boon『ごめんお。ちょっとお風呂で居眠りしちゃったお』

Shi『お風呂で寝るとおぼれちゃうよー? 』

Boon『さっき溺れかけて慌てて出てきたお』

Shi『もー。ブーンは仕方ないなぁ』

Boon『今日は何するお? 』

Shi『そろそろ、新しい武器が欲しいからお金貯めたいんだよねー』

Boon『じゃあ、レベル上げも兼ねて動物系のモンスターを狩りに行くお』

Shi『そうだね。最近、毛皮系が高く売れるしね』

Boon『じゃあ、街の南門で待ってるお』

Shi『おっけー、装備整えたらすぐ行くね』



……





123 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:20 ID:3Ia+C9II0
狩りに出て約二時間後。二人は戦利品を整理するべく街に戻ってきた。

日付は変わり時刻はもうすぐAM1:00になろうかという頃。

Shi『ねぇ、ブーン。明日っていうかもう今日だけど、暇? 』

Boon『暇だお』

Shi『あのね、お母さんの知り合いから映画のチケットもらったんだけど、行く? 』

Boon『いいお! 早速、ドクオとツンにも連絡するお!! 』

Shi『まって』

Boon『お? 』

Shi『ゴメン。チケット2枚しかないの。だから、二人で行かない? 』

ブーンはその瞬間、口につけていたコーラを吹きそうになった。

(;^ω^)「ちょ、二人って、それなんてギャルゲーだお? 」

Shi『やっぱり二人じゃ、イヤかな? 』

ブーンが返事に困っていると、しぃからそんな言葉が届く。

(;^ω^)「いやいやいや、そんなもったいないことするわけねーお!!! 」

急いでブーンは返事をした。




 


125 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:22 ID:3Ia+C9II0
Boon『そんなことないぽ』

(;^ω^)「あ、打ち間違っちゃったお」

Shi『じゃ、明日の11:00に美府駅で待ち合わせね♪ お休み、落ちまーす。ノシ』

その言葉を最後に【Shi】はログアウトした。

ブーンはしばらく画面を見ながら呆然としていた。

(;^ω^)「……僕があのしぃちゃんと、デート? 」

無言のままブーンは固まる。もちろん画面の中の【Boon】も硬直したままだ。

(;^ω^)「と、とりあえずログアウトするお」

すぐにログアウトの処理をしてPCの電源を落とす。

(;^ω^)「えっと、どうするお? 」

気を落ち着かせようと深呼吸をするが、どうしても動悸は治まらず心臓が早鐘のように打ち鳴らされる。

(;^ω^)「えっと、こういう時は素数を数えたらいいんだお」

飲みかけのコーラを飲み干すとブーンは素数を数え始めた。

(;^ω^)「えーっと、1・3・5・7・9・11・13・15・17・19・21……」

それでも動揺したブーンは素数ではなく、奇数を数えていた。




126 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:25 ID:3Ia+C9II0
―5月13日(日曜日)―

―時刻・AM6:53―

(;-ω-)「……や……っと、ね、眠くなってきたお」

あの後、奇数を501まで数えたブーンは落ち着く事をあきらめベッドに入った。

それでも結局、眠れないままこんな時間になってしまった。

どうして眠れないかといえば……



(;゚ω゚)(なんで、しぃちゃんは僕を誘ったんだお? )

(;゚ω゚)(これは俗に言う『フラグ』ってことかお? )

(;゚ω゚)(いやいや、落ち着くお。ここで先走ったら、ただの勘違い野郎もいいとこだお)

(;゚ω゚)(でも、しぃちゃんから誘ってくれたお)

(;゚ω゚)(そう考えたら、この間の観覧車の中での出来事がフラグを立てたのかもしれんお)

(;゚ω゚)(いやいや、そんなまさか)

(;゚ω゚)(でも、もし、しぃちゃんが……)

(;゚ω゚)(落ち着くお。しぃちゃんが僕をどう思っているかは関係ないお)




 


128 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:27 ID:3Ia+C9II0
(;゚ω゚)(僕はしぃちゃんをどう思ってるんだお? )

(;゚ω゚)(ていうか、何で僕はこんなにドキドキしてるんだお? )

(;゚ω゚)(もしかして僕は……)



一晩中そんな事を考えて眠れなかった。

そして、一つの結論に達したときようやく眠気が出てきた。

(*-ω-)「……zzz……しぃちゃん……」

空が白み始めるどころか、完全に夜が明けたころ。ブーンはようやく眠りについた。



(*-ω-)「……zzz……僕は……」








(*-ω-)「……zzz……僕は……君を好きになってしまったようだお……」




 


131 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:29 ID:3Ia+C9II0
―5月13日(日曜日)―

―時刻・AM10:52―

(*゚ー゚)「……」

美府駅前の大きな街路樹。駅前では一番目立つ代物なのでよく待ち合わせに利用される。
その樹の下でしぃは腕時計を見て、時間を確認する。

(*゚ー゚)「……よく考えたら、ブーンが時間どおりに来るわけ無いんだっけ」

先日の事を思い出ししぃはため息をつく。

(*゚ー゚)「……はぁ、ドックンみたいに待ち合わせの時間を、30分早く言っておけばよかったかな? 」

そんな事を呟きながら、腕時計を見るともう一度ため息をつく。
時間はさっき確認してから1分も進んでいなかった。

⊂ニニ(;`ω´)二⊃「ブーーーーーン!!!!!!! 」

(*゚ー゚)「えっ? 」

しぃが時計から視線を上げると、ものすごい勢いでブーンが走ってきた。

(;^ω^)「ご、ごめんお! 待ったかお? 」

ブーンはしぃの前で急停止すると肩で息をしながら、しぃに声をかける。

(;゚ー゚)「えっ? 別に待ってないよ。まだ、時間前だし」




132 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:31 ID:3Ia+C9II0
ブーンはポケットから携帯を取り出し、時刻を確認すると、安堵の息を漏らす。

(;^ω^)「よかったおー。遅刻するかと思ったお」

(;゚ー゚)「それより、何で間に合ってるの? 」

しぃは率直にたずねる。

Σ(;^ω^)「そりゃ、いくらなんでもひどいお! 」

(;゚ー゚)「ご、ごめん。でも、ドックンとツンちゃんがこの間、言ってたんだもん」

(;^ω^)「まぁ、否定できないのが情けないお」

ブーンは頬をコリコリと掻く。

(*^ω^)「でも、しぃちゃんと二人で遊びに行くのが楽しみだったから、頑張って朝起きたお」

(;////)「ま、また、そんなこと言って……。からかっちゃ、ヤダよぉ」

そういって、しぃは俯いてしまう。

(*^ω^)(やっぱり、しぃちゃんはかわいいお)

(;////)「ね、ねぇ。そろそろ行こうよ」

( ^ω^)「お? そうだったお。せっかく、遅刻しなかったのに電車に乗り遅れたら意味ないお」

こうしてブーンとしぃは駅の中に入っていった。




 


134 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:33 ID:3Ia+C9II0
―時刻・PM2:44―

(*゚ー゚)「面白かったねー」

(;^ω^)(正直、しぃちゃんが気になってそれどころじゃなかったお)

映画を見終えた二人は映画館から出てきた。

(*゚ー゚)「……? ブーンはおもしろくなかった? 」

しぃは反応の無いブーンの顔を心配そうに覗き込む。
下から上目遣いで覗き込む姿は、どことなく子猫を思わせる。

(;^ω^)「そ、そんなことないお。面白かったお」

(*゚ー゚)「ホント? よかったぁ。なんか無理やり付き合せちゃったかなって、心配してたんだ」

ブーンの言葉を聞いてしぃは、ぱぁっと花が開いたように明るい笑顔を浮かべる。

(*^ω^)(そんな笑顔を見せられたら、何を見た後だって幸せになれちゃうお)

しぃの笑顔につられるようにブーンも笑顔になる。

(*゚ー゚)「ん? ブーンどうしたの? 急にニコニコして」

(;^ω^)「な、なんでもないお。それよりお腹空かないかお? 」

なんとなく心情を見透かされた気になったブーンは慌てて話をそらした。




 


136 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:35 ID:3Ia+C9II0
(*゚ー゚)「お昼、食べて無いもんね。私もお腹空いたよー」

( ^ω^)「じゃあ、そこのマックお昼にするお」

(*゚ー゚)「そうだね。ブーン行こ! 」

そういってしぃは横断歩道に駆け出す。

(;^ω^)「おっ! 」

しぃが駆け出した矢先にブーンは咄嗟に、しぃの手を掴む。

(;^ω^)「し、しぃちゃん。まだ信号変わって無いお」

(;゚ー゚)「あっ、ゴメン! ちょっと浮かれちゃったみたい」

しぃはブーンに頭を下げるとあることに気がつく。

(;゚ー゚)「……あっ」

( ^ω^)「お? どうかしたかお? 」

(;////)「……ぁ、その……」




 


139 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:39 ID:3Ia+C9II0
しぃが真っ赤になって俯くと、チラチラと自分の右手を見ている。
その視線に気付いたブーンはしぃの右手へと視線を向ける。

(*^ω^)「……」

そのしぃの右手はしっかりとブーンの左手が握っていた。

(*^ω^)「……しぃちゃんにひとつ聞きたいお」

(;////)「ははは、はい!! な、なに? 」

(*^ω^)「こ、このまま繋いでちゃ、ダメかお? 」

(;////)「だだだだ、ダメなんかじゃないよ! 」

(*^ω^)「ほ、ほんとかお? 」

(;////)「……(コクリ)」

しぃは黙って頷く。

(;^ω^)(これは脈アリなのかお? )

しぃの手の温もりを感じながらそんな事を考えていると,、
しぃが消え入りそうな声でブーンに話しかける。




 


141 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:42 ID:3Ia+C9II0
(;////)「ああああ、あのね、ブーン。私からひとつお願いしても、いいかな? 」

(;^ω^)「いいお。(なんだお? この状況でお願いって何が来るんだお)」

(;////)「あのね、手を繋ぐなら、そんな、ただ掴むだけじゃなくて、
      ……その、ちゃんと繋ぎたいな」

最後のほうはほとんど聞き取れないような小さな声だったが、
しっかりとブーンには聞こえた。

(*^ω^)「わかったお」

そういうとブーンは掴んでいた手を一度離し、
改めて手を繋ぐと、グッと少しだけ強く握った。

(*^ω^)「これでいいかお? 」

(;////)「……」

しぃは何も言わず、その代わりに、繋いだ手をキュっと握り返した。

(*^ω^)(おっおっお、しぃちゃんのこの可愛さは、はっきり言って反則だお)






 


143 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:44 ID:3Ia+C9II0
―時刻・PM6:54―

( ^ω^)「もう、すっかり暗くなっちゃたお」

二人が美府駅に降りると既に空は夕焼けの時刻を過ぎ、夜の帳が降りはじめていた。

(*゚ー゚)「ホントだ。まだまだ、日が暮れるのは早いねー」

( ^ω^)「家まで送るお」

(*゚ー゚)「いいよー。ブーン、帰るの遅くなっちゃうよ? 」

( ^ω^)「そんなの構わないお」

(*゚ー゚)「……じゃあ、お願いします」

二人はどちらとも無く手を繋ぐと歩き始めた。

( ^ω^)「……」

(*゚ー゚)「……」

二人は住宅街を黙って歩く。

(;^ω^)(もう、腹をくくったお! 今日、このまま告白するお!! )

今日一日、しぃとデートしてブーンは決意を固めていた。
昨日の夜に、しぃを好きになったかもしれないという結論に達したブーンは、
それが確信に変わっていた。




 


146 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:48 ID:3Ia+C9II0
( ^ω^)「しぃちゃん」

(*゚ー゚)「なに? 」

( ^ω^)「僕、しぃちゃんが好きだお」

(*゚ー゚)「……え」

( ^ω^)「だから、僕の彼女になって欲しいお」

(*゚ー゚)「……」

日はすっかり暮れ、すでに星が煌めき始めた空の下、

ブーンの声だけが静かに、しぃの耳に反響する。












(*////)「…………(コクリ)」




 


149 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:50 ID:3Ia+C9II0
しぃは何も言わず、ただ頷く。
そして、少し間を置いてから顔を上げブーンを正面から見据えて、言葉を紡いだ。

(*゚ー゚)「……私も、ブーンが好き。だから私を、ブーンの彼女にしてください」

しぃは、しっかりとした声で一言一言を噛みしめるように言い切った。

(*゚ー゚)「……ブーン」

しぃは愛しい人の名を呼ぶと、そっと目を閉じる。

( ^ω^)「……しぃ」

ブーンもそれに応えるように、愛しい人の名を呼ぶと、しぃの肩に手を置き、顔を近づける。


二人の距離が少しづつ近づく。




その距離が0になった時。





何の変哲も無い住宅街の一角の、どこにでもある様な小さな公園の入り口は……




150 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:51 ID:3Ia+C9II0









二人の大切な、思い出の場所になった。













 


152 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:52 ID:3Ia+C9II0
―5月14日(月曜日)―

―時刻・AM6:00―

携帯のアラームが鳴る。

( つω-)「お? ……もう、起きる時間だお」

目を擦りながら、体を起こすと、ベッドの脇の窓にかかってるカーテンを開く。
朝の日差しが寝起きのブーンの目に飛び込んできた。

( うω<)「……眩しいお」

それで目が覚めたブーンはのそのそとベッドから降りると大きく伸びをした。

( ´ω`)「うーん、まだ夢でも見ている気分だお」

そういって携帯を手にとり画面を見ると、顔面がいきなり土砂崩れを起した。

(*^ω^)「でも、やっぱり夢じゃないお! 」




 


154 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:54 ID:3Ia+C9II0
ブーンの手にした携帯の画面には、しぃのはにかんだ笑顔が待ち受けに設定されていた。

昨日の別れ際に頼んで撮らせてもらった、しぃの笑顔。
それは、昨日の出来事がちゃんと現実だったことを示す証拠だった。

『……私も、ブーンが好き。だから私を、ブーンの彼女にしてください』

あの時のしぃの言葉が頭の中でリフレインする。

(*^ω^)「……」

そして、その後、触れたしぃの唇の感触がプレイバックする。

(*^ω^)「こうしちゃおれんお!! 早く学校行くお!!! 」

こうして、ブーンは普段からは考えられないほどのスピードで身支度を整えると
すぐさまリビングに降り朝食を済ませ、洗面所に駆け込む。

(*^ω^)「やっぱり、男子たるもの常に清潔でなくてはイカンお! 」

そして普段の5倍の時間を掛け念入りに歯磨きと洗顔をした。



―時刻・AM7:30―

(*^ω^)「行ってきますおーーー! 」

全ての準備を終えたブーンは普段より30分早く家を飛び出した。




 


156 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:56 ID:3Ia+C9II0
―5月14日(月曜日)―

―時刻・AM7:50―

ξ゚ー゚)ξ「~♪ 」

暖かい春の心地よい日差しを浴びながら、ツンは鼻歌交じりに通いなれた道を行く。

目の前の大通りと交差する十字路を左に曲がれば、いつものコンビニはすぐ近く。
ツンは一度だけ腕時計で時刻を確認する。

待ち合わせは8:00。いつも通り5分以上前に到着する。

ξ゚ー゚)ξ「~♪ 」

そのまま、ご機嫌な表情で十字路を左折すると、いつも通りに後ろから声を掛けられる。

('A`)「よう、相変わらず時間に正確だな」

横断歩道を渡って早足で追ってきたドクオはツンに並ぶ。

ξ゚⊿゚)ξ「あらドクオ、オハヨ。アンタも早いわね」

('A`)「まぁな。朝ブーンを待ちながら缶コーヒーを飲むのは日課だからな」

ξ゚⊿゚)ξ「アンタねー、サラリーマンのおっさんじゃあるまいし」

('A`)「うるせーな。冬の寒さの中で飲む、ホットの缶コーヒーの旨さも知らずに頭ごなしに否定すんな」

そんな事を話しながらコンビニに到着すると、二人の目の前には信じられない光景があった。




 


158 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 06:59 ID:3Ia+C9II0
( ^ω^)「ツン、ドクオ。遅いお」

('A`;)「……」

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

すぐにドクオはポケットの中の携帯に、ツンは腕時計に視線を落とし時刻を確認する。

【AM7:52】

('A`;)「……」

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

二人は絶句する。いつも遅れてくる、早くても時間ジャストが精一杯。
時間前に来たことなんて一度も無い。

そんなブーンが二人を待っている姿なんて、ここ10年以上見た覚えが無い。

( ^ω^)「お? 二人とも鳩が水鉄砲を喰らったような顔してるお」

('A`;)「……」

ξ;゚⊿゚)ξ「……なんでアンタがこんな時間に? 」

二人にブーンの間違いに突っ込む余裕なんて無い。
それほど、衝撃的な出来事だった。

( ^ω^)「実は、朝一で二人に伝えたい事があったんだお! 」




159 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 07:01 ID:3Ia+C9II0
ブーンの言葉に、二人は体を硬直させる。

('A`;)(『あの』ブーンがそこまでして伝えたいこと……)

ξ;゚⊿゚)ξ(『あの』ブーンが早起きまでして私達に言わなきゃならないこと……)

( ^ω^)「実は……」

ξ;゚⊿゚)ξ(絶対に、いい話なわけが無い!!! )('A`;)

ブーンが口を開いた瞬間、二人は同時に耳を塞いで声を上げた。

ξ∩゚⊿゚)ξ『聞こえない! 聞こえない! 
        ブーンの余命が半年なんて話、聞こえない! 』('A`∩)

(;^ω^)「ちょ、二人とも何を訳の分からんこと、言ってるんだお? 」

ξ∩゚⊿゚)ξ『聞こえない! 聞こえない! 
        身内に不幸があったなんて話、聞こえない!! 』('A`∩)

(;^ω^)「二人とも落ち着くお! 」

ξ∩゚⊿゚)ξ『聞こえない! 聞こえない! 聞きたくない!! 』('A`∩)

二人はそのまま回れ右をすると学校に向かって早足で歩き始めた。

(;^ω^)「ちょ、いいから聞いてくれお! 」

ブーンは二人の腕を掴むと無理やり耳から引き剥がす。




160 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 07:04 ID:3Ia+C9II0
(;^ω^)「別に、僕の余命が半年とか、身内に不幸があったなんて話じゃないお! 」

ブーンの言葉に二人は耳を塞ぐのを止める。

('A`)「……じゃあ、なんだよ」

ξ゚⊿゚)ξ「アンタが私達より先に来てまで話したい事ってなによ? 」

(;^ω^)「実は……」

そこまで口にして、ブーンは口篭もる。

(;^ω^)(いざ、言うとなると言いづらいお)

('A`)「早く言え」

(*^ω^)「……(ええぃ! 男は度胸だお! )実は、僕に彼女が出来たんだお! 」

ξ゚⊿゚)ξ「……はぁ? 」

('A`)「……今日は4月1日じゃねーぞ? 」

意を決して言い切ったブーンの言葉を二人は軽く流した。

ξ゚⊿゚)ξ「アンタそんな、くっだらない冗談の為に私達より早く来たの? 」

('A`)「あー、馬鹿らしい。そんな下らないネタの為にモーニングコーヒー飲み損ねたのかよ」

二人は相手にするのも馬鹿らしいといった態度で、再び学校に向かって歩き始めた。




 


162 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 07:07 ID:3Ia+C9II0
(;^ω^)「ちょ、二人とも! 冗談でもネタでも無いお! 」

ξ゚⊿゚)ξ「ドッキリがやりたいなら、しっかり仕込みなさいよ。思いつきで言われても引っかからないわよ」

(;^ω^)「だから、違うお! 」

('A`)「あー、そうかい。今度そのゲーム貸せよな。フルコンプしてからでいいからよ」

(;^ω^)「二次元じゃねーお! ちゃんと三次元の女の子だお! 」

必死で説明するブーンの話を、二人は学校に向かいながら聞き流す。

そんなやり取りをしながら三人が登校していると、前方の交差点にしぃがいるのをツンが見つけた。

ξ゚⊿゚)ξ「あら、しぃじゃない。登校中に会うなんて珍しいわね」

いつもなら、しぃは三人より先に教室にいることが多い。
登校中に会うのはブーンが時間通りに来た時に限り、偶然会うくらいだった。

(*゚ー゚)「……うん。今日は一緒に行こうと思って待ってたから」

('A`)「待ってたのか?なら、連絡してくれたら俺らも早く来たのに」

ξ゚⊿゚)ξ「でも、急に一緒に行こうなんて、どうしたの?」

(*゚ー゚)「えっと、ね。……その、ツンちゃんとドックンには、ちゃんと話しておきたいことがあって……」

しぃは、ゴニョゴニョと消え入りそうな声でツンの質問に答える。




 


164 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 07:11 ID:3Ia+C9II0
(*////)「えっと、その、あのね。……私ね。……えっと、ブーンとね」

(*^ω^)「まぁ、こういうことだお」

ブーンは顔を真っ赤にしているしぃの左に並ぶと、左手でしぃの右手を握る。

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

('A`;)「……」

(*////)「……」

(*^ω^)「……しぃと付き合う事になりましたお」

二人のリアクションを待つブーン。恥ずかしさのあまり真っ赤になって俯くしぃ。

そして、あまりに急な話に言葉を失うドクオとツン。

ξ; ⊿ )ξ「……」

('A`;)「……」

(*^ω^)「二人とも、どうかしたかお? 」

(*////)「……ドックンもツンちゃんも、なんか言ってよー」

何も言えずブーンとしぃの顔を見比べるツンとドクオに、しぃはますます顔を赤くして俯く。




 


166 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 07:13 ID:3Ia+C9II0
その硬直を打ち破ったのはツンだった。

ξ゚⊿゚)ξ「そ、そっかー! ブーンおめでとう。よかったじゃない、可愛い彼女が出来て」

(*^ω^)「ありがとうだお。結婚式には呼んであげるお」

ξ゚⊿゚)ξ「それは、それまでに、しぃに捨てられなければの話でしょ」

(;^ω^)「そ、それは否定できんお」

ブーンに皮肉を言ったツンは今度はしぃに話しかける。

ξ゚⊿゚)ξ「しぃ、これから大変よー。コイツ、馬鹿で、ズボラな上に、空気読めないんだから」

(*゚ー゚)「そうだねー。ちょっと決断間違ったかもね」

(;^ω^)「女の子は言うことに容赦が無いお」

ξ゚⊿゚)ξ「何言ってるのよ、これでも遠慮してあげてるんだから、感謝しなさい」

(*゚ー゚)「そうだよー。二人でメールしてる時とか、ツンちゃんもっとスゴイんだよー? 」

Σ(;^ω^)「そうなのかお? 」




 


168 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 07:15 ID:3Ia+C9II0
ξ゚⊿゚)ξ「あら、しぃも実はすごいわよ」

(;゚ー゚)「わー、ツンちゃんそれ言っちゃだめー」

ξ゚ー゚)ξ「えー、どうしようかなー」

女性陣はそんな事を話しながら学校へ向かい、
取り残されたブーンはため息をつきながら呟く。

(;^ω^)「ふぅ、女の子って分からんもんだお」

('A`)「……」

( ^ω^)「お? ドクオ、どうかしたかお? 」

何も答えないドクオにブーンは、改めて聞き返す。

('A`)「……ん。なんでもねーよ」

(*^ω^)「さては、僕に彼女が出来て嫉妬してるんだお」

('A`)「……本気で言ってるのか? 」

ブーンの軽口にドクオの雰囲気が変わる。
どことなく怒気を含んだ雰囲気にブーンは少し戸惑う。

(;^ω^)「ど、どうしたんだお? ドクオ。冗談に決まってるお」

('A`)「……そうか。ならいい」




 


170 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 07:17 ID:3Ia+C9II0
( ^ω^)「……ホントにドクオどうしたんだお?様子がおかしいお」

ドクオの様子がおかしい事を、ブーンは問いただす。

('A`)「なんでもねーよ。おら、せっかく早く来たのに遅刻したら最悪だ。行くぞ」

そういって、ドクオは歩き始めた。

( ^ω^)「うーん。やっぱり、おかしいお」

しばらくブーンは首をひねる。

( ^ω^)「まぁ、気のせいだお」

結局、答えの出ないまま考えることを放棄したブーンは三人の後を追って学校へ向かった。








 


175 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 07:29 ID:3Ia+C9II0
―6月14日(水曜日)―



ブーンとしぃが付き合い始めて一ヶ月が過ぎた。




本格的に梅雨入りした関東地方は、連日雨が続き、その日も朝から雨が降ていた。
夜になっても止む事のない雨は容赦なく窓に叩き付けられ、耳障りな不協和音を奏でていた。

ξ;⊿;)ξ「どうして? どうしてこんな事になっちゃたんだろう? 」

ツンは一人ベッドの上で枕に顔を埋め泣き崩れる。

ξ;⊿;)ξ「私が一番近くにいるのに……。誰よりもあいつの事を分かってるのに」

その整った顔立ちをクシャクシャに崩し、子供のように泣き続ける。

ξ;⊿;)ξ「なんで、あいつは私じゃなくて彼女を選んだんだろう? 」

問いかけても問いかけるべき相手はそこにはいない。

ξ;⊿;)ξ「ねぇ、なんで私じゃないの? なんで私を選んでくれないの? 答えてよ! 」

枕から顔を上げ、枕元に置かれた写真立てに向かって叫ぶ。
それは癇癪を起こした子供のようだった。

ξ;⊿;)ξ「お願いだから、私を愛してよ……。こんなのもう耐えられないよ……」




 


178 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 07:32 ID:3Ia+C9II0
写真立てを手に取ると、そっと胸に抱く。まるで愛しい人と抱擁をするように。

ξ;⊿;)ξ「なんで、私を愛してくれないの? ……彼女がいるから? 」

写真は何も答えない。

『実は、僕に彼女が出来たんだお! 』

代わりに愛しい人から言われたうれしそうな言葉が、ツンの耳にリフレインする。

ξ;⊿;)ξ「……ブーン」

ツンは愛しい人の名を呟くと、再び枕に顔を埋め泣き崩れた。

降り続いていた雨はいつの間にか上がり、
雨雲の間から空がのぞき始めた頃、その嗚咽は次第に小さくなった。

そして、空が白み始め数日振りに朝日が顔を出した頃、嗚咽は静かな寝息に変わっていった。

ξ-⊿-)ξ「……ブーン」








泣き腫らした目を瞑り、眠りに落ちていても、呟くのは愛しい人の名であったことは誰も知らない。




 


180 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 07:36 ID:3Ia+C9II0
すまん、実は今仕事中なんだ。
そろそろ忙しくなってきたからここでいったん中断させてもらいます。

8:00に上がったら
すぐ近所のネカフェにいくから30分だけ待っててくれ




193 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 08:33 ID:GMYVJWfZ0
待たせた、すまねぇ
では投下再開します




194以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/31 08:33 ID:vVkDB9ab0
>>193
待ってたぞ!wktk




 


196 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 08:35 ID:GMYVJWfZ0
―6月15日(木曜日)―

数日振りに雨が上がり、梅雨の晴れ間の太陽が覗く平日の放課後。

これと言って変わりはなく、今まで通りの関係が続いていた様に見える4人だったが
最近、一つだけ変化が起きていた。

ξ゚⊿゚)ξ「じゃ、私。これから用があるから、先に帰るわね」

('A`)「……俺もちょっと用があっから先帰るわ」

帰宅する時にツンとドクオは先に帰ること事が多くなった。

( ^ω^)「なんか、最近二人とも付き合い悪くないかお? 」

毎日ではないが、週に三日くらいはこんなことが起きるようになった。

ξ゚⊿゚)ξ「そう? まぁ、仕方ないんじゃない? 中間テストもあったし、すぐに期末もあるしね」

('A`)「……悪ぃな。俺、こないだの中間悪かったから、ちょっと気合入れないとまずいんだわ」

( ^ω^)「なら、4人で勉強するお! 」

ブーンがそう提案するが、ツンは受け入れない。

ξ゚⊿゚)ξ「いやよ。あんたがいると勉強にならないじゃない」

(;^ω^)「そ、そんなことないお。だから4人でやるお」




 


200 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 08:36 ID:GMYVJWfZ0
ブーンの言葉にツンが珍しく声を荒げる。

ξ#゚⊿゚)ξ「しつこいわね! 勉強ならしぃに見てもらえばいいでしょ! 」

(;゚ー゚)「つ、ツンちゃん、言いすぎだよ」

ツンの剣幕にそれまで黙っていたしぃが口を挟む。

ξ#゚⊿゚)ξ「いいのよ! これくらい言わないと、この馬鹿は解らないんだから! 」

Σ(;゚ー゚)「っ! 」

仲裁に入ったしぃも怒鳴りつけたツンに対し今度はドクオが仲裁に入る。

('A`)「おい、ツン! しぃに当たるのは間違いだろ」

ξ#゚⊿゚)ξ「うるさい! とにかく、私は帰るから! 」

そう言い捨てるとツンは教室を飛び出していった。

(;^ω^)「……」

(;゚ー゚)「……ツンちゃん」

ツンの様子に二人は呆然としていた。




201 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 08:38 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「……しぃ、ゴメンな。ツンって一回へそ曲げるとあんな感じなんだわ」

(;゚ー゚)「……」

('A`)「別に、しぃのこと嫌ってるとか、そんなんじゃねーから。
    ……その、今はそっとしておいてやってくれや」

(;゚ー゚)「……うん」

ドクオの言葉にしぃは、納得しているのかいないのか分からない様な返事を返す。

('A`)「……とりあえず、俺に任せておけよ」

そういうと、ドクオも教室を出ていく。




(;^ω^)「……待つお」

廊下に出たドクオをブーンは追ってきた。

('A`)「ん? 」

(;^ω^)「ツンのところに行くなら、僕も行くお! 」

('A`)「お前が来たら話がこじれるから来るな。
    ツンの機嫌の悪い原因に気付いて無いならなおさらだ」

(;^ω^)「で、でも……」




202 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 08:41 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「それに、今お前が気にかけなきゃいけない相手はしぃだろ」

(;^ω^)「それでも、ツンは大事な友達だお」

なかなか引き下がらないブーンに、ドクオはため息をつく。

('A`)「そう思ってるなら俺に任せておけ。……それに」

(;^ω^)「……それになんだお?」

('A`)「しぃにとっても、ツンは大事な友達だろ。……しぃだってショックだったんじゃないのか? 」

(;^ω^)「っ! 」

('A`)「しぃに付いててやれよ。……じゃ、俺は行くぜ」

そういって軽く手を挙げてドクオは昇降口に向かった。











 


204 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 08:43 ID:GMYVJWfZ0
ドクオを見送り、ブーンが教室に入るとしぃは自分の席に座り、ぼんやりしていた。

(*゚ -゚)「……」

(;^ω^)「しぃ、大丈夫かお? 」

(*゚ -゚)「……あ、ブーン。ドックン何だって? 」

(;^ω^)「ツンの事は任せておけって言ってたお」

(*゚ -゚)「……そっか」

それっきり二人は無言になる。

しばらくして、しぃが口を開いた。

(*゚ -゚)「……ねぇ、ブーン」

(;^ω^)「なんだお? 」

(*゚ -゚)「私のせいかな? 」

しぃは無表情のまま、ブーンに問いかける。

(*゚ -゚)「私のせいで三人の仲が壊れちゃったのかな? 」

(;^ω^)「そ、そんな事無いお! 」

(* - )「嘘だよ。……私のせいだよ。私が三人の仲に入ったせいだよ」




 


207 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 08:45 ID:GMYVJWfZ0
いつの間にか、しぃの声は震えていた。

(* - )「ゴメンね。私のせいで」

(#`ω´)「そ、そんな事無いって言ってるお! 」

ブーンの言葉を聞き入れないしぃに対してブーンは激しい口調で叫ぶ。

(#`ω´)「しぃが居なかったら、今幸せになれている僕は存在しないお! 」

(* - )「……」

( ^ω^)「だから、そんな事を言わないで欲しいお。僕はしぃに会えて、よかったと思ってるお」

(*; -;)「……ブーン」

ブーンの言葉に顔を上げるしぃ。
そのしぃの顔には一筋の涙が流れていた。

( ^ω^)「泣かないで欲しいお。しぃには笑顔が一番似合うお」

(*;ー;)「……ホントに、ありがとう」

そのブーンの一言に、しぃは笑顔を浮かべる。
しかし、ブーンの心の中にはまだ不安要素が眠っていた。

(;^ω^)(もしかしたら、僕達はもう元には戻れないのかお?)

それでも、今はしぃの笑顔が消えないように、その感情を押し殺す。




208 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 08:47 ID:GMYVJWfZ0




『この笑顔の為なら僕は全てを捨てても構わないお』





ブーンはその想いで全ての不安を塗り潰していった。








 


211 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 08:49 ID:GMYVJWfZ0
ツンは校門を出ると自宅とは反対方向に向かった。

五分ほどで市立図書館に着いたツンはそのまま建物に入ると
本棚に向かわず 【自習室】 と書かれたプレートの掛かった扉を開ける。

完全防音の自習室の中には誰もおらず、空調の音だけが静かに響いていた。

ξ゚⊿゚)ξ「……ふぅ」

ツンは無言のまま一番奥の席に座ると、小さくため息を付いた。





ξ゚⊿゚)ξ「……」

それから暫く、何をするわけでもなく、ぼんやりと何も無い空中を眺めもう一度ため息を付く。

ξ゚⊿゚)ξ「さてと、やりますかね」

誰に言うわけでなくポツリと呟くとカバンから教科書と、ノートを取り出し勉強を始めた。




だが、それも15分と続くことなくノートに走らせていたシャーペンが止まる。




212 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 08:51 ID:GMYVJWfZ0
ξ ⊿ )ξ「……っ、……ん」

まだ、数行の英文が書かれただけのノートに一滴、また一滴と雫が落ちる。

最近は何をやっても、ずっとこんな調子だった。




『諦めたい』




『心から祝福してあげたい』




『こんな気持ち忘れたい』



ツンの心はこの一ヶ月、その言葉だけが支配していた。




 


215 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 08:53 ID:GMYVJWfZ0
そう思って、勉強に没頭してみる。

そうすれば、高校受験の時を思い出す。
一人だけボーダーラインに届いていなかったブーンに、ドクオと勉強を教えたことを。

……あまりの物覚えの悪さにキレたドクオに、ブーンが逆切れした。

…………逆切れしたブーンの顔面にツンの右ストレートが入った。


駅前のお気に入りの喫茶店に行ってみる。

そうすれば、高校の入学式の後に初めて来た時を思い出す。
帰りに制服のまま三人でこの店に来て、調子に乗ったブーンが真新しい制服にコーヒーを溢して火傷をした事を。

……家に帰ったら火傷の心配するより、制服を汚したことで怒られたって、ブーンは激怒していた。

…………それを見て、ドクオとツンは大爆笑した。


一人で近所の公園を散歩してみる。

そうすれば、幼い頃三人で遅くまで遊んで、親にもの凄く怒られた事を思い出す。
『僕達、男だからツンを家まで送るお!』とませた事を言って、ブーンとドクオに挟まれて手を繋いで家まで帰った事を。

……ブーンとドクオが『ツンは悪くない! 僕達が無理やり付き合わせたんだ(お)! 』と必死で庇ってくれた。

…………その時は子供ながらに胸が熱くなった。






216 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 08:55 ID:GMYVJWfZ0
どこに行こうと、何をしようと、必ず三人で過ごした日々が脳裏をよぎった。

ξ;⊿;)ξ「……私たち、もう昔みたいは戻れないの? 」

この二ヵ月で状況はめまぐるしく変わった。

ξ;⊿;)ξ「……もう一度、戻りたいよ」

流れる時間の残酷な仕打ちに、ツンは一人涙した。




この図書館は市立にしては珍しく夜7:30まで開いており、
完全防音で空調完備の自習室は、普段学生が多数いる。

だが、この日は中間テストが終わったばかりということもあって、
幸か不幸かツン以外の利用者はいなかった。





自習室には空調の音とツンの嗚咽だけがいつまでも、響いていた。






 


218 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 08:57 ID:GMYVJWfZ0
―時刻・PM7:52―

('A`)「……」

ドクオはバイクに腰を預け、その日3本目の缶コーヒーを飲み干した。

('A`)「あの馬鹿、何してんだ? 」


携帯は繋がらない。


だから、家まで来たものの家にいる様子も無い。


仕方ないので、帰ってくるのを待っていたら四時間がたっていた。


('A`)「……このまま、帰ってこねーつもりか? 」

そうぼやきながら、空になった缶コーヒーを捨てに行こうと腰を上げた時、目的の人物が現われた。

ξ゚⊿゚)ξ「……ドクオ」

('A`)「よう、先に帰ったくせに随分遅いご帰宅だな。お姫様」

ξ゚⊿゚)ξ「……なんで、いるのよ? 」

ドクオの皮肉を無視してツンはドクオを睨む。




 


220 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 08:59 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「……お互いに独り身のうちは、いつでも連れて行ってやるって言ったろ」

ξ゚⊿゚)ξ「別に、行きたくないわよ」

そういい捨ててツンは自宅に入ろうと門に手をかけるが、その手をドクオが掴む。

('A`)「じゃあ、なんでこんな時間の帰宅なんだよ。帰って勉強するんじゃなかったのか? 」

ξ゚⊿゚)ξ「……うっさいわね。別に、私が何処で何しようと勝手でしょ」

('A`)「……いいから、乗れよ」

ドクオの腕を振り払おうとしたツンだったが、ドクオの有無を言わせない雰囲気に振り払うことが出来ずにいた。

ξ゚⊿゚)ξ「……アンタ、強引ね。そんなんじゃ彼女出来ないわよ? 」

('A`)「うるせぇよ。俺の事はこの際どうでもいいんだよ」

ぶっきらぼうに言ったドクオは、少しだけ優しい口調で言葉を続ける。

('A`)「……お節介だとは分かっちゃいるんだが、今のお前を放っておくなんて出来ないんだ」

ξ゚⊿゚)ξ「なんでよ」

('A`)「……ツンも、ブーンも、しぃも俺の大事な友達だから」

少し照れながらドクオが言う。




 


222 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:02 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚⊿゚)ξ「くっさい、セリフねー。アンタに似合わないから、やめたほうがいいわよ」

('A`;)「う、うるせーな!! いいから乗れよ! 」

ツンの冷静な切り返しに、ドクオはわめき散らすようにごまかす。

ξ゚⊿゚)ξ「そんなに、恥ずかしいなら言わなきゃいいじゃない」

('A`;)「てめぇ、いい加減に……」

ドクオがそこまで言いかけた時、それを遮るようにツンが口を開く。

ξ゚ー゚)ξ「……着替えてくるから、10分くらい待ってて」

('A`;)「え? 」

ξ゚ー゚)ξ「え? じゃ無いわよ。スカートでバイクの後ろなんか乗れるわけ無いじゃない。
      ドクオがそこまで言うなら仕方ないから付き合ってあげるわよ」

('A`;)「あ、ああ」

ツンの態度の変化に戸惑いながらも、ドクオが何とか返事をすると
ツンは満足そうに頷き、家の中に入っていった。

('A`;)「……ちったぁ、機嫌直ったかな? 」

ツンの表情が少し柔らかくなったのを見てドクオはそんな事を呟いた。




 


225 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:04 ID:GMYVJWfZ0
―時刻・PM8:31―

ξ゚⊿゚)ξ「おまたせ」

10分待っててといいながら家に入ったツンは、それから30分後に出てきた。

('A`)「……おせーよ」

ドクオはげんなりとした声で呟くが、ツンにはしっかり聞かれてしまったらしい。

ξ#゚⊿゚)ξ「うっさいわね! 女の子にはそれなりに事情ってもんがあるのよ! 」

さっきまでの制服姿とはうってかわって、スリムのジーンズにピンクのキャミソール。
その上に白のカーディガンを羽織っていた。

('A`)「……そんな気を使う様な仲でもねーだろうに」

ブツブツ言いながらドクオがツンにヘルメットを渡す。

ξ゚⊿゚)ξ「アンタは『親しき仲にも礼儀あり』って言葉知らないの? 」

ドクオの愚痴に対してそんな事を言いながらツンはバイクの後ろに跨る。




226 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:06 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「若干、使い方を間違ってる気が……ん? 」

ドクオはそこまで言いかけて、ツンから甘い匂いがすることに気付く。

('A`)「お前、香水つけてる? 」

ξ;゚⊿゚)ξ「え? う、うん。……今日、結構暑かったから、汗かいちゃったし。
       ホントはシャワー浴びたかったんだけど、そこまで時間無いし
       ……もしかして、香水の匂いとかって嫌い? 」

('A`)「いや。甘くていい匂いだなって思っただけ」

ξ゚ー゚)ξ「ありがと。これ、お気に入りなの」

お気に入りの香水を誉められたのが嬉しかったのか、ツンは笑顔で答える。

('A`)「そうかい。じゃ、発進するからしっかり掴まってろよ」

そういってドクオはバイクにエンジンを掛けると、アクセルを開けた。




 


229 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:08 ID:GMYVJWfZ0
―時刻・PM8:54―

ξ゚⊿゚)ξ「相変わらず、スゴイ景色ねー」

展望台の上に立ち海を眺めながら、ツンが感嘆の声を上げる。

ξ゚⊿゚)ξ「……なんか、ここに来ると全ての事が、ちっぽけな事みたいに思えてくるわね」

('A`)「それには同意するわ。……ほれ、オメーの分だ」

ξ゚⊿゚)ξ「ありがと」

ツンはドクオの差し出した缶の紅茶を受け取ると、プルトップに指を掛けて力を込める。

わずかな抵抗の後、プシュと音と共に飲み口に穴が開いた。

ξ゚⊿゚)ξ「……甘くて、おいしい。やっぱり、紅茶はロイヤルミルクティーに限るわ」

('A`)「それには同意できんな。紅茶はレモンティーのほうが美味い」

ドクオはそういってツンの横に並び、缶コーヒーを開けて一口飲む。

そのまま、二人は黙り込む。




 


231 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:09 ID:GMYVJWfZ0
数日振りに晴れ間の覗いた一日だっただけに、夜になっても空は月が浮かび、輝く星々に彩られ、
時折吹く風は、先日の雨に洗われたかのように澄んで、どこか幻想的な雰囲気を醸し出している。

そんな雰囲気の中、波の打ち寄せる音だけが不規則に響いていた。

ξ゚⊿゚)ξ「……ねぇ、ドクオ」

どこか、別の星に来てしまったのではないかと、勘違いしてしまいそうな錯覚にとらわれ始めた頃、
唯一聞こえている波の音を掻き消すように、ツンが口を開く。

('A`)「……ん? 」

ξ゚⊿゚)ξ「……私ってさ。嫌な女だよね? 」

('A`)「……なんでだ? 」

ξ゚⊿゚)ξ「だってさ、ブーンとしぃに「おめでとう」なんて奇麗事を言っておきながら、
      同じ口で、子供みたいに癇癪起こして、ブーンやしぃやドクオに当り散らしてさ」

('A`)「……」

ξ ⊿ )ξ「それだけの事しておきながら、悪いことしたなんて思ってなくて。
       しぃがお人好しなの知ってて、これがきっかけで別れたらいいとか思ってるんだよ? 」

('A`)「……」





 


233 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:12 ID:GMYVJWfZ0
自嘲気味に語るツンに、ドクオは何も答えず、ただ海を眺めながら黙って話を聞いていた。

ξ ⊿ )ξ「……どう思う? 」

('A`)「……どうって? 」

ξ ⊿ )ξ「……とぼけないでよ。アンタ、気付いてるんでしょ? 私がブーンの事、好きだって事」

('A`)「……まぁ、付き合い長いしな」

ξ ⊿ )ξ「付き合いの長さは関係ないわよ。その証拠にブーンは気付いてくれない」

('A`)「……」

ツンの指摘を上手くかわしたつもりのドクオだったが、ツンの切り返しに言葉が詰まる。

ξ ⊿ )ξ「……どうして、気付いてくれないのかな? 」

('A`)「……アイツが気付くはず無いだろ。アイツの鈍さはお前だって知ってるはずだ」

ξ ー )ξ「そうね」

そう儚く笑った後、ツンは再び黙り込み、ドクオもそれに倣った。




234 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:14 ID:GMYVJWfZ0
短い沈黙のあと、口を開いたのは今度はドクオだった。

('A`)「……なんで、アイツに言わないんだよ。言わなきゃ分からないだろ? 」

ξ ⊿ )ξ「……い、言えるわけ無いじゃない。言ったって結果が見えてるのに」

('A`)「でも、しぃと付き合う前だって、いくらでも機会はあっただろ」

ξ ⊿ )ξ「それこそ無理よ。私だってそこまで自惚れたりしないわよ」

('A`)「……」

ξ ⊿ )ξ「言ってこの関係が崩れるくらいなら、今はチャンスを待とうって決めてたのに……」

('A`)「……」









ξ;⊿;)ξ「ずっと、ずっと、何年も待ってたのに。……結局、後から来たしぃに取られちゃった」

('A`)「……ツン」

いつの間にか小さく震えるツンが泣いていることにドクオは気付く。




 


236 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:17 ID:GMYVJWfZ0
ξ;⊿;)ξ「ねぇ、ドクオ。……私はどうしたらよかったの? 振られるの覚悟で言えばよかったの? 」

('A`)「……」

ξ;ー;)ξ「言ったらなにか変わってたのかな? 」

そういってドクオのほうに向き直るツンは、涙を流しながら笑っていた。
まるで触れば砕けてしまう儚い氷細工のように。それほど弱々しい笑顔で。

('A`)「……変わっていただろうな。それがどう変わっていたかは分からないが」

ξ;ー;)ξ「そうね。でも、もう無理。今のあの二人に、こんな話できない」

('A`)「……」

ξ;ー;)ξ「……私もう、疲れちゃった。ブーンを好きじゃないフリ、祝福するフリ、二人の友達でいるフリ」

('A`)「……やめろ」

ξ;⊿;)ξ「しぃがもっと嫌な娘だったら、こんなに悩まないのに……。
       なにがあっても、ブーンを取り返すのに! でも、でも、あの娘、良い娘なんだもん!
       嫌いになれないんだもん! 私だって友達でいたいんだもん! 」

('A`)「……ツン、やめろ! 」

ξ;⊿;)ξ「だから、頑張ってブーンへの気持ち隠して、二人の前で笑って……。
       でも、私もう限界だよ!! 二人の前で笑顔でいるのも! 
       会話をするのも! 私だってブーンのk……」

('A`)「ツン!! 」




237 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:19 ID:GMYVJWfZ0
ドクオは思わず、ツンを抱きしめる。

ξ;⊿;)ξ「っ! 」

('A`)「もういい、やめるんだ」

ドクオはツンの耳元でそっと囁き、頭を撫でる。

('A`)「……落ち着いたか? 」

ξ;⊿;)ξ「……うん。ゴメン、ドクオ」

ツンの返事を聞き、ドクオはそっとツンを開放する。

('A`)「わりぃ。好きでもない男にこんなことされたらいい気分じゃねーよな」

ξ;ー;)ξ「そうね、あまりいい気分じゃないわ。……でも、今はそれほど悪い気分でもないわ」

ドクオは照れ隠しに頭をガシガシ掻くと、顔を背ける。

('A`)「なんて言うかさ」

ξ;⊿;)ξ「 ? 」

('A`)「……お前の気持ち、ブーンに伝えたらいいんじゃないか? 」

ξつ⊿゚)ξ「それは出来ないよ。二人に迷惑だもん」

ドクオの言葉にツンは涙を拭いながら答える。




 


240 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:21 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「安心しろよ。俺ら、それくらいで壊れるような関係じゃないだろ? 」

ξ゚⊿゚)ξ「……そうかな? 」

('A`)「そうだよ。だから、伝えろ! 」

ドクオの言葉にツンは少し考え込むと、何かを決意したように頷く。

ξ゚⊿゚)ξ「……うん、分かった。ドクオ、ありがとう」

('A`)「それでいい、一発かまして来い」

ドクオの言葉にツンは、いつもの調子で答える。

ξ゚ー゚)ξ「……ドクオって、こうしてみると結構カッコいいね。……顔はともかく、中身はだけど」

('A`)「うるせーよ、ばーか。……帰るぞ」

ξ゚ー゚)ξ「……そうだね」

そういって二人は展望台を後にした。

('A`)(『壊れるような関係じゃない』か。果たしてホントにそうなのか?
    ……俺は勢いで取り返しの付かないことしたんじゃないのか? )

唯一つ、ドクオの心に不安を残し、展望台には波の音がやけに大きく響いた。




 


243 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:24 ID:GMYVJWfZ0
―時刻・PM11:52―

('A`)「……ただいまーっと」

既に家族は寝ているらしく家の中は静まり返っていた。

ドクオは足音を立てないように素早く二階に上がる。

姉の部屋の前を通り抜け、自室のドアノブに手をかけた所で後ろから声を掛けられる。

川 ゚ -゚)「高校生がシンデレラタイムにご帰宅とは、感心しないな」

Σ('A`;)「クー姉! まだ、起きてたのかよ! 」

川 ゚ -゚)「声が大きい。みんなが起きてしまうだろう」

('A`;)「……ああ」

クーの忠告にドクオは声のトーンを落とす。

川 ゚ -゚)「念願のバイクを手に入れて、浮かれる気持ちは分かるが、
     あまり家族に心配をかけるんじゃない」

('A`;)「……ああ、すまねぇ」

川 ゚ -゚)「で? どこ行ってたんだ? 」

('A`)「ちょっと、美府岬までフラッとな」

そういって話を切り上げて部屋に入ろうとするドクオ。




244 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:26 ID:GMYVJWfZ0
川 ゚ -゚)「女の子とか? 」

クーの一言でドクオは固まった。

Σ('A`;)「……何のこと? 」

川 ゚ -゚)「別に責めてる訳じゃないんだから、誤魔化さなくてもいいだろう」

('A`;)「そ、そりゃ、まあ、そうだけど。……なんで分かった? 」

クーの言葉に、しどろもどろになりながらドクオは聞き返す。

川 ゚ -゚)「……その匂い。エンジェルハートだろう?
     女の子が付けるなら分かるが、男が付けるようなものじゃない」

('A`;)「クー姉には敵わねーな」

川 ゚ -゚)「当たり前だ。何年、女をやってると思ってる」

('A`;)「……20年だr」

そこまで言いかけたところで、ドクオの鳩尾にクーの拳がめり込む。

(゚A゚;)「はぐぅ! 」

川 #゚ -゚)「まだ、19だ」

('A`;)「……ごめんなさい」




 


247 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:28 ID:GMYVJWfZ0
川 ゚ -゚)「それは、いいとして」

('A`;)(……いいなら、殴るなよ)

そんな言葉が浮かんだが、次はお得意のローキックが飛んできても困るのでドクオは黙っていた。

川 ゚ -゚)「彼女をそんな時間まで連れまわすような、彼氏になるのは止めさい」

('A`;)「だから、彼女じゃねーよ。一緒にいたのはツンだよ」

川 *゚ -゚)「……ほぉ、ツンと付き合ってたのか? それはお姉さん知らなかった」

クーにとって意外な相手だったのか、クーは興味を示した。

川 *゚ -゚)「それは、興味深い。詳しく聞かせてもらおうか? 」

そういってクーはドクオの腕を掴むと部屋に引きずり込もうとする。

('A`;)「ちょ、だから、ツンと付き合ってるわけじゃ……」

川 *゚ー゚)「でも、一緒にいたんだろう? 」

('A`;)「それはそうだけど、ちょ、まて! 」

川 *゚ー゚)「いーから、いーから」

抵抗も空しく、あっさりとドクオはクーの部屋に引きずり込まれた。




 


250 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:30 ID:GMYVJWfZ0
川 *゚ー゚)「で? いつからそんな関係になったんだ?
      おねーさんに分かるように説明してもらおうか? 」

クーはドクオをソファーに座らせると自分は机の椅子を引っ張り出して扉の前に陣取った。

('A`;)(どう足掻いても逃げられない布陣だな)

ソファーの前のテーブルには、クーがキッチンの冷蔵庫から持ってきたペットボトルのカフェオレが置かれ、
クーは一緒に持ってきたミネラルウォーターを手に持ち
「何時間でも付き合ってやるから、話せ」というオーラが漂っている。

川 *゚ー゚)「ドクオがまさかツンと付き合うとは思わなかった。
      あんな義妹が出来るとは、おねーさんは嬉しいぞ」

('A`;)「だから、付き合ってねーって」

川 *゚ー゚)「謙遜するな。詳しく聞かせなさい」

('A`;)(こりゃ、話すまで出られそうもねぇな)

観念したドクオはため息を付くと全て話すことを決めた。

('A`;)「事の発端は4月に遡るんだけどな……」








 


253 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:32 ID:GMYVJWfZ0
それから、4月から起こったことを全て話した。

しぃと出合った事。

4人で遊びに行ったこと。

その時からブーンがしぃに惹かれてる様子があったのに気付いたこと。

それ以来、ツンの様子がおかしかった事。

ツンを初めて美府岬に連れて行った時の事。

ブーンとしぃが付き合ったこと。

その後、ツンの態度がますますおかしくなった事。

ツンがブーンの事を好きだったこと。



しぃと出会ってから今日まであった事の全てをクーに話した。

('A`)「……ってわけで、別に俺とツンが付き合ってるわけじゃないんだ」

ドクオがそういって話を一段落させる。

川 ゚ -゚)「ふむ、そういうことだったのか」

いつの間にかクーの表情からは好奇心は消えうせ、真面目な表情になっていた。




 


255 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:34 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「なぁ、クー姉。俺、間違ってたのかな? 」

全てを話したドクオは、素直に先ほど感じた不安を吐露する。

川 ゚ -゚)「さぁ、それは分からないな。答えを出すのは私じゃなくてツンだ」

そういって、クーは手にしたミネラルウォーターを一口飲む。

川 ゚ -゚)「強いて言うなら、誰も間違っていないと思う」

('A`)「なんでだよ? 」

川 ゚ -゚)「人生の選択肢に正解なんて無いからな。
     何を選ぶかじゃなくて、選んだ後どうするかが重要なんじゃないか?」

('A`)「……そうかな? 」

川 ゚ -゚)「少なくとも私はそう思ってる」

('A`)「そっか」

ドクオはクーの答えに納得したような、納得できないような表情でぬるくなったカフェオレに口を付ける。

川 ゚ -゚)「しかし、「ブーンに気持ちを伝えろ」なんてよくお前が言えたもんだな」

('A`)「……? なんで? 」

川 ゚ー゚)「まさに「お前が言うな」って事だ」




 


257 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:36 ID:GMYVJWfZ0
Σ('A`;)「っ! 」

川 ゚ー゚)「まぁ、がんばれ。若造」

('A`;)(ホントに、クー姉には敵わんな)

そんな事を考えた時、ドクオは一つ気に掛かる事を思い出した。

('A`;)(クー姉なら……あの意味が分かるかも)

川 ゚ -゚)「どうした?」

('A`)「なぁ、クー姉。今日、別れ際にツンが
   「…私達、いつまでも、何処にいても友達だよね? 」って言ってたんだけど、どう思う? 」

川 ゚ -゚)「んー。確かツンは今、一人暮らしだったよな? 」

('A`)「ああ」

川 ゚ -゚)「……おじさんの所に行くのかもしれないな」

('A`;)「やっぱり、そうかな? 」

ドクオにも予感はあった。それでも、それはありえないと否定していたことだった。

川 ゚ -゚)「あくまで推測だ。本当の事を知りたければ、ツンに聞いてみるしかないんじゃないか? 」

('A`)「もし、そうだったら、ツンを引き止めるにはどうしたらいいと思う? 」

ドクオは真剣な目でクーを見つめる。自分の想いを見透かされた事など、どうでもよくなっていた。




 


259 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:38 ID:GMYVJWfZ0
川 ゚ -゚)「ブーンの傍にいる辛さから逃れるより、ここに残る理由があればいいんじゃないか? 」

('A`)「ここに残る理由……」

川 ゚ -゚)「どっちにしろ、最後に判断するのはツンだが」

('A`)「……そうか」

そういって、ドクオは俯いて何かを考え込む。

川 ゚ -゚)「まぁ、悩むなら自分の部屋に戻ってからにしろ。私は寝るぞ」

('A`)「……自分で部屋に引きずり込んでおいてよく言うわ」

川 ゚ -゚)「頼りになる姉がいてよかっただろう? 」

('A`)「はいはい。ありがとよ」

そういって、ドクオはクーの部屋を後にして自室に戻るとベッドにダイブした。

('A`)「……ここに残る理由か」

頼れる人生の先輩の言葉を反芻し、目を閉じると、ドクオは眠りに落ちた。










 


262 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:40 ID:GMYVJWfZ0
―6月16日(金曜日)―

―時刻・PM0:03―

その日、三年生の進路説明会だった為、一・二年は3限で授業が終了した。

ξ゚⊿゚)ξ「ブーン、これからちょっと付き合って」

HRが終了するやいなやツンはブーンに声を掛ける。

(;^ω^)「お? 何の用だお? 」

ξ゚⊿゚)ξ「いいから。……しぃ、ちょっと彼氏借りるわよ」

(*゚ー゚)「えっ? 」

そういってツンは、しぃの返事も待たずにブーンを引きずって教室を後にした。

(*゚ー゚)「……」

('A`)「心配か? 」

黙って見送るしぃにドクオが声を掛ける。

(;゚ー゚)「別にそんな事は無いけど……」

('A`)「……顔に出てる」

(;゚ー゚)「ドックンて鋭いねー。感心しちゃうよ」




 


264 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:42 ID:GMYVJWfZ0
そういってしぃはため息を付く。

('A`)「そうでもねーよ、俺の身近にもっと鋭いヤツがいる」

ドクオは愚痴をこぼしながら、肩をすくめる。

(;゚ー゚)「……ちょっと、心配かな」

('A`)「まぁ、気持ちはわからんでも無いが……。正直、俺も結構心配だ」

ドクオはそういって席から立ち上がる。

('A`)「……でも、俺帰るぜ」

(;゚ー゚)「えっ? 二人を待たないの」

('A`)「この後、ブーンの顔見たときに理性がぶっ飛ぶのが目に見えてるからな」

(;゚ー゚)「それってどういう事? 」

しぃの問いかけにドクオは、少しだけ考えて答える。

('A`)「……わりぃ、今俺の口からは言えないな。ブーンが戻ってきたら少しは意味が分かるよ」

そういってドクオは手をヒラヒラとさせて教室を後にした。

(;゚ー゚)「……はぁ、何か3人の間に入っていけないなー」

しぃはそう呟くと席に座ってブーンの帰りを待つことにした。




 


266 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:44 ID:GMYVJWfZ0
( ^ω^)「こんな所に来て、どうするつもりだお? 」

ブーンが屋上の手すりに手を掛け、空を見上げる。

幸い朝から降っていた雨は上がっていたが、空は暗い雲に覆われ今にも降り出しそうだった。

ξ゚⊿゚)ξ「……ねぇ、ブーン」

それまで、空を眺めるブーンの背中を見ていたツンが声を掛ける。

( ^ω^)「なんだお? 」

ツンの声にブーンは振り返ってツンと目を合わせる。

ξ゚⊿゚)ξ「……しぃのどこが好きなの? 」

ツンもブーンから目を逸らさず、真っ直ぐにブーンを見つめたまま問いかける。

( ^ω^)「わからないお。ただ……」

ξ゚⊿゚)ξ「……ただ。何? 」

( ^ω^)「しぃの笑顔を見ると、幸せになれるんだお」

ξ゚ー゚)ξ「そっか」

ブーンの答えに納得したのかツンは笑顔で答える。

( ^ω^)「……それが聞きたくて、ここに連れて来たのかお? 」




 


269 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:45 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚ー゚)ξ「ん? 違うわよ。ここからが本題」

( ^ω^)「……お? 」

ツンは一回深呼吸をすると、一番の笑顔を浮かべて口を開く。







ξ^ー^)ξ「あのね、ブーン。私ね、ずっと前から、……ブーンが好きだったよ! 」





( ^ω^)「……」

ξ^ー^)ξ「もう、いつから好きだったのか分からないくらい、ずっと、……っ。ずっと、ま、前か、ら……」

ツンの声は徐々に小さくなり、嗚咽が交じる。

ξ;ー;)ξ「ずっと前から好きだったの……」

涙を流しながら、それでも笑顔で最後まで言い切ったツンはそのままブーンに抱きつく。




 


271 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:47 ID:GMYVJWfZ0
( ^ω^)「……ツン」

ブーンは抱きついてきたツンの背中にそっと腕を回す。

ξ;ー;)ξ「ゴメン。ホントはこんな形じゃなくて、ちゃんと言いたかった」

( ^ω^)「……」

ξ;ー;)ξ「今更、こんな事言っても迷惑だって分かってる。でも……」

それまでブーンの胸に顔を埋めていたツンが顔を上げる。

ξつー;)ξ「伝えられて、よかった」

そういってツンは涙を拭いながらそっとブーンから離れる。

ξ゚⊿゚)ξ「さ、私の話はおしまい。ゴメンね、こんな所につき合わせて」

( ^ω^)「……ツン、ゴメンお。僕は……」

ξ゚⊿゚)ξ「ストップ! 」

ブーンの言葉を遮るようにツンが大声を上げる。

ξ゚⊿゚)ξ「これ以上、優しくしないで。……相手が違うでしょ?」

(;^ω^)「で、でも僕は……」

ξ゚⊿゚)ξ「お願い。このまま、しぃの所に行って。そうじゃないと、私、……また泣いちゃうから」




 


274 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:49 ID:GMYVJWfZ0
(;^ω^)「……わかったお。ツン、ホントにゴメンお! 」

その一言を残してブーンは屋上を後にした。

ξ゚⊿゚)ξ「……バイバイ。ブーン」

そういって、ツンは空を見上げる。
空を覆う暗い雲は先ほどより、更に暗くなっていた。





ξ ⊿ )ξ「……雨が降りそうね」

その言葉が引き金になったように、ポツリ、ポツリと雨が降り出してツンの顔を濡らす。





ξ;⊿;)ξ「あーあ、振ってきちゃった……」





ツンの顔を濡らす水滴が雨なのか涙なのか、それはツンにも分からなかった。




 


277>>275答えなくてすまん新作だ ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:52 ID:GMYVJWfZ0
( ´ω`)「……」

屋上から戻ってきたブーンは、おぼつかない足取りで教室に辿り着く。

教室の扉を開けると、そこにはしぃが待っていた。

(*゚ー゚)「……ブーン。お帰り」

( ^ω^)「お待たせだお」

ブーンはできるだけ普通の態度でしぃに答える。

(*゚ー゚)「……ツンちゃんは? 」

( ^ω^)「ちょっと担任に呼ばれてるから、先に帰ってていいって言ってたお」

しぃには心配をかけたくない想いからブーンは嘘を付いた。

(* - )「……」

( ^ω^)「……どうしたんだお? 」

なにも答えないずただ俯くしぃにブーンが聞き返す。

(* - )「……っき」

しぃが聞き取れない程小さな声で呟く。

( ^ω^)「お?なんだお? よく聞きとれn……」





278 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:54 ID:GMYVJWfZ0
(* - )「嘘つき!!! 」

ブーンが聞き返すとその言葉を遮るように、しぃが激昂した。

(* - )「……なんで、嘘付くの? ホントの事、言ってよ!! 」

(;^ω^)「しぃ? 」

(* - )「ツンちゃんも! ドックンも! ブーンも!!
     なんで、私に気を使って嘘つくの? なんで、何も言ってくれないの? 」

(;^ω^)「……」

(*; -;)「みんなと居るのに、なんだか孤独だよ……」

しぃの涙にブーンは何も言えなかった。

二人きりの教室に、雨の音だけが響き渡る。

ブーンは無言に耐え切れず必死で言葉を探す。

(;^ω^)(何か言わなきゃいかんお。でも、何を言っていいかわからんお)

結局、何も言えずに黙るしかなかった。

(;^ω^)(ここは、正直にさっきの事を話すべきなのかお? )




 


280 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:56 ID:GMYVJWfZ0



『ツンに告白された』



それを言えば、全ては解決するような気がした。
しぃが求めているなら全てを話せばいい。

それでも、ブーンの口は動かなかった。

普段から「お人好し」といわれるほどに人に気を使う子だ。

それが、人一倍優しくて気配りが出来るしぃの美点なのは、ブーンにだってよく分かってる。

だからこそ、言えなかった。




『言えばしぃは自ら身を引いてしまうに決まってる』




そんな想いがブーンの口を閉ざさせた。




 


283 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 09:58 ID:GMYVJWfZ0
そして、その沈黙を破ったのはしぃだった。

(*; -;)「ブーンは優しいね。優しすぎるよ」

(;^ω^)「……え? なんでだお? 」

(*; -;)「ここまで言っても、まだ私に気を使うんだね」

(;^ω^)「……」

(*゚ -゚)「でも、方向が違う。……ホントに私の事想ってるなら全部話して」

しぃが真剣な表情で真っ直ぐにブーンを見つめる。

(;^ω^)「……わかったお。その代わり、ちょっと場所を変えるお」

(*゚ -゚)「……わかった」

このままここに居ては、いずれツンが戻ってきてしまう。そうなれば全てを話すのは不可能だ。
そう思ったブーンは一つの提案をし、しぃはそれを受け入れた。

(;^ω^)「……じゃ、じゃあ駅前のマックにでも……」

しぃはその提案は拒否した。

(*゚ -゚)「そんな人の目に付くような場所は嫌。ゆっくり話せないもの」

(;^ω^)「じゃ、じゃあどこならいいんだお?」





284 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:00 ID:GMYVJWfZ0
(* - )「ブーンの家って今誰か居る? 」

(;^ω^)「うちは共働きだから今の時間なら居ないお」

(* - )「ならブーンの家で」

その瞬間ブーンは固まった。

Σ(;゚ω゚)「……!! 」

(* - )「嫌? 」

(;゚ω゚)(どどどどど、どうすればいいお? )

しぃの言葉にブーンは戸惑う。

(;゚ω゚)(家族が居ない男の部屋に来るって意味分かってるのかお)

不謹慎にもブーンに邪な考えが浮かぶ。




 


287 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:02 ID:GMYVJWfZ0
(;゚ω゚)(でも、そうしなきゃ話も出来ないお)



(;゚ω゚)(大丈夫、僕は話をするだけだお! 冷静になるお! )



(;゚ω゚)(このまま話さなかったら、しぃは孤独なままだお! )



そう自分に言い聞かせ……いや、言い訳して決意を固める。



(;^ω^)「わかったお」

(* - )「ごめんね。わがまま言って」

(;^ω^)「そんなの、気にするようなことじゃないお」

(* - )「ブーン、ありがとう」

こうして、二人は教室を後にした。




 


290 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:04 ID:GMYVJWfZ0
(;^ω^)「少し散らかってるけど、適当に座ったらいいお」

そういってブーンはしぃにソファーに座るよう促すと
冷蔵庫から紅茶を取り出し、自分用にはコーラを取り出してテーブルに置く。

(*゚ー゚)「ん。ありがとう」

しぃは薦められたようにソファーにちょこんと座る。

(;^ω^)(さて、どうやって切り出したらいいものかお? )

ネクタイを緩め、そんな事を考えながらベッドに腰掛ける。

(;^ω^)「まぁ、何にも無い部屋だけど紅茶でも飲むといいお」

とりあえず飲み物を薦め、ブーンもコーラを開けると口を付ける。

プシュというコーラを開ける音だけが部屋に響いた。

(*゚ー゚)「……ねぇ、ブーン。ツンちゃんは何の用事だったの? 」

ブーンが話を切り出す前にしぃのほうから話を振ってきた。

(;^ω^)「うーん、なんていったら良いかお? 」

ブーンは手に持ったコーラをテーブルに置くと、少し考え込む。

(*゚ー゚)「ありのままに話して。ごまかしたり、嘘付いたりしないで」




291 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:05 ID:GMYVJWfZ0
どこから話そうか悩むブーンを真っ直ぐに見つめ、真剣な表情で言ったしぃの目には
どこか覚悟を決めたような意志が込められていた。

(;^ω^)「わかったお。結論からいうお」

しぃの言葉にブーンも真剣な表情でしぃを見つめ返し、一息つく。

( ^ω^)「……ツンに告白されたお」

(*゚ -゚)「……やっぱり」

ブーンの言葉にしぃはどこか納得したように答える。

(*゚ -゚)「やっぱり、ツンちゃんもブーンの事が好きだったんだね」

( ^ω^)「……しぃは気付いてたのかお? 」

(*゚ー゚)「何となくね」

しぃは少しだけ寂しそうに答える。

( ^ω^)「……僕は、ぜんぜん気が付かなかったお。正直、これからツンにどう接したらいいか分からんくらいだお」

(*゚ー゚)「……じゃあ、私と別れてツンちゃんと付き合う? 」

( ^ω^)「それは無いお! ツンの気持ちは嬉しいけど、僕はしぃが好きだお! 」

(*゚ー゚)「ありがとう。その言葉が一番嬉しい」

そういってしぃ笑顔を浮かべる。




 


293 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:07 ID:GMYVJWfZ0
(*゚ー゚)「あのね、ブーン。ブーンは何も悪くない。悪いのは私」

( ^ω^)「そ、そんなこと無いお! 」

しぃの言葉をブーンは否定するが、しぃは首を横に振る。

(* - )「私が悪いの。ツンちゃんの気持ちに気付いてたのに、何も言わなかった。
     ブーンに好きって言われて、ブーンの彼女になれて凄く嬉しくて。私、浮かれてたんだよ。
     ……それでも、ツンちゃんは何も言わないで友達でいてくれた」

しぃの声が少しづつ小さくなっていく。

(*; -;)「そんな、ツンちゃんの気持ちを裏切った私が悪いの」

( ^ω^)「しぃ、泣かないでお」

ブーンはいつの間にか涙を流していたしぃの隣に座り、そっと抱き寄せる。

( ^ω^)「……しぃは悪く無いお。僕が無神経で鈍感で馬鹿だから悪いんだお。
      そのせいで、ツンもしぃも悲しませてしまったお。すべて、僕が悪いんだお」

(*; -;)「そ、そんなこt……むぐぅ」




 


295 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:09 ID:GMYVJWfZ0
しぃの言葉を遮って、ブーンがキスをする。



……長い口付けの後、ブーンが口を開く。

( ^ω^)「しぃ、落ち着いて聞いてくれお。しぃは何も悪くないお。全て僕のせいだお。
      ……だから、これからはしぃを絶対に傷つけない事を誓うお。
      そして、ツンを傷つけた責任はきちんと果たすお」

しぃの目を真っ直ぐに見据えて、ブーンは言葉を続ける。

( ^ω^)「ホントは二人とも傷つけないのが一番なんだと思うお。……でも、すでに傷つけた以上そんな事は出来ないお。
      だから二人のうちどちらかを選ぶなら、しぃを傷つけないことを選ぶお。その上で、ツンを傷つけた責任を取るお」

(*; -;)「……責任って?」

( ^ω^)「……まぁ、顔の形が変わるまで殴られる事にするお」

ブーンは、それまでとはうって変わって、ふざけた口調になる。

(*;ー;)「……ブーン」

( ^ω^)「……その笑顔だお」

(*つー;)「え? 」

(*^ω^)「しぃのその笑顔が僕は大好きなんだお」

照れながら頬をポリポリと掻くブーンに、しぃはギュッと抱きつく。




296 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:11 ID:GMYVJWfZ0
(*゚ー゚)「ありがとう。ブーンはやっぱり優しいね」

(*^ω^)「そんな事無いお」

(*゚ー゚)「んーん、優しいよぉ。だから、大好き」

それまで、ブーンの胸に顔を埋めていたしぃは顔を上げ、ブーンを上目遣いで見上げる。

(*゚ー゚)「……ブーン、もう一度キスして」

そして、そっと目を閉じる。

( ^ω^)「……しぃ」

それに応えるようにブーンも目を閉じ、しぃと口付けを交わす。







ブーンは二人の心が重なった初めてのキスを思い出していた。




 


300 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:14 ID:GMYVJWfZ0
( ^ω^)「本当に家まで送らなくていいのかお? 」

(*゚ー゚)「うん。大丈夫」

ブーンの問いかけに、しぃは靴を履きながら答える。

(*゚ー゚)「ブーン、ありがとう」

( ^ω^)「それは、僕のセリフだお」

(*^ー^)「じゃあ、お互い様だね」

しぃはニッコリ笑って答える。

(*゚ー゚)「それじゃ、私帰るね。また、月曜日に」

( ^ω^)「お。気をつけて帰るんだお」

(*゚ー゚)「うん。……あ、そうだ」

返事をした後でしぃは何かを思い出したように手招きをする。

( ^ω^)「お? 」

それにあわせてブーンはしぃに近づく。




 


302 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:16 ID:GMYVJWfZ0
(*゚ー゚)「んー。もうちょっと、頭を下向けて」

( ^ω^)「お? いいお」

しぃの目の前に立つブーンはしぃの言う通りに首を曲げ下を向く。

(*゚ー゚)「ん。そのくらい」

そう言ってしぃは爪先立ちになると、ブーンの首に手を回し、小鳥が啄ばむ様に短いキスをした。

(*^ω^)「……」

(*^ー^)「……えへへ。初めて、私からキスしちゃった」

照れながらしぃは一歩下がると満足そうな笑みを浮かべる。

(*゚ー゚)「ブーン、大好きだよ。じゃあね♪ 」

そういって、しぃは玄関を出て行った。



(;^ω^)「ふぅ、自制心は何とか最後までもってくれたお」

誰も居なくなった玄関でブーンは一人ほっとしたような、それでいて少し残念なような表情で呟いた。

(;^ω^)「でも、どうしたらいいんだお」

しぃを元気付けたとはいえ、ツンの事を考えるとブーンは手放しに喜べずにいた。




 


304 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:18 ID:GMYVJWfZ0
―時刻・PM4:49―

ξ゚⊿゚)ξ「……」

ツンはトボトボといった擬音が合いそうな歩調で帰路に付いていた。

こんな時間まで何をしていたかといえば、正直なところ何もしていない。

屋上でブーンを見送った後、雨を避けるように校舎内に入ったものの
おそらくブーンとしぃが居るであろう教室に戻る気も起きず、図書室にいた。

いくら振られるのが分かっていた告白とはいえ、その直後に当事者に会えるほどツンは強くなかった。




『ブーンたちが居なくなったら帰ろう』




そう考えたツンは、校門の様子が確認できる図書室の窓際の席で、ぼんやりと校門の様子を眺めていた。

しばらく窓から校門を眺めていたツンは、意外にも早く校門を出て行く二人の姿を確認した。

それを見てさっさと帰ってしまおうと思ったツンだったが、結局動く気になれずこんな時間の帰宅となった。




 


306 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:20 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚⊿゚)ξ「……はぁ」

力無くため息をつく。

ξ゚⊿゚)ξ「やっぱり、つらいなー」

誰に言うでもなく、独り言を漏らす。
言ったところで何も変わりはしないが、言わなければまた泣いてしまいそうだった。




『振られる覚悟をしてたんだ』





『伝えられないよりマシだ』





ツンはそんな言葉を思い浮かべながら、じっと耐える。



今度、泣いてしまえば涙を止められない気がしていた。





 


310 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:25 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚⊿゚)ξ「……また、あそこに連れて行ってもらおうかしら」

そんなツンが思い浮かべたのはドクオに教えてもらった美府岬。
あそこに行けば、なんとなく全てを忘れられそうな気がした。

ξ゚⊿゚)ξ「……ダメ。そんなに、毎回毎回ドクオに頼っちゃ」

ドクオなら言えば来てくれる。

それでも今度は頼りたくなかった。

今度、頼ったりしたら……





『二度と、自分の力で立ち上がれなくなる』





そんな想いがツンの心を支えていた。

ξ゚⊿゚)ξ(ドクオのお陰で後悔しなくて済んだんだもの。立ち上がるときは一人で立たなきゃ)

そう決意したツンが視線を上げると、自宅前に見慣れた傘をさしている人物が居た。




 


313 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:26 ID:GMYVJWfZ0
(*゚ー゚)「あっ! ツンちゃんお帰り」

ξ;゚⊿゚)ξ「しぃ、何してんの? こんな所で」

(*゚ー゚)「何って、ツンちゃんを待ってたんだよ? 」

しぃはカタカタ震えながらもツンの言葉に笑顔で答える。

ξ;゚⊿゚)ξ「待ってたって、アンタ何時からいるのよ? 」

(*゚ー゚)「んーっと。2時過ぎかな? インターホン押しても反応無いし、
     なかなか帰って来ないし、心配したよ? 」

ξ;゚⊿゚)ξ「2時ってアンタこの雨の中、3時間も待ってたの? 用があるなら電話くらいしなさいよ! 」

しぃの答えにツンは声を荒げる。

(*゚ー゚)「で、でも、直接話したくて。それに、すぐ帰ってくるかなって思ったから」

ξ;゚⊿゚)ξ「それなら、電話でそう言えばいいでしょ?!
       『話したい事があるから、帰ってこい』って言えばすぐ帰ってくるわよ! 」

(*゚ー゚)「あー、そっか。……でもそんな事、怖くて言えないよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「怖いって、なんでよ? 私そんな事で怒ったりしないわよ」




 


315 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:28 ID:GMYVJWfZ0
ツンの言葉にしぃはゆっくり首を横に振る。

(*゚ー゚)「そうじゃないよ。……ツンちゃんに嫌われちゃってて、
     電話に出てくれなかったらどうしようって思ったら、怖くて電話できなかったの」

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

しぃは笑顔と泣き顔が、一緒になったような顔でツンを見つめる。

傘を差しているとはいえ、雨が降り風も吹いてるこの天気の中で、3時間も立っていれば当然濡れもする。

案の定、サラサラの髪の毛は雨にぬれ、額に張り付いているし、
先日衣替えした夏服のブラウスは、雨を含んで肌に張り付いている。

肩を見れば、カタカタと小刻みに震えているし、心なしか唇も青くなっている様に見える。

ξ゚⊿゚)ξ「とりあえず、家に入りましょ。シャワー貸すから」

(;゚ー゚)「えっ、悪いよ」

ξ゚⊿゚)ξ「いいから! 話はその後でゆっくり聞くから」

(;゚ー゚)「えっ、ちょ、ツンちゃん、待ってよ! 」

そういって、ツンはいつものようにしぃの手を掴むと、引きずるように家に入っていく。




 


319 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:30 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚⊿゚)ξ「はい、タオル。今お風呂にお湯張ってるからちょっと待ってね」

(;゚ー゚)「う、うん」

テキパキと動き回るツンの様子に戸惑いながら、しぃは受け取ったタオルで髪を拭く。

(;゚ー゚)「それで、話っていうのは……」

あらかた濡れた髪を拭き終わったしぃは、
部屋着に着替えてリビングに戻ってきたツンに話を切り出す。

しかし、ツンは手に持った衣服をしぃに渡しながらそれを遮る。

ξ゚⊿゚)ξ「話は後って言ったでしょ? とりあえず制服洗濯するから、これに着替えて」

(;゚ー゚)「え? い、いいよ。悪いし」

ξ゚⊿゚)ξ「いいから。私の分洗濯するついでにやっちゃうから、早く脱いで」

(;////)「で、でも……」




 


322 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:32 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚ー゚)ξ「女の子同士で恥ずかしがる事も無いじゃない」

「脱いで」という単語に反応して赤くなるしぃを、ツンはニヤニヤしながら見つめ話を続ける。

ξ゚ー゚)ξ「早くしないと、私が脱がしちゃうわよ~」

ツンはワザと指先をいやらしくクニクニさせながらしぃに近づくと、しぃの制服に手をかける。

(;////)「ちょ、ツンちゃん! 止めてよ~」

ξ゚ー゚)ξ「抵抗しないの! 嫌なら自分で脱ぎなさい」

必死で抵抗するしぃの手をかいくぐって、ツンの手がしぃの体に伸びる。

(;////)「ツンちゃん! どこ触ってるの! 」

ξ*゚ー゚)ξ「えー? おっぱい」

(;////)「女の子がそんな事、はっきり言わないの! なんでそんなとこ触ってるのよ! 」

ξ*゚ー゚)ξ「だって、ボタン外さなきゃ……しぃって、意外とおっぱい大きいね~」

(;////)「ツンちゃんのH! もう、自分で脱ぐから、離してよ~! 」

ツンの手を何とか振りほどき、しぃはツンから離れる。




323 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:33 ID:GMYVJWfZ0
ξ*゚ー゚)ξ「ちぇー。別に私が脱がしてあげてもいいのに~」

(;////)「ツンちゃんにそんな趣味があったなんて、知らなかったよ」

ξ゚⊿゚)ξ「あら? そんな趣味無いわよ。……ただ」

(;////)「ただ、なによ? 」

ξ*゚ー゚)ξ「しぃならいいかなーって気になっただけ」

そういってツンは、またしぃに近づこうとする。

(;////)「私はよくない!! 」




 


327 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:35 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚ー゚)ξ「ジョーダンよ。……そろそろお風呂にお湯溜まる頃だから
      入っておいで。風邪引いちゃうよ? 」

(;゚ー゚)「え? 」

ξ゚⊿゚)ξ「ほら早く。次に私も入るんだから。それとも、一緒に入る? 」

(;////)「……」

今度は「一緒に入る? 」という言葉にしぃは赤くなる。

ξ゚⊿゚)ξ「だから、冗談だって。制服は、脱衣所に置いておいて、洗濯しとくから」

(;////)「……うん。分かった」

しぃはそう返事をすると渡された着替えを抱いて浴室に向かった。

ξ゚⊿゚)ξ「さってと。お湯沸かさなきゃね」

しぃが浴室に向かったのを確認しヤカンをコンロにのせ火をつける。
しばらくして、浴室からシャワーの水音が聞こえてくる。

ξ゚⊿゚)ξ「しぃは入ったみたいね。じゃあ次は、制服を洗濯してっと」

そんな事を呟きながら、脱衣所に向かうと、洗濯籠に入ってるしぃの制服と自分の制服を
洗濯機に放り込み洗剤を入れるとスイッチを押す。

ξ゚⊿゚)ξ「これでよしっと」




328 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:36 ID:GMYVJWfZ0
その後、ツンが紅茶を淹れて部屋に運ぼうとしたところでしぃが出てきた。

(*゚ー゚)「ツンちゃん、お風呂あがったよ? 」

ξ゚⊿゚)ξ「あら? 早かったわね」

(*゚ー゚)「早くしないと、ツンちゃんが風邪引いちゃうと思って……」

ξ゚⊿゚)ξ「そんなの気にしなくていいのに。……ちゃんと温まったの? 」

(*゚ー゚)「うん」

そう返事をするしぃは頬を上気させ、先ほどまで青ざめていた唇には赤味が差している。

確かにちゃんと温まってきたようだ。

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ、今、紅茶淹れるから、私の部屋で待ってて」

(*゚ー゚)「うん。……ちゃんとツンちゃんも温まってきてね」

ξ゚⊿゚)ξ「はいはい、分かってるわよ」

そういって、ツンは自室にしぃを案内すると、紅茶を用意して浴室に向かった。




 


331 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:38 ID:GMYVJWfZ0
ξ-⊿-)ξ「ふー」

ツンは湯船に浸かると、大きく息を吐く。

ξ-⊿-)ξ(どんな気分の時でもこの瞬間だけはホッとするのは、やっぱり日本人なんだなー)

ツンはそんな事を思いながら、閉じた眼をゆっくり開く。

ξ゚⊿゚)ξ「やっぱり、しぃ。ブーンから今日の事、聞いてるよね」

この雨の中、三時間も待ってまで直接話したい事。
ブーンの事以外にあるはずも無い。
ツンはゆっくりともう一度目を閉じると小さくため息を付く。

ξ-⊿-)ξ(出来れば今日はそんな事は、話したくなかったな)

ツンの脳裏にそんな思考がちらつく。

ξ-⊿-)ξ(さっきは、勢いと空元気でどうにかなったけど……)


『この後、部屋に戻ってしぃと話したとき、いつもの態度でいられるだろうか? 』


そう考えたら自然とため息が漏れた。

ξ゚⊿゚)ξ「はぁ、まいったなー」

思わず言葉が漏れ、ツンはちょっとだけしぃに聞こえたのではないかとヒヤッとした。




332 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:40 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚⊿゚)ξ(かといって、追い返すわけにもいかないし)

それが出来るなら、家の前で会った時に追い返しているに決まってる。

家の前で、雨に濡れても震えながら待っていたしぃ。

ツンの顔を見た瞬間、少しだけ明るくなったしぃの表情は、
ツンの事を心配していたという言葉が、真実だった事を証明するには十分だった。

それが分かっているからこそ、ツンはしぃを追い返すことなんか出来なかった。

ξ-⊿-)ξ(ホント、お人好しねー。あそこまで良い娘だと逆にズルイわ)

お風呂には人を落ち着かせる作用が、あるのかもしれない。
その作用のせいか、そんな事を考えられるくらいに落ち着いていた。

ξ゚⊿゚)ξ「よし! ためらってもしょうがないし、しぃとじっくり話そう! 」

ツンはそう決意して浴室を後にした。




333 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:42 ID:GMYVJWfZ0
一人ツンの部屋に残されたしぃは、ぐるりとツンの部屋を見回す。

いままでにも何度か訪れたツンの部屋。
家具も寝具もパステル調で統一され、それでいて無駄なものは置かずシンプルな部屋。

いつ来ても綺麗に整頓され、清潔感に溢れたこの部屋は、なんとなくツンの性格をそのまま表している。

しぃがそんな事を思いながら見回していると、一箇所だけいつもと違う場所を見つける。

しぃの視線が止まった場所。

ベッドの枕元に置かれた、ハート型でピンク色の目覚し時計。
ツンがお気に入りと言っていた、その目覚まし時計の隣。

いつもは何も無いはずのその場所に置かれた写真立て。

(*゚ー゚)「これは、ツンちゃんとブーンとドックンかな? 」

写真の中には、今より少しだけ幼い顔付きをしたツンとブーンとドクオが写っている。

桜吹雪の中で三人とも、卒業証書らしき丸い筒を持ち校門と思われる場所に立っている所をみると
中学の卒業式に撮られた物だと推測できた。




334 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:44 ID:GMYVJWfZ0
左側には、ドクオ。
どこか気だるそうにそっぽを向き、右手にはなぜか卒業証書を二つ持っている。

右側には、ツン。
頬を赤らめているが、不機嫌そうな顔をしているのは無理やりブーンに誘われたのだろう。

そして、その二人の間には……。

両隣の幼馴染と手を繋ぎ、いつもと変わらず、明るい笑顔のブーン

(*゚ー゚)「やっぱり、三人は仲がいいんだね……」

その写真を見てしぃは少し疎外感を感じ、ため息を吐く。

ξ゚⊿゚)ξ「ただの腐れ縁よ」

いつの間にかお風呂から上がったツンが後ろに立っていた。

(;゚ー゚)「つ、ツンちゃん! いたの? 」

しぃはまるでイタズラがバレた子供のように驚く。

ξ゚⊿゚)ξ「そんなに驚かなくてもいいでしょ? その写真、もう隠す必要も無いんだから」

(;゚ー゚)「で、でも」

ξ゚⊿゚)ξ「隠す気があるなら、とっくに隠してるわよ」

そういってツンはテーブルの前に腰を下ろすと、ポットから紅茶を注ぐ。





 


339 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:46 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚⊿゚)ξ「しぃはミルクに砂糖二杯でいいんだっけ? 」

しぃの答えも聞かずにカップにミルクと砂糖を入れしぃの前に置き、自分の分を一口飲む。

ξ゚⊿゚)ξ「紅茶、冷めちゃうよ? 」

(*゚ー゚)「う、うん。いただきます」

しぃはツンと向かい合って座ると、紅茶に手を伸ばす。

(*゚ー゚)「……おいしい。ツンちゃんの淹れる紅茶って美味しいね」

ξ゚ー゚)ξ「まぁ、趣味だからね」

部屋には紅茶の優しい香りが漂い、穏やかな沈黙が広がった。

(*゚ー゚)(どうやって話を切り出したらいいんだろう)

すっかり和やかな空気が支配する空間でしぃは、話を切り出す機会をうかがう。
この話を切り出したら、空気は悪くなるのは確実だった。
そういう話をしようとしている自分が、もの凄く悪い女なような気がしていた。

しぃがそんな葛藤で何も言えなくなっている時、不意にツンが口を開く。

ξ゚⊿゚)ξ「……その写真ね、ブーンが無理やり私とドクオを引きずって、うちのパパに撮らせた写真なの。
      『別に高校も一緒なんだから撮らなくてもいいじゃん』ってドクオが言っても
      『でも、中学では最後だお!』って言って聞かないし、
      『子供じゃないんだから手を繋ぐのは止めなさい』って私が言っても
      『子供の頃は三人で繋いでたからいいんだお』って言って離さないし」




 


342 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:48 ID:GMYVJWfZ0
(*゚ー゚)「……」

しぃはツンの話が何を意味するのか分からず、黙って聞いていた。

ξ゚ー゚)ξ「昔っからそう。ブーンて周りの都合なんかお構いなしでね、場の空気なんか読めなかったの」

しぃがどう返事をしたらいいのか、困惑しているのに構うことなくツンは話を続ける。

ξ゚ー゚)ξ「……だからね、私がいじめにあってる時も、私から離れないでいてくれたの」

(;゚ー゚)「……っ! ツンちゃんいじめにあってたの?!」

ツンの告白にしぃは驚きの声を上げる。

ξ゚ー゚)ξ「うん。中学に上がったばっかりの時にね」

ツンは調子を変えず笑顔を崩すこともなく、なんでもない事のように言葉を続ける。

(;゚ー゚)「……えっと、こんな事聞いていいのか分からないけど、なんで? 」

しぃから見たツンは、美人で明るくて気さくで、およそいじめにあうような娘には見えなかった。

ξ゚⊿゚)ξ「うーん。やっぱり、この性格のせいかな? ほら、私ってキツイし、すぐ手が出るじゃない? 」

ツンは真顔に戻ると少しだけ考えて答える。

ξ゚⊿゚)ξ「それで、あまりにも態度が気に入らない女の子がクラスにいてね。つい、ビンタしちゃったのよ」

あはは、と笑いながらツンは手をヒラヒラさせた。




 


345 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:50 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚⊿゚)ξ「小学校が別だったから知らなかったんだけどね、その娘ワガママなお嬢だったらしくてね。
      それが原因で、クラスの女の子全員からハブられてさ。あの時は、さすがに参ったわね」

(;゚ー゚)「それ、笑い事じゃないよ、私だったら登校拒否しちゃうよ」

ξ゚⊿゚)ξ「私だって当時は、落ち込んだわよ。……でもね、私は一人じゃなかったから、平気だった」

(*゚ー゚)「それって……」

ξ゚ー゚)ξ「そっ。ブーンとドクオ」

しぃの回答を察したツンは、ニッコリ笑って先に答える。
その笑顔はまるで、宝物を自慢する子供のような笑顔だった。

ξ゚ー゚)ξ「あの時は、男子も私に対して腫れ物に触るような態度でさ。
      でも、あの二人だけは、私に普通に接してくれたの。
      ……他の男子みたいに距離を置くわけじゃなく、
      かといって変に優しくしてくれるわけでなく、ホントにいつも通り」

ツンは紅茶をスプーンでかき混ぜながら、ゆっくりと、子供に御伽噺を聞かせるかのように話を続ける。

ξ゚ー゚)ξ「ドクオは多分、気付いてたと思うの。ほら、アイツは察しがいいから。
      でも、ブーンはクラスの空気なんかぜんぜん読んで無くてね。
      クラスメイトがさりげなく忠告してもさ
      『おっ? 意味が分からんお』とか言ってんのよ。笑っちゃうでしょ? 」

そこまでは、まるで他人事のように笑顔で話すツンの表情が少し変わる。

その笑顔は友人と話す時の笑顔ではなく、
恋する女の子が愛しい人の事を語る、幸せに満ちた笑顔だった。




 


348 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:52 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚ー゚)ξ「……その、自然体の優しさがすごく心地よかった。だからぜんぜん辛くなかったの」

(*゚ー゚)「……」

しぃは相槌を打つことも忘れて、話を聞き入ってる。

ξ゚ー゚)ξ「私がいじめられてるのに気付かずにこれだけ優しくしてくれるなら、
      普段からコイツは、こんなに私に優しくしてくれてたんだって気付いたの。
      馬鹿な話だと思うけど、その時初めてブーンの優しさに気付いた。
      そうしたらスゴク心が温かくなったの。
      ……その時かな? ブーンの事ずっと好きだったって気付いたのは」

(*゚ー゚)「……」

ξ゚ー゚)ξ「もうずっと前から、ブーンの裏表の無い優しさが心地よかった。
      それがブーンの事が好きってことなんだって気付いたの。
      ……そう思ったら、何にも辛くなかった。別に女の子の友達なんかいらなかった。
      結局、2年になってクラス替えがあるまでブーンとドクオ以外に友達、出来なかったけどね」

ツンは紅茶を一口のみ、のどを潤すと話を続ける。

ξ゚ー゚)ξ「2年になってそのお嬢様とも違うクラスになったら、
      いじめなんか無くなったんだけど、なんとなく女の子が怖くてね。
      ちょっとした事で友達じゃなくなる人と友達になるくらいなら、
      この二人さえいてくれるだけでいいって思っちゃって。
      ……だから、しぃは私にとって貴重な女友達なの」

(*゚ー゚)「……ツンちゃん」

ξ゚⊿゚)ξ「だから、はっきりさせよ? こんなことでしぃと気まずくなるのやだもん」




 


352 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:54 ID:GMYVJWfZ0
ツンは真顔になるとしぃを真正面から見据える。

ξ゚⊿゚)ξ「しぃは、ブーンの事好き? 」

(*゚ー゚)「うん。……私はブーンが大好き。この気持ちはツンちゃんにも負けない」

ξ゚⊿゚)ξ「……そっか」

しぃの真っ直ぐな言葉にツンは納得したように頷く。

ξ゚⊿゚)ξ「……なんか、しぃがうらやましいな」

(*゚ー゚)「なんで? 」

ξ゚ー゚)ξ「私、そんなに素直に言えないもん」

ツンは少しだけ寂しそうな、それでいてどこか晴れ晴れとした笑顔で答える。

(*゚ー゚)「……ツンちゃん、一つだけ聞いてもいい? 」

ξ゚⊿゚)ξ「何? 」

しぃは真顔で、一呼吸おいてから口を開く。




 


356 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:56 ID:GMYVJWfZ0
(*゚ー゚)「私、ツンちゃんも大好きだよ。……だから、これからも友達でいてくれる? 」

ξ゚⊿゚)ξ「……しぃってズルイわ」

(;゚ー゚)「えっ?! なんで? 」

ツンの予想外の返事にしぃは戸惑う。

ξ゚ー゚)ξ「ホントいい娘なんだもん。嫌いになれるわけ無いじゃない」

(*゚ー゚)「……ツンちゃん」

ξ゚ー゚)ξ「これからも、よろしくね」

そういって微笑むツンの顔には寂しさが消えていた。

(*;ー;)「……よかった」

そんなツンの言葉にしぃは泣いていた。

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっと、しぃ! 何泣いてるのよ」

(*;ー;)「だ、だって、ツンちゃんに嫌われてたらどうしようって思ってたから。
     ……だ、だから、ツンちゃんの言葉が嬉しくて」

しぃは泣きながら笑顔で答える。




 


359 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 10:57 ID:GMYVJWfZ0
ξ;ー;)ξ「馬鹿ねー。それくらいで泣くんじゃないわよ」

そういっているツンの目にも涙が零れていた。

(*;ー;)「ツンちゃんだって、泣いてるよ? 」

ξ;ー;)ξ「しぃのせいでしょ。……しぃが嬉しいこと言ってくれるから」

(*;ー;)「じゃあ、私と一緒じゃない」

ξ;ー;)ξ「……そうだね」

そういって二人は泣きながら笑いあった。










360 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:00 ID:GMYVJWfZ0
―6月17日(土曜日)―

―時刻・AM7:59―

( つω`)「もう、朝かお? 」

今日は休日。しぃとどこかに出かける約束もしていない。
本来なら昼過ぎまで寝ているような条件だったが、珍しくブーンは目を擦りながら、上体を起こす。

( ´ω`)「……結局、眠れなかったお」

大きく伸びをしながらポツリと呟く。



『ホントは二人とも傷つけないのが一番なんだと思うお。……でも、すでに傷つけた以上そんな事は出来ないお。
 だから二人のうちどちらかを選ぶなら、しぃを傷つけないことを選ぶお。その上で、ツンを傷つけた責任を取るお』

『……責任って?』

『……まぁ、顔の形が変わるまで殴られる事にするお』



ブーンは昨日のしぃとの会話を思い出し、ため息を吐く。

( ´ω`)「とは、言ったもののどうすればいいお」

しぃの手前、カッコつけたまではよかったが、具体的に何をしたらいいのか分からずにいた。




 


366 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:01 ID:GMYVJWfZ0
( ´ω`)(このままじゃ、僕だけじゃなくてしぃとツンも気まずいままだお)

なんとか彼氏としてしぃの力になってあげたい。そんな気持ちで一杯だった。

( ´ω`)(僕はともかく、しぃとツンの間だけでも取り持てないものかお)

二人の問題の原因がブーンである以上、ブーン抜きにして解決はありえない。
そんなこと、当たり前なのだが、ただでさえ物事を深く考えない性格のブーンが
寝不足の頭考えても、そこまで考えが及ぶはずもなく、ただ頭を抱えていた。

( ´ω`)(顔の形が変わるまで殴られて、全てが解決するならそうしてもらいたいぐらいだお)

元より物事を考えるのが嫌いなブーンにしてみれば、そこに考えが到着するのに時間はさほど掛からなかった。

( ´ω`)「僕はどうしたらいいお。誰か教えて欲しいお」

そう口にしたところで机の上に置かれた携帯が着信を知らせる。

( ´ω`)「こんな時間に一体誰だお? 」

ブーンがなんとなく壁に掛かった時計を見ると丁度AM9:00を指している。
ブーンにしてみれば10分くらいのつもりだったが、いつの間にか起きてから1時間近くも悩んでいたらしい。

( ´ω`)「……こんな時間って言うほど早い時間でも無かったお」

起きてから1時間もウジウジと悩んでいた自分の情けなさにため息を吐きながら、
ブーンは発信者も確認せずに通話ボタンを押す。

( ´ω`)「……もすもす。誰だお? 」




 


369 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:03 ID:GMYVJWfZ0
覇気の無い調子で話すブーンの耳に、鼓膜を破らんばかりの大声が突き刺さる。

ξ#゚⊿゚)ξ「いつまで寝とるかーーーー!! このボケナスーー!!! 」

( ☆ω<)「耳がーーー! 耳がいてぇお! 」

ブーンは反射的に携帯を耳から離す。

ξ#゚⊿゚)ξ「うるさい!! 休みだからっていつまでも寝てるアンタが悪い!! 」

(;^ω^)「ツ、ツン! 一体どうしたんだお? 」

携帯越しにいつも通り……本当にいつも通り怒鳴りつけるツンに、ブーンは面食らいながら聞き返す。

ξ゚⊿゚)ξ「アンタ、今日暇でしょ? 」

(;^ω^)「暇だお? それがどうしたんだお? 」

ξ゚⊿゚)ξ「なら、勉強道具一式持って市立図書館に来なさい」

(;^ω^)「へ? なんでだお? 」

ツンの言葉の意味が分からずブーンは間抜けな声で聞き返す。

ξ#゚⊿゚)ξ「図書館で勉強する以外に何があんのよ?! アンタは図書館でプロレスでもする気?! 」

(;^ω^)「勉強? なんでだお? 」

ξ#゚⊿゚)ξ「アンタが、一昨日『4人で勉強するお』って言ってたんじゃない! 」




 


371 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:05 ID:GMYVJWfZ0
(;^ω^)「あ、あれは、言葉のアヤってやつだお」

ξ#゚⊿゚)ξ「そんな余裕がアンタにあるの? こないだの中間、平均点と順位いくつだっけ? 」

ブーンの言葉にツンの声はヒートアップしていく。

(;^ω^)「……えっと、平均57くらいで342人中169番だお」

ξ#゚⊿゚)ξ「ちなみに私は平均86の18番よ。……しぃはいくつだっけ? 」

ツンがそういうと電話口の向こうから声が聞こえる。

『えっと、平均88だったかな? 11番だったよ』

(;^ω^)「ちょ、しぃも一緒にいるのかお? 」

ξ゚⊿゚)ξ「いるわよ。昨日うちに泊まったんだから……しぃ、ドクオのは覚えてる? 」

『確か平均80くらいだっけ? 順位は……覚えてないなぁ』

(;^ω^)(しぃが泊まった? 一体何があったんだお? )

ツンとしぃの会話をよそにブーンがそんな事を考えてると、
その思考を停止するようにツンの怒鳴り声が耳に届く。

ξ#゚⊿゚)ξ「ちょっと! 聞いてるの!! 」

(;^ω^)「き、聞いてるお! それがどうしたんだお?! 」

ξ#゚⊿゚)ξ「ここまで聞いて分からないの? このままだとアンタだけ別の大学になるわよ? 」




 


375 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:06 ID:GMYVJWfZ0
(;^ω^)「へ? 大学受験なんて来年の話だお? 」

ブーンの呑気な言葉が、ツンの逆鱗に触れた。

ξ#゚⊿゚)ξ「こんのドアホ! 来年から始めて間に合うか!! 」

( ☆ω<)「ギャーーース!! 耳がイカレるお!! 」

ξ#゚⊿゚)ξ「イカレてるのは、アンタの頭よ!! この、腐れピーマン!! 」

(;^ω^)「……とても、女の子の言う言葉じゃ無いお」

ξ#゚⊿゚)ξ「やかましい! そんな事言うと、しぃの身の安全は保障しないわよ! 」

『ツンちゃん、なんで私なの! 』

ξ゚ー゚)ξ「だって、ブーンいじめても面白くないもん。しぃの方がいじめがいがあるじゃない? 」

『「あるじゃない? 」じゃないよ! ……って、ちょっと! ツンちゃん何処触ってるの! 』

ξ゚ー゚)ξ「……ブーンも聞いてるのに言っていいの? 」

『あっ! やっ! 言っちゃダメ!! 』

(;^ω^)(一体何してるんだお? )

電話越しに聞こえる二人のやり取りにブーンが胸を躍らせていると、ツンのドスの効いた声が届く。

ξ#゚⊿゚)ξ「……アンタ、聞き耳立てるのはいいけど、ハァハァするの止めなさいよ。正直、キモイ」




 


378 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:08 ID:GMYVJWfZ0
(;^ω^)「き、聞こえてたのかお?! 」

ξ#゚⊿゚)ξ「あれだけ、あからさまにハァハァ言ってたら分かるわよ」

『……ブーン最低』

ツンの言葉からブーンの様子に気付いたらしい、しぃの声が小さくブーンの耳に届く。

( ;ω;)「……なんか、朝から人として大事なものを失ってしまった気分だお」

ξ゚⊿゚)ξ「じゃ、そういうわけだから。11:00に図書館の前に集合ね」

傷心のブーンを無視して、ツンは一方的に用件を伝えると電話を切る。

ブーンの耳には、プーップーッっという回線の切断された音だけが響いていた。

(;^ω^)「……それにしても、ツンとしぃの間に何があったんだお? 」

携帯の通話終了ボタンを押し、机の上に置くとブーンは首を傾げる。

電話越しに聞こえた二人の会話は明らかに、ブーンとしぃが付き合う前の頃のようだった。

(;^ω^)「と、とりあえず悩んでも仕方ないお」

ブーンはそういって思考を停止すると身支度を整え始めた。




 


382 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:10 ID:GMYVJWfZ0
―時刻・AM10:47―

ブオンッと一度だけエンジンをふかすとキーを回してエンジンを切る。
そのままハンドルロックをかけ、ドクオはヘルメットを脱いだ。

('A`)「あっちーな。梅雨明けしてねーのに、こんなに晴れて今年の夏は大丈夫か? 」

昨日とはうって変わって、暑いくらいの陽気の中、柄にもなく水不足の心配をしつつ
ドクオは一人ボヤくと、ヘルメットを横に引っ掛け駐輪所を後にする。
図書館の入り口にドクオが目を向けると、そこには先客が二人。

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ、バイクで来るなんて珍しいじゃない」

('A`)「急に呼び出すからだろ。歩いたら確実に間に合わん」

(*゚ー゚)「ドックン、バイクなんて持ってたんだ」

しぃの問いかけにドクオは少しだけ考えて、思い出したように口を開く。

('A`)「ん? ……あー、そうか。ツンしか知らなかったんだっけか」

(*゚ー゚)「ツンちゃんは知ってたんだ? 」

ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと前に、たまたま会ってね」

(*゚ー゚)「へー。そうなんだ」

ξ゚⊿゚)ξ「あの時は、びっくりしたわよ。もう暗くなってる時間に後ろから来たと思ったら、
       いきなり隣に停まってこっちジーッと見てるんだもの。どこの変質者かと思ったわよ」




 


385 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:12 ID:GMYVJWfZ0
(*゚ー゚)「……変質者って。その前に知り合いかな? とか思わない? 」

ξ゚⊿゚)ξ「だって、フルフェイスのヘルメットじゃ顔が分からないじゃない。
      そんなのが黙ってこっち見てたら、怖いわよ。」

ドクオをそっちのけにして二人の会話は弾む。

ドクオは近くの自販機で缶コーヒーを買うと、その様子をコーヒーを飲みながら黙って聞いていた。

('A`)(……俺の知らないところでこの二人に何かあったのかね? )

昨日、ツンがブーンを呼び出したのが告白の為であったことは、ドクオも分かっていた。

その後、ブーンの顔を見たらおそらく冷静ではいられないと思ったドクオは先に帰宅することを選んだ。

元々、ブーンとしぃとツンの三人の問題であって
自分が口出すべきではない問題だと考えていたドクオにしてみれば、当然の選択だった。

('A`)(……まぁ、何があったかは分からんが、いい方向に向かってるのはいいこった)




 


388 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:13 ID:GMYVJWfZ0
ドクオがそんな事を考えていると、ツンがそんなドクオに不審な目を向ける。

ξ゚⊿゚)ξ「アンタ、何悟ったような顔してこっち見てんのよ」

('A`)「別に、お前ら仲いいなと思っただけだよ」

ドクオが馬鹿ばかしいと言わんばかりに口をゆがめて笑うと、ツンは更に食って掛かる。

ξ*゚⊿゚)ξ「当たり前じゃない。私としぃは友達だもん。何? うらやましいの? 」

そういってツンはしぃに抱きつく。

(*゚ー゚)「もー、ツンちゃん。暑いよー」

ξ*゚⊿゚)ξ「気にしない。気にしない」

(*゚ー゚)「気になります。……あれ? ドックンどうしたの? 」

しぃは仲睦まじい二人の様子を黙ってみているドクオに問いかける。

('A`)「いや、見事に百合の花が咲いとるなと思ってな」

そういってドクオはニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべる。




 


392 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:16 ID:GMYVJWfZ0
*゚⊿゚)ξ「……百合? 何それ」

('A`)「レズ」

(;////)「そんなんじゃないよ!! 」

ドクオのストレートな表現にしぃは顔を真っ赤にして否定する。

('A`)「冗談なんだからそんなにムキにならなくても」

(;////)「冗談でも言っていい事と悪い事があるよ! 」

ξ*゚⊿゚)ξ「あら? しぃが相手なら私はいいわよ? 」

(;////)「こら! ツンちゃんも調子に乗らないの! 」

('A`)(まぁ、この様子ならツンがいなくなるなんて心配はいらんかもな)

そんな事を考えながら缶コーヒーを飲み干すとゴミ箱に放り込むと、一つだけ忘れていたことを思い出す。

('A`)「そういえば、ブーンはまだ来てないのか? 」

ドクオがポケットから携帯を取り出し時間を確認するとPM11:09と示されていた。

ξ゚⊿゚)ξ「また、遅刻ね」

('A`)「そのようだな」

(*゚ー゚)「……こればっかりは、どうにもならないね」




 


394しまったツンの髪消えたwww ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:18 ID:GMYVJWfZ0
三人が顔を見合わせてため息をつくと、
まるでそれを見計らっていたかのように疾走する人影が近づいてくる。

⊂ニニ(;`ω´)二⊃「ブーーーーーン!!!!!!! 」

もの凄い形相でブーンが走ってくる。

(;^ω^)「三人ともおはy……」

ξ#゚⊿゚)ξ「ドルァ!! 」

先鋒はツン。
稲妻のような右ストレートが顔面に炸裂する。

(;゚ω(♯)「ブゴォ」

('A`#)「もういっちょ!! 」

中堅はドクオ。
ツンのストレートが炸裂する前にブーンの後ろに回りこみ、
吹っ飛んできたブーンの背中にカウンターの前蹴りをぶち込む。

(;゚ω(♯)「げふぉ」

背中に受けた衝撃によりブーンの呼吸は一瞬止まり、
その場に膝から崩れると思いっきり咳き込む。

(;゚ω(♯)「ちょ、普段より手荒いお」




 


399 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:19 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「ちょっと早いが夏の増量キャンペーンだ」

ξ゚⊿゚)ξ「さて。まだ、あと一発残ってるわよ」

そういったツンの後ろに大将・しぃが笑顔で立っている。

(*゚ー゚)「……ブーン、大丈夫? 立てる? 」

そういってしぃは手を差し伸べる。

( ;ω(♯)「おっおっおっ。やっぱりしぃは優しいお」

ブーンはしぃの手を借りて立ち上がると、その様子を見ていたツンが冷たく言い放つ。

ξ゚⊿゚)ξ「……しぃ、やっちゃいなさい」

( ;ω(♯)「お? 」

(*゚ー゚)「……ごめんね。でも、ルールだからね」

そういうとしぃはツンに殴られたブーンの左頬を思いっきりつねる。

( Tω(♯>「おーーー!!!! いてぇおーーー!!! 」

てっきりいつもの様にデコピンで済ませてくれると思っていたブーンは、情け無い悲鳴を上げる。




 


402 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:21 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚⊿゚)ξ「アンタがいつまでも、しぃに甘えてるからよ」

('A`)「まぁ、おおむね正論だわな」

( ;ω(♯)「……とうとう、しぃまでこんな事するようになったのかお」

ブーンが落ち込んでいると、しぃはぼんやりとその様子を眺めていた。

ξ゚⊿゚)ξ「……しぃ? どうかした? 」

それに気付いたツンがしぃに問いかける。

(;゚ー゚)「……ツンちゃん、どうしよう」

ξ゚⊿゚)ξ「何が? 」

(*゚ー゚)「……ちょっと、快感かも」

( ;ω(♯)「ちょ! もしかしてこれ死亡フラグかお? 」

ξ゚⊿゚)ξ「アンタが遅刻しなきゃいいだけの話でしょうが」

三人がそんなやり取りをしているとドクオがあきれたように口を挟む。

('A`)「早く、入ろうぜ。暑くてかなわん」

そういい捨てて先に入っていくドクオを、三人は慌てて追いかけ図書館に入っていった。




 


407 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:23 ID:GMYVJWfZ0
―PM6:01―

それから途中休憩を挟みながら6時間強に及ぶ勉強。
といっても、その大半はブーンに三人掛かりで勉強を教えることに費やされていたが。

ドクオがキレて、ブーンが逆切れして、ツンが殴って、しぃがなだめる。
そんな事を繰り返しているうちにあっという間に6時間が過ぎていた。

( ´ω`)「もう、英文も数式も一ヶ月は見たく無いお」

自習室の机に突っ伏してブーンが情けない声を上げる。

ξ゚⊿゚)ξ「アンタ、何言ってるのよ。私なら2時間くらいで済ませる量よ。コレ」

ツンはあきれた様にため息を吐く。

('A`)「オメーがすぐ『わかんねーお』とか言ってキレるからだろーが。この頭は飾りか? 」

ドクオはブーンの頭をコンコンと叩く。

( ´ω`)「頭なんか飾りですお。偉い人にはそれが分からんのですお」

('A`)「ジオ○グの頭は飾りじゃねーだろ」

机に突っ伏したままのブーンの頭をドクオが一回だけひっぱたくと、ペシンと小気味の良い音がした。

( ´ω`)「もう、大学なんてどこでもいいお。入れるところを探すお」

ξ゚⊿゚)ξ「あると思ってるの? この成績じゃ入れるとこないわよ」




408 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:24 ID:GMYVJWfZ0
ブーンの言葉にツンはあきれながらオーバーに危機感を煽って答える。

( ´ω`)「じゃあ、専門学校行くか就職するお」

(*゚ー゚)「もー。そんな投げやりにならないで4人で同じとこ行こうよ」

ブーンがさらにいじけたのを見てしぃが笑顔で励ます。

( ^ω^)「そういえば、みんな大学どこにいくつもりなんだお? 」

しぃの励ましで少しだけ気分を持ち直したブーンが3人に聞く。

ξ゚⊿゚)ξ「三人とも地元の美府大志望よ? ……しぃは正直もったいないと思うけどな」

(*゚ー゚)「まぁ、しょうがないよ。うちはパパが一人暮らし反対してるし。
     地元から通えるところなんて美府大しか無いじゃない?何時間もかけて学校行くのは嫌だし。
     私は教育学部さえあればどこでもいいもん。ツンちゃんはなんで美府大にしたの? 」

ξ゚⊿゚)ξ「私は成績で無理しないでいける所って考えたら、美府大だっただけよ。
      美府大ならそれなりに見栄えするし、高校生活が受験勉強だけってのは寂しいじゃない」

(*゚ー゚)「ツンちゃんこそ、もったいないよ」

ξ゚⊿゚)ξ「そうかな? 」

しぃの指摘にツンが首を傾げると、ドクオが会話に割って入る。

('A`)「二人とも贅沢だよな。俺なんか自分のいける一番いいところで考えて美府大なのによ。
    下手すりゃ、来年には進路変更しなきゃいけないかもしれんのに」




409 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:26 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚⊿゚)ξ「アンタなら大丈夫でしょ? 最近、成績伸びてるみたいだし」

('A`)「一応、クー姉に教えてもらいながら勉強してるからな。
    これで成績上がらんかったらクー姉に何されるか分からん」

( ^ω^)「みんな、ちゃんと考えてたのかお? 」

三人のやり取りを黙って聞いていたブーンがそんな事を呟く。

ξ゚⊿゚)ξ「当たり前でしょ」

( ^ω^)「当たり前なのかお? 」

呑気にそんな事を言うブーンを見てドクオがため息を吐く。

('A`)「……しぃ、苦労するな」

(*゚ー゚)「……うん」

ドクオの同情を受けてしぃもため息を吐く。

(;^ω^)「ちょ、それどういう意味だお」

('A`)「言葉通りだが」

(;^ω^)「そ、そんな事無いお。これから勉強頑張るお。僕はやれば出来る子なんだお」




 


412 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:28 ID:GMYVJWfZ0
そのブーンの言葉に三人が反応する。

('A`)「言ったな? 」

ξ゚⊿゚)ξ「しぃも聞いたわね? 」

(*゚ー゚)「もちろん」

(;^ω^)(お? この展開はまずくないかお? )

嫌な予感は大体当たる物であり、その法則に従うようにブーンの予感が的中した。

('A`)「じゃあ、月曜から毎日放課後、勉強会だな」

(*゚ー゚)「そうだね。それくらいしないとボーダーライン越えそうもないしね」

ξ゚⊿゚)ξ「三人で勉強見てあげるから感謝しなさい」

Σ(;^ω^)(しまったお! これは孔明の罠だお! )

ブーンがそう思った時には既に術中に嵌っていた。

ξ#゚ -゚)ξ「返事は? 」

この状態になったツンに逆らう術など、持ち合わせていないブーンは頷くしかなった。

( ´ω`)「わかりましたお」

ブーンが頷いたところで今日の勉強会はお開きとなった。




 


414 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:29 ID:GMYVJWfZ0
―PM6:32―

四人が図書館を出ると日が暮れ始めていた。

(*゚ー゚)「もう、暗くなってきてるね」

( ^ω^)「じゃあ、しぃ。僕がおくtt…」

ブーンが言いかけたところで、ツンがそれを遮るように声を上げる。

ξ゚⊿゚)ξ「ブーン、たまには送ってよ。近所なんだし、いいでしょ? 」

(;^ω^)「えっと、僕はしぃを……」

(*゚ー゚)「ブーン、送ってあげて」

再びブーンが口を開いたのを遮ったのはしぃだった。

(;^ω^)「で、でも……」

(*゚ー゚)「いいから。ね? 」

(;^ω^)「……わかったお。しぃがそう言うならツンを送っていくお」

珍しく、折れないしぃに押し切られブーンはそれを承諾した。




415 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:31 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚⊿゚)ξ「じゃ、ドクオ、しぃ。また月曜ね」

そういってブーンとツンは帰路についた。

そしてそれを見送るしぃとドクオだけが残された。

('A`)「おまえら、昨日何があったんだ? 」

ツンとブーンの姿が見えなくなった頃、ドクオがポツリと呟く。

(;゚ー゚)「なんのことかなぁ? 」

('A`)「とぼけなくていい。お前とツンの間に何かあったことくらい分かる」

(;゚ー゚)「はぁ、やっぱりドックン鋭いねー」

しぃはドクオの口調から誤魔化すことが出来ないことを悟るとため息を吐く。

('A`)「どう考えても、今回は俺が鋭いかどうかは関係ないだろ。ブーンだって多分気付いてるぞ」

Σ(;゚ー゚)「うそ?! 」

('A`)「最近、しぃとブーンを避けるようにしていたツンの態度が、急にお前らが付き合う前より仲良くなってる。
   昨日、ツンがブーンに告白しているにも関わらずだ」

(;゚ー゚)「ドックン、なんでツンちゃんがブーンに告白したの知ってるの? 」

('A`)「ん? だって、ツンを焚きつけたの俺だし」

ドクオは「まさか、次の日に行動するとは思わなかったけどな」と付け加えると少しだけ口元が緩む。




 


419 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:32 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「……しぃ、お前のお陰だ」

(;゚ー゚)「な、なにが? 」

ドクオの言った言葉の意味が分からずしぃは首を傾げる。

('A`)「正直なこというと、ツンを焚きつけたことを後悔してたんだ。……余計なことをしたかも知れないって」

(;゚ー゚)「……」

ドクオが沈痛な面持ちで話すのをしぃは黙って聞いていた。

('A`)「昨日、ホントは怖かった。ツンが俺のせいであんな行動に出て、
    お前らが別れるようなことになったらって考えたら、俺は余計なことしたんじゃねぇかってな」

(*゚ー゚)「……」

('A`)「……でも、そんな事にはならなかった。お前らの間に何があったのかは分からんけど、
   多分、二人の間に挟まれたしぃが頑張ったお陰だと思う」

そういってドクオはしぃに向き直るとうっすらと微笑む。

('∀`)「……だから、ありがとう」

(*゚ー゚)「……」

ドクオの言葉を聞いたしぃは黙ってドクオを見つめる。

('A`)「どうかしたのか? 」




 


422 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:35 ID:GMYVJWfZ0
(*゚ー゚)「……ドックンってそんな風に笑えたんだね。
     いつも、口の端を吊り上げて『ヘッ』って意地悪そうに笑うのに」

リアクションの無いしぃにドクオが声を掛けると、しぃからどこか的の外れた答えが返ってきた。

('A`)「悪かったな。邪悪な顔してて」

(;゚ー゚)「ご、ゴメン。そんなつもりじゃなくて……」

('A`)「心配すんな。気にしてねぇよ」

ドクオはそういって、2、3歩前に出ると大きく伸びをする。

('A`)「さて、帰るか。送ってくぜ? 」

ドクオは振り返ってしぃの方へ視線を向けるとポケットからキーを取り出し、
キーホルダーのリングに指を通すとクルッと回す。ドクオの手の中でキーがチャリと音を奏でた。

(*゚ー゚)「うん」

しぃがそう返事をすると同時に『く~』と音が聞こえた。

(*////)「あっ! 」

みるみるうちにしぃの顔が赤くなる。

('A`)「そういや、昼飯食って無かったな。何か食ってく? 」

(*////)「え? あ? うん」




 


424 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:37 ID:GMYVJWfZ0
―時刻・PM6:51―

ξ゚⊿゚)ξ「……」

(;^ω^)(会話がねーお)

市立図書館を後にした二人は無言で歩く。
普段よりゆったりとした歩調ではあったが、市立図書館から20分。
いつも待ち合わせているコンビニが前方に見えてきていた。

(;^ω^)(……大体、普段は『送って』なんて言わないのに、今日に限って一体なんなんだお? )

ブーンは隣を歩くツンの表情を盗み見る。

ξ゚⊿゚)ξ「……」

隣には普段通りのツンが黙って歩いている。

(;^ω^)(一体しぃとの間に何があったんだお? )

昨日の今日でツンの態度が一変したことに疑問を持ったブーンは
先ほどからそんな事ばかり考えていた。

しぃと付き合ってから約一ヶ月。
どことなく距離を置いているような態度を取っていたツン。

それも、昨日の告白のお陰で意味が分かった。

その時は自分の鈍さに絶望した。
これからツンとどう接するべきか悩んでいた。




 


429 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:39 ID:GMYVJWfZ0
そんな矢先にツンは本当にいつも通りに接してきてくれた。

(;^ω^)(ツンは何を考えてるんだお? )

その言葉を口にすれば謎は解ける。
人の心を理解したければ、話すしかない。それでも、ブーンは聞けずにいた。

そんな事を考えているうちにいつものコンビニを通り過ぎ、十字路に出る。

(;^ω^)(ここはツンを家まで送るべきなのかお? )

ツンの家に行くには横断歩道を渡って右に、ここで別れるなら直進。
この選択はブーンにとってまるで人生の岐路に立たされた気分だった。

(;^ω^)(……ど、どうするべきなのかお? )

そんな、ブーンに救いの声のようにツンが口を開く。

ξ゚⊿゚)ξ「……ねぇ。ブーン? 」

(;^ω^)「な、なんだお? 」

横断歩道を渡りきった所でツンが立ち止まったので、ブーンもそれに合わせて立ち止まる。
ブーンがツンの方へ視線を向けるとツンは黙ってブーンを見つめていた。

ξ゚⊿゚)ξ「……ブーン。目を閉じて」

ツンにしては珍しく、聞き取りづらいくらい小さな声で呟く。

(;^ω^)「わかったお」




430 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:40 ID:GMYVJWfZ0
ツンの艶っぽい声にドキドキしながらも、ブーンは言われた通りに目を閉じる。

ξ#゚⊿゚)ξ「だっしゃらぁぁぁぁーーー!!! 」

その瞬間、左頬が熱くなった。

(;゚ω(#)「プルォ!! 」

ツンお得意の右フック。

ブーンがそう認識できたのは、その衝撃に驚いて目を開けた視線の先に、
拳を振りぬいたツンの姿を確認できたからであった。

(;^ω(#)「もの凄く、痛いお」

ξ#゚⊿゚)ξ「あったり前でしょ! 本気で殴ったんだから! 」

(;^ω(#)(という事は、普段はあれでも手加減してたのかお? )

そんな考えが脳裏によぎったブーンだったが、
その前に確認しなければいけない事があることを思い出す。

(;^ω(#)「いきなり、なにするんだお!! 」




 


433 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:42 ID:GMYVJWfZ0
よく考えてみれば、今日遅刻した分の罰は既に受けている。
つまり、今殴られる理由が無い。

ξ#゚⊿゚)ξ「しぃに聞いたわよ。……アンタ、私を傷つけた責任取る為に
       顔の形が変わるまで殴らせてくれるんでしょ? 」

Σ(;^ω(#)(あ、アレの事かお!! )

ξ#゚ー゚)ξ「そういう事は早く言いなさいよ。いくらでも殴ってあげるから」

ツンは目元の笑ってない笑顔で、指の間接をパキパキと鳴らす。

ξ#゚ー゚)ξ「何回も殴ると私が疲れるから、後一発で済ませてあげるわ。目を閉じて懺悔なさい」

(;^ω(#)(仕方ないお。これで僕の罪が許されるなら安いもんだお)

(;^ω(#)「お手柔らかに頼むお」

そういってブーンは目をきつく閉じ歯を食いしばる。

ξ#゚⊿゚)ξ「いい覚悟ね。いくわよ」

(;>ω(#)「……っ!! 」

ブーンが覚悟を決めて、おそらく一発目と寸分たがわぬ位置に来るであろう衝撃に備える。








 


437 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:43 ID:GMYVJWfZ0
……だがその覚悟は空振りに終わる。

ぺチンという音と共に額に何かが当たる感触。

(;^ω(#)「……お? 」

ブーンが恐る恐る目をあけると、目の前にはツンの右の手のひらが見えた。

ξ゚⊿゚)ξ「……なに、マヌケな顔してるのよ」

(;^ω(#)「……えー、終わりですかお? 」

ξ゚⊿゚)ξ「それで、勘弁してあげるわよ。
       ただでさえ肉マンみたいな顔してるのに、ホントに顔の形変わったらしぃが困るでしょ?
       べ、別にアンタのこと心配してる訳じゃないんだから」

( ^ω^)「……ツン、ゴメンお」

ブーンは静かにそういうと頭を下げる。

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょ、ちょっと! ブーン何言い出すのよ」

( ^ω^)「僕が空気読めないせいで、ツンには酷いことをしたお。
      でも、僕はツンの気持ちに応えてあげられないお」

ブーンはツンの言葉に耳を貸さず言葉を続ける。

( ^ω^)「本当にゴメンお。ツンの気持ちは嬉しかったお。だから、僕も正直に答えをだすお」

ξ;゚⊿゚)ξ「……」




 


439 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:45 ID:GMYVJWfZ0
ツンを正面から見据えたブーンは一回だけ大きく深呼吸をすると、迷いの無い表情で言葉を紡ぐ。

その、表情は幼馴染のツンでさえ、今まで見たこともないくらい真剣な表情だった。

( ^ω^)「ツンの事、好きだお。だけどそれは友達としての感情であって、異性としてじゃないお。
      僕が今異性として一番好きなのはしぃだお。だから、ツンの気持ちに応えられないお」

ブーンの言葉にツンは顔を伏せる。

ξ ⊿ )ξ「……ばか。いまさらそんな事、言わなくても分かってるわよ」

( ^ω^)「……それでも、僕には言わなきゃいけない義務があるんだお。
      女の子の気持ちにはちゃんと答えを出すのは男の責任だお。
      告白されたら、きちんと答えを出すのが男として最低限の礼儀だと思うお」

ξ ⊿ )ξ「……振る方だって辛いのに? 」

( ^ω^)「こんなの、ツンの辛さに比べたら小さいもんだお」

ξ ⊿ )ξ「……ばか。アンタ本当にばかだわ」

( ^ω^)「……分かってるからそんなに連呼しないで欲しいお」

その言葉を聞いたツンが顔を上げる。




 


442 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:46 ID:GMYVJWfZ0
ξ;⊿;)ξ「分かってないわよ。ここで泣いたら台無しだから、必死で堪えてたのに」

顔を上げたツンの瞳は涙で濡れていた。

ξ;⊿;)ξ「……ホントに空気読めないんだから」

(;^ω^)「それは否定できんお」

ξつ⊿;)ξ「……でも、ありがとう。私これで前に進める」

そういってツンは涙を拭う。

ξ゚⊿゚)ξ「ブーン。最後に一つだけ、私のワガママ聞いてくれる? 」

( ^ω^)「……何だお? 」

ブーンが承諾するとツンはブーンの真正面に立ち真っ直ぐにブーンを見つめる。
ツンの瞳にはブーンが、ブーンの瞳にはツンがそれぞれ映っていた。

そのまましばし無言の時が流れる。

日は完全に沈み辺りには夜の帳が下りている。
時折、交差点を通過する車のヘッドライトが二人を照らす。

まるで舞台に立つ主人公とヒロインを照らすスポットライトのように。








 


445 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:48 ID:GMYVJWfZ0
何台の車が過ぎたのか分からなくなった頃、ツンが口を開く。

ξ゚⊿゚)ξ「……ゴメン。やっぱりなんでもない」

( ^ω^)「……そうかお? 」

ξ゚⊿゚)ξ「うん。……じゃ、私帰るね」

自宅に向かって歩き出そうとするツンをブーンは慌てて呼び止める。

( ^ω^)「あっ、家まで送るお」

先ほどまでブーンにとって、人生の岐路に立たされているかのように思われた分かれ道が、
今はただの道に見えた。

そう思ったら自然に言葉が出た。

ξ゚⊿゚)ξ「こんな夜道、私みたいな美人が一人で歩いてたら危ないし、当然ね」

( ^ω^)「おっおっおっ、ツンが相手じゃ空腹の熊だってシャケ置いて命乞いするお」

ξ#゚⊿゚)ξ「んだと! ゴルァ!! 」

(;゚ω(#)「あうちっ! 」

恋人同士とは違う。だけど、少しだけ特別な関係。

そんな【いつも通りの幼馴染】で居続けることが出来ることを二人は嬉しく思っていた。




 


447 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:50 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「ほい、おまちどうさん」

そういってドクオはテーブルにトレイを置き、しぃと向かい合わせに座る。

(*゚ー゚)「ありがとう。いくらだった? 」

そういってしぃは鞄から財布を取り出す。

('A`)「いーよ、それくらい俺が出すから」

(*゚ー゚)「そうはいかないよ。ちゃんと出すよ」

('A`)「いいから、いいから。俺からのお礼だと思ってくれや」

そういってドクオはコーヒーを一口飲む。

(*゚ー゚)「そう? じゃ、お言葉に甘えて」

おそらく、何を言っても受け取らないであろうドクオの性格をしぃも理解しているらしく、
おとなしく引き下がると財布をしまってポテトに手を伸ばす。

(*゚ー゚)「もう、お腹ペコペコだよー」

('A`)「全部、ブーンのバカタレのせいだな。こんな時間になるとは思わなかった」

(*゚ー゚)「ホント、そうだね」

二人はそういってひとしきり笑うと、ハンバーガーの包みに手を伸ばした。




 


449 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:52 ID:GMYVJWfZ0
しぃがすべて食べ終わり、ペーパーで口の周りを拭き終えたのを見計らうようにドクオが口を開いた。

('A`)「……しぃ、本当にありがとうな」

(*゚ー゚)「また、その話? 私はお礼言われるようなことなんかしてないよ」

そういって、オレンジジュースに手を伸ばすとストローに口を付け一口飲む。

(*゚ー゚)「私は、みんなと仲良く過ごしたいだけだよ? 」

そういって「えへへ」とはにかんだ笑顔を浮かべる。

('A`)「……その気持ちが、ブーンを罪悪感から救い、ツンの気持ちに整理を付けさせて
    ……そして、俺の行動の後始末までしてくれた。だからお礼を言わせてくれ」

(*゚ー゚)「んー、それは違うと思うよ。ドックン」

ドクオの言葉にしぃは顎に人差し指をつけ、少しだけ考えた後答える。

(*゚ー゚)「私は三人の中にいても、なんだか踏み込めない部分があって、そこに入りたいって思っただけ。
    そうしたら、ブーンもツンちゃんも、もちろんドックンも受け入れてくれた。それだけだよ? 」

しぃはニコニコと笑いながら言葉を続ける。

(*゚ー゚)「だからね、お礼を言わなきゃいけないのは私のほうなんだよ」

('A`)「……お人よし」

屈託のない笑顔を浮かべるしぃにドクオがポツリと呟く。




 


453 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:53 ID:GMYVJWfZ0
(*゚ー゚)「ひどいよ」

ドクオの皮肉にしぃは笑顔のまま非難の言葉を返す。

('A`)「悪かったな」

ドクオは特に悪びれた様子もなく、口を歪めて「へっ」と笑う。

(*゚ー゚)「また、そうやって笑うー。さっきみたいに自然に笑ったほうが可愛いのに」

('A`)「……しぃ、それツンやブーンに言ってみろ。大爆笑されるから」

可愛いなんて言われたのが照れくさかったのか、ドクオはそう返すとコーヒーを啜る。

(*゚ー゚)「そうやってまた捻くれた事を言うー。少しはブーンみたいに素直になればいいのに」

('ω`)「『おっおっおっ、しぃにそんな事言われたら僕照れちゃうお』……これでいいのか? 」

(*゚ー゚)「あははは、ドックン相変わらずブーンの真似うまいね」

ドクオお得意のブーンの物まねにしぃはコロコロと笑う。

しぃが一頻り笑った後、呼吸を整えると少し真面目な表情で口を開く。

(*゚ー゚)「あのね、ドックン。変なこと聞いてもいいかな? 」

('A`)「……変なこと? 」

しぃの口調が変わったの感じドクオも真面目に答える。




454 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:55 ID:GMYVJWfZ0
(*゚ー゚)「昨日『この後、ブーンの顔見たときに理性がぶっ飛ぶのが目に見えてるからな』って言ったよね? 」

('A`)「……そうだっけ? 」

ドクオはしぃから視線をはずすとコーヒーに手を伸ばす。

(*゚ー゚)「言ったよ。昨日の今日で忘れるわけないよね? 」

明らかに誤魔化す様な態度のドクオにしぃは詰めよった。

('A`)「さぁ? 覚えてねぇな」

(*゚ー゚)「……私、真面目に言ってるんだけど」

ドクオの、のらりくらりとした態度に、しぃは少しだけキツイ口調で更に問い詰める。

(*゚ー゚)「……ドックン、今から私がする質問に正直に答えて」

('A`)「……わかったよ」

しぃの態度にドクオが折れる。

('A`)(……あの控えめなしぃがここまで言うって事は、大体の察しはついてるんだろうな)

これ以上、誤魔化したところで埒が明かないと判断した結果であった。

(*゚ー゚)「単刀直入に聞くね。ドックンってツンちゃんの事が好きでしょ? 」

('A`)「……なんでそう思うんだ? 」




 


457 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:57 ID:GMYVJWfZ0
(*゚ー゚)「質問に質問で返さないでよ。……あれだけヒント出してもらったら分かるよ。普通」

('A`)「……しぃに気付かれるとは。俺も余計な事言ったもんだな」

ドクオは忌々しそうに舌打ちをすると、既にぬるくなったコーヒーを啜る。

思い起こせば、ばれない方がおかしい。



ツンに告白するように焚き付けた。



だから、昨日ツンが告白した事を知っていた。



そして『この後、ブーンの顔見たときに理性がぶっ飛ぶのが目に見えてるからな』という捨て台詞。







ここまでカードが揃っていては、ブーンだって気付くだろう。




 


459 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 11:59 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「……そうだよ。俺はずっとツンの事が好きだった」

もう詰みだといわんばかりにドクオはその心情を吐露した。

(*゚ー゚)「それをツンちゃんに伝える気は無いの? 」

('A`)「……今は伝える気はねぇ。弱みに付け込むのは卑怯だと思うし、今のツンはそれどころじゃないし」

ドクオはすっかり冷めてしまったコーヒーを一気に飲み干し、言葉を続ける。

('A`)「……でも、お前らが付き合ってチャンスが来たって思ってる俺がいるんだ。最低だろ? 」

(*゚ー゚)「ん? なんで? 」

('A`)「好きな子が失恋して喜ぶ。……どう考えても卑怯者じゃねーか」

(*゚ー゚)「そうかな? 人間なら当たり前の感情だと思うよ? 」

しぃはそういってジュースに手を伸ばして一口飲むと言葉を続ける。

(*゚ー゚)「ドックンは周りに気を回しすぎだよ。たまには自分のために動かないと幸せ逃がしちゃうよ? 」

('A`)「やれやれ、お人よしのしぃに言われるようじゃ、俺も終わりだな」

(*゚ー゚)「お人よしじゃありませんー。私はいつも自分のしたいように動いてるだけですー」

口元をイーッ! とするとしぃは抗議めいた口調で話す。




 


461 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:01 ID:GMYVJWfZ0
(*゚ー゚)「だから、ドックンもドックンのしたいようにすればいいんだよ。そうしないと後悔するよ? 」

('A`)「へいへい、善処しますよっと」

そういって話を打ち切るとドクオは席を立つ。

('A`)「そろそろ、帰ろうぜ」

(*゚ー゚)「もー、ドックン誤魔化さないでよ」

('A`)「そのうちな。ほら、行くぞ? 」

ドクオはしぃの抗議を受け流すとトレイをもって席を後にする。

(;゚ー゚)「ちょっと待ってよ、ドックン」

しぃもその後を追うように席を立った。




 


463 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:03 ID:GMYVJWfZ0
―7月20日(金曜日)―

―時刻・PM0:15―

( ^ω^)「1学期もようやくおわったおー」

HRを終え騒がしくなった教室でブーンは、大きく伸びをする。

(*゚ー゚)「ふふ、明日から夏休みだね」

帰り支度を済ませたしぃは、笑顔でブーンの席に寄って来た。

(*^ω^)「今年の夏はしぃもいるし、楽しい夏休みになりそうだお」

(*////)「そ、そうだね」

そんな会話をしていると、ドクオとツンも帰り支度を済ませてブーンの席まで来る。

('A`)「何、浮かれてんだ? おめーは」

ξ゚⊿゚)ξ「そーよ。アンタは勉強しなきゃいけないでしょうが」

(*^ω^)「勉強も、しぃと一緒なら楽しいお! 」

ドクオとツンの言葉も意に介さず、ブーンは浮かれたセリフを吐く。




 


466 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:04 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「はいはい。ご馳走さん」

ξ゚⊿゚)ξ「そのやる気が、成績に反映されればいいんだけどね」

('A`)「まったくだ」

(;^ω^)「ちょ、二人ともひどいお」

ドクオとツンの言葉にさすがのブーンも、浮かれっぱなしというわけにもいかず反論する。

ξ゚⊿゚)ξ「ひどいのはアンタの顔と成績でしょ? 」

( ;ω;)「おっおっおっ、成績はともかく顔は僕のせいじゃないお」

その反論もツンのクロスカウンターによって撃沈する。

いつもならここで、ツンの1R58秒TKO勝ちといったところだが、
最近は少しばかり様子が違う。









(#゚ー゚)「ツンちゃん、仮にも人の彼氏に顔がヒドイは、ないんじゃない? 」

以前に比べてしぃが少し積極的になっていた。




 


468 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:06 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚⊿゚)ξ「まぁまぁ、そんなに怒らないの。ブーンの顔が悪いのは事実なんだからさ」

しぃの抗議を楽しむようにツンは更に煽る。

(#゚ー゚)「ツンちゃん、それじゃあ、私の趣味が悪いみたいじゃない」

ξ゚⊿゚)ξ「え? 悪いわよ? 」

(#゚ー゚)「もー! いくらツンちゃんでもその言葉は許されないよ! 」

しぃが本気で怒りかけたところでツンは、しぃに抱きついて頬ずりし始めた。

ξ*゚ー゚)ξ「しぃってばムキになっちゃて、ホント可愛いなぁ~」

(*////)「なっ! ツンちゃん、いきなり何するのー! 」

ξ*゚ー゚)ξ「えー、何ってハグ? 」

(*////)「何で疑問形なのよぅ~。ツンちゃん暑いから離してよー」

いきなりのツンの行動に、しぃは真っ赤になって手をバタバタさせる。

ξ*゚⊿゚)ξ「やーよ。しぃって抱き心地いいんだもん」

(*////)「にゃ~! 耳に息吹きかけないでよぅ~。くすぐったいー」

ξ*゚ー゚)ξ「あらあら、しぃは耳弱いのね~……噛んじゃえ♪ えい」

(*////)「あっ! そんな……やっ! 耳たぶを……んっ! 甘噛みしちゃ……ダメッ! 」




 


471 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:08 ID:GMYVJWfZ0
そんな百合畑に視線を向ける男二人は、何をしているのかというと。

(*^ω^)「……ハァハァ」

止めるべき彼氏は、彼女がおもちゃにされているにもかかわらず鼻息を荒くし、
理性をかなぐり捨てると欲望のままに傍観者に徹し

('A`)「……また、始まったよ」

止めるだけの冷静な判断力を持つ友人は、
何度も見てきた光景を止めることもせず、呆れて窓の外に視線を移す。





窓から見えるグラウンドでは、部活動に汗を流す運動部の姿が見えた。

('A`)(……明日から夏休みか)

後ろで繰り広げられている、百合の宴を無視してドクオはそんな事を考える。

('A`)(……せっかくバイク手に入れたんだし、一人で走りに行くのもいいな)

視線をグラウンドから空に移すと、
突き抜けるような水色の空と、力強い純白の入道雲のコントラストが視界に飛び込んできた。

('A`)(まぁ、バイトもあるし、こいつらと遊びたいし今年は無理かね? )

そう心の中で結論付けると、ドクオは百合の宴に視線を戻す。




 


473 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:10 ID:GMYVJWfZ0
宴はいつも通りのイベントを経由し、既に最終章である惨劇の宴に移行していた。

ξ#゚⊿゚)ξ「アンタは毎度毎度、鼻息荒くしてんじゃないわよ!! 」

(;^ω^)「そ、そんなこと無いお! 」

ξ#゚⊿゚)ξ「なら、その股間のテントは何よ!! 」

(#゚ー゚)「ブーン、最低! 彼氏なら止めてよ」

(;^ω^)「こ、これは生理現象だお。自分の意思で止められる物じゃないお」

(#////)「ばか! そ、それじゃないよ! ツンちゃんを止めてって事!! 」

ξ#゚⊿゚)ξ「このセクハラ部長!! 」

ここでツンお得意の右フックが炸裂する。

( ゚ω(#)「ぷおっ!! 」

ツンの右フックを終了の合図にドクオが間に入る。

('A`)「おめーら、この暑っ苦しい中暴れんなよ」

(;゚ー゚)「ドックンそう思うなら、ツンちゃんが抱きついたところで止めてよ……」

('A`)「いや、しぃも嫌がってなかったみたいだし? 」

(;////)「……そんな事、無いもん」




474 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:12 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「……それより、あれ止めなくていいのか? そろそろ、ブーンが大変なことになるぞ」

(*゚ー゚)「え? 」

ドクオの言葉にしぃが振り返ると、既にブーンが大変なことになっていた。

ξ#゚⊿゚)ξ「おらぁ!! 左の頬を殴られたら右の頬を差し出さんかい!!! 」

(#)ω(#)「しゅ、しゅでにみびどぼぼぼ、にゃぐだででどぅぼ」
        【訳:す、既に右の頬も、殴られてるお】

倒れたブーンに馬乗りになったツンが左手で胸倉を掴み
右フックと裏拳の往復ビンタを繰り出していた。

ξ#゚⊿゚)ξ「やかましゃあーー!! そしたら、次はもう一度左の頬を差し出せ!! 」

(メ#)ω(#メ)「ぶででぃ、でょぶぼぶどぼぶだげだばだぐだででどぅぼ」
          【訳:既に、両方共二桁は殴られてるお】

ξ#゚⊿゚)ξ「何言ってるかわからんわーーー!! 」

(メ#)ω(#メ)「ぶぼでうぶぼぼ」
          【翻訳不能】

(;゚ー゚)「ツンちゃん!! ストップ、ストップ!! 」

慌ててしぃが止めに入ると、ようやくツンの拳の往復運動が止まる。

ξ#゚⊿゚)ξ「なによ、動物の調教は分かるまで叩き込むのが常識よ」




 


476 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:14 ID:GMYVJWfZ0
(;゚ー゚)「既に聞こえてないよ? 」

しぃがブーンを指差すとツンとドクオはその指の先に視線を向ける。

(メ#)ω(#メ)「……」

そこには傷だらけの血達磨が転がってた。

('A`)「あれ? 俺言うの遅かったか? 」

ドクオは机に転がってたボールペンを手に取ると血達磨をつつく。

(メ#)ω(#メ)「……」

('A`)「つついても反応ねーな」

ξ;゚⊿゚)ξ「あ、あらやだ。やりすぎた? 」

(;゚ー゚)「ブーン! 大丈夫?! 」

倒れてる血達磨の脇に屈んでしぃが話しかけると、かすかに顔らしき物がしぃの方に向く。

(メ#)ω(#メ)「……白と……水……色の……かお? 」

ξ゚⊿゚)ξ「気が付いたのかしら? 」

('A`)「あん? 白と水色? 空か? 」

ドクオはしぃの後方の空を見上げる。
さっき見たとおり、水色と白のコントラストが美しい夏の空が見えた。




477 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:16 ID:GMYVJWfZ0
(;゚ー゚)「ねぇ、ブーン! 大丈夫?! 」

気が付いたものの、意味不明なうわごとを繰り返すブーンにしぃはさらに呼びかける。

('A`)「白に水色? 何言ってんだかわからんな……ん? 」

ブーンのうわごとを何とか翻訳しようと、頭をひねるドクオがあることに気が付く。

('A`)(ブーンの視線、やたら低いな。アレじゃ外なんか見えないはず)

元よりツンに殴られた瞼では、それほど視界は広くないはずだった。

(メ#)ω(#メ)「……ストラ……」

よく見るとブーンの口元が緩んでいるようにも見える。

('A`)「んーーーー??? 」

そのままドクオは視線を下にずらしていくと、全ての答えを発見した。

('A`)(ああ、なるほどね)







視線の先では父親より先に体を起こしたムスコが、テント生活を再開していた。




 


479 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:19 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「しぃ。ブーンにスカートの中、覗かれてるぞ」

Σ(メ#)ω(#メ;)(ちょ、ドクオ! 裏切りやがったお!!! )

(;////)「うそ!! 」

ドクオの忠告にしぃは、慌てて立ち上がるとスカートを押さえる。

('A`)「これが証拠」

そういってドクオはブーンの股間を指差した。

ξ#゚⊿゚)ξ「この色欲魔がぁーー!!! 」

その言葉に一番早く反応したのはツンだった。

(メ#)*(#メ)「ぶふぅ!!! 」

ツンの拳は氷柱でも割るかのごとく、真っ直ぐにブーンの人中に振り落とされた。

(#////)「ブーン最低!! 」

ξ#゚⊿゚)ξ「このド変態!!! 」

そういい捨ててツンとしぃは教室を出て行った。




 


481 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:21 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「おーい、生きてるかー? 」

(メ#)ω(#メ)「……ドクオが余計な事を言わなければ、まだマシだったお」

ドクオの呼びかけに血達磨……もとい、ブーンが体を起こさずに答える。

('A`)「本能に忠実に生きてるからそういう目にあうんだ。少しは調教されたほうがいい」

(メ#)ω(#メ)「このままだと、僕はMに目覚めそうだお」

('A`)「よかったじゃねぇか。しぃはツンの影響でそのうちSに目覚めるぞ」

(メ#)ω(#メ)「その前にレズに目覚めないかが心配だお」

('A`)「なら、もう少し考えて行動するんだな」

(メ#)ω(#メ)「しぃはかわいいから、ライバルはクラスの男全員だと思ってたのに、
          最大のライバルが、幼馴染の女の子ってのは考えもんだお」

('A`)「ツンがレズに目覚めたのは、お前が振ったせいだがな」

ドクオは近くの椅子に腰掛けクククと堪えた笑いを漏らす。

(メ#)ω(#メ)「おっ! 」

ブーンは独特の掛け声とともに立ち上がると自分の席に腰掛ける。




482 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:23 ID:GMYVJWfZ0
(;^ω^)「皮肉にしては厳しい意見だお」

('A`)「別に皮肉を言ったつもりはねーさ」

(;^ω^)「皮肉でなければなおの事、厳しいお」

そういってブーンはバッグからペットボトルのお茶を取り出し一口飲む。

('A`)「でもまぁ、よかったな」

頬杖をつき窓の外を眺めながら、ドクオがポツリと呟く。

( ^ω^)「なにがよかっただお。僕は死に掛けたお」

('A`)「そうじゃねーよ、馬鹿」

ドクオは真顔で抜けたことを言うブーンに向き直ると、まじめな顔で言葉を続ける。

('A`)「お前らの仲がうまくいってよかったなって事だよ」

アレから一ヶ月。四人の仲は特に大きな問題も無く順風満帆といえる。

そんな意味から出たドクオの言葉だったが、意外なことにブーンがそれを否定した。

(;^ω^)「……そうでも無いと思うお」




 


485 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:25 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「あ? お前、ツンにしぃを取られる心配でもしてんの?
    馬鹿だな、冗談に決まってるだろ」

(;^ω^)「そうじゃないお。……なんていうか、ツンの様子がおかしくないかお? 」

('A`)「どこが? ……テンションが若干高いが、夏休みが近いから浮かれてんだろ」

(;^ω^)「そうじゃなくて、なんて言ったらいいか分からないんだお」

('A`)「……心配しすぎだ」

ドクオがそう呟いたところでブーンの携帯が鳴った。

( ^ω^)「……お、しぃからメールだお」

【昇降口で待ってるから早くおいでよ♪ これから4人でカラオケ行くんでしょ】

( ^ω^)「しぃとツンが昇降口に居るから、早く来いって言ってるお」

そういって、ブーンはカバンを持ち立ち上がる。

('A`)「……じゃあ、行くか」

そういってドクオも立ち上がり、二人は教室を後にする。

('A`)(……まさかな)

ドクオの心に一抹の不安を残し、一学期最後の日は終業を迎えた。




 


487 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:27 ID:GMYVJWfZ0








この不安が的中するのは一ヵ月後。
夏休みも残り少なくなった八月の後半の事だった。













488 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:29 ID:GMYVJWfZ0
―8月28日(火曜日)―

―時刻・PM7:49―

('A`)「……ふぅ」

机に向かい、参考書を閉じるとドクオはため息を吐いた。

('A`)「……あとは、英語の課題ですべて終了か。今年は順調だな」

毎日のようにとまではいかなくても、
週2~3日ペースでブーンの勉強に付き合っていたせいもあって、
今年は順調に課題が終わっていた。

('A`)「明日で終わりそうな量だし、今日はこの辺にしておこうか」

英語の問題集をパラパラと捲って残りを確認したドクオは、そのまま問題集を机に放り投げた。

('A`)「……ちょっと、走りにいこうかな」

時計を見ると時刻は八時前。

最近は夜風が涼しくなり、
バイクを走らせるには丁度良いかもしれないと思っていたところだった。

('A`)「ここんとこバイトやら、あいつらの付き合いやらで忙しかったしな」




 


492 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:32 ID:GMYVJWfZ0
そんな事を呟くと不意に携帯が鳴った。

('A`)「……しぃから電話? 珍しいな」

画面で発信者を確認して通話ボタンを押す。

('A`)「……もしもし、何か用か? 」

(* - )「……ドックン。……助けて」

普段からは想像もつかないくらい、暗い声でしぃの声が届く。

('A`;)「おい! どうした、何があったんだ! 」

(* - )「……ツンちゃんが……ツンちゃんが」

('A`;)「おい、しぃ! ツンがどうした! 」







(*; -;)「……ツンちゃんが居なくなっちゃうよぉ」

嗚咽が混じりの声でしぃはそう告げた。




493 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:34 ID:GMYVJWfZ0
―時刻・PM8:03―

('A`;)(……うそだろ)

ドクオは既に切れた携帯を机に戻すことなく、左手をダラリと垂らす。

その手に握られていた携帯が、床にゴトリと音を立てて転がった。

しぃに聞いた話を要約すると……



【ツンが父親のところに行く】



言葉にすればたったこれだけのことだった。

('A`;)(なんで、今更)

しぃやブーンとの問題も解消された今、ツンに美府市を去る理由なんか無いはずなのに。

ドクオがそんな事を考えて居ると携帯が再び鳴った。

その画面に記された発信者の名前は……




494 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:36 ID:GMYVJWfZ0
―時刻・PM9:12―

ξ゚⊿゚)ξ「うーん、やっぱりここの景色いいわね」

ツンは美府岬の展望台の先端で大きく伸びをする。

ξ゚⊿゚)ξ「ホント、何もかも忘れられそうだわ」

月明かりの下、海から吹いてくる夜風にツインテールがヒラリヒラリと踊っている。

('A`)「……何考えてんだよ」

『私、この夏休みが終わると同時にパパの所に行くから。 
 最後に、もう一度あそこ、……美府岬に連れて行ってよ』

さきほどツンが電話で言った言葉を、思い出しながらドクオがツンに話しかける。

ξ゚⊿゚)ξ「はい、今日は私が奢ってあげるわ」

ツンはドクオの言葉に答えず、缶コーヒーを差し出す。

('A`)「……」

電話の後、そのことに関して何も語らないツンに苛立ちを覚えつつ、
ドクオは缶コーヒーを受け取り手すりに寄り掛かる。




495 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:38 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚⊿゚)ξ「……電話で言った通りよ」

暫く海を眺めながら、紅茶を飲んでいたツンが不意に口を開く。

ξ゚⊿゚)ξ「夏休みが終わったら、私はパパの所に行く」

('A`)「なんでだよ! なんで今更、美府市を離れる必要があるんだよ」

どうにも納得がいかないドクオが声を荒げる。

ξ゚⊿゚)ξ「前々からパパに、こっちに来いって言われてたの」

夜風にさらわれた髪を押さえつけながら、ツンは静かに語る。

ξ゚⊿゚)ξ「……やっぱり年頃の娘が、一人暮らしって言うのも不安みたいでさ」

('A`)「でも、お前は今までずっと美府市に居るって言ってたじゃねーか」

ξ゚ー゚)ξ「そこにこだわる理由が無くなっちゃったもん」

ツンはドクオに向かって寂しそうに微笑む。

ξ゚⊿゚)ξ「私がここにいたい理由はブーンがいたから。今は、こだわる必要がなくなっちゃた」

('A`)「ちょっと待てよ。しぃはどうすんだよ! 」

ξ゚⊿゚)ξ「……大事な友達よ。だから一回離れたいの」




496 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:40 ID:GMYVJWfZ0
('A`#)「ワケわかんねぇよ! 」

ツンの言葉の真意が読み取れないドクオは声を荒げた。

('A`#)「やっと、お前らのわだかまりが無くなって、しぃも打ち解けてきたのになんで……」

ドクオの言葉を遮るようにツンの静かな、それでいてしっかりと通った声が響く。

ξ゚⊿゚)ξ「私たち何処にいてもずっと友達でしょ? 」

('A`;)「……」

ξ゚⊿゚)ξ「どうしても、一回気持ちをリセットしたいの。
      このまま一緒にいたら、また同じことを繰り返しそうだから」

まるでツンの決意を表わすかのように、凛と透き通った声が響く。

ξ゚ー゚)ξ「だから、一度みんなから離れるの。
      ……ワガママなのは分かってるけど、私はしぃと本当の友達になりたい」

そういったツンの笑顔は、今までドクオの見てきたツンの笑顔の中で一番綺麗だった。

ξ゚ー゚)ξ「……だから約束して。ブーンとしぃとドクオ、
      三人誰一人かけることなく美府大に合格するって、そこでまた再会するって」

今までずっと一緒にいた幼馴染だから、ドクオには分かってる。

今、止めても絶対にツンは受け入れない。




 


499 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:43 ID:GMYVJWfZ0










( A ;)「……断る!! 」

それでも、ここで引き下がるほどドクオは大人ではなかった。














 


503 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:46 ID:GMYVJWfZ0
( A ;)(ここでツンを行かせるくらいなら、死んだほうがマシだ! )

ドクオは前触れも無くツンを抱きしめた。

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょ、ドクオ!! 何すんのよ!! 離して!! 」

急な出来事に暴れるツン。

( A #)「……うるせぇ、黙れ」

ξ;゚⊿゚)ξ「……ドクオ? 」

だが、ドクオの静かで短い言葉にツンは暴れる手を止める。

( A #)「ブーンと一緒にいるために残りたいって言ったり、
    しぃと本当の友達になりたいから離れたいって言ったり、
    ワガママなんだよ。オメーは」

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

( A #)「昔っからそうだ。いつでも、俺とブーンにワガママ言い放題。
    ……でもな、今回は、……今回だけは俺のワガママ通させてもらう」

それまで怒気を含んでいたドクオの声が、急に優しくなる。




 


505 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:48 ID:GMYVJWfZ0
( A )「気持ちなんか俺が全部リセットさせてやる」

そこまで言ったドクオは腕の力を抜き、手をツンの肩に乗せると、
真正面からツンを見据える。

ドクオの瞳には驚いた表情のツンが

ツンの瞳には真剣な表情のドクオが

それぞれ映っている。







('A`)「俺は、ツンがずっと好きだった。だから行くな。
    ……俺は、お前とずっと一緒にいたい」






ドクオは懇願するように言い切った。




 


508 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:50 ID:GMYVJWfZ0
それからその場は沈黙が支配した。





二人の耳に聞こえてくるのは、波の打ち寄せる音と

自分の鼓動の音だけ。
















そして、その沈黙を打ち破るようにツンの声が響く。




 


510 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:52 ID:GMYVJWfZ0
ξ ⊿ )ξ「……ドクオ、ありがとう……でも、ゴメン」

その言葉は感謝と拒絶。








ξ ⊿ )ξ「ドクオの私を想ってくれてる気持ちは、女の子としてスゴク嬉しい。
       ……でも、ううん、だからこそやっぱり一緒にいられない」










ξ ⊿ )ξ「ドクオの気持ちに真剣に答えたい。
      だから、ブーンへの気持ちもしぃへの気持ちも、
      ちゃんと自分自身で答えを出したい」




511 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:54 ID:GMYVJWfZ0
ξ ⊿ )ξ「すごくワガママでゴメン。……でも、今はこれしか言えない」

ツンの言葉にドクオは何も言えなかった。

なぜなら……

















ξ;⊿;)ξ「……本当にゴメンね」

ずっと好きだった子が泣いていたから。




512 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:56 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「……わかった。もう何も言わないし、答えは再会した時に聞く」

ドクオはツンの肩に置いた手を下ろし、
ポケットからハンカチを取り出すとツンに渡した。

ξ;⊿;)ξ「……ゴメンね。……こんなに想ってくれてるのに何もしてあげられなくて、
       答えすら出してあげられなくて……ホントにゴメンね」

('A`)「いいさ、まだ答えが出ないって事は、振られてこれっきりってワケじゃねーんだ。
   ……それに、待つのには慣れてる。今まで待ってたんだし、後1年半くらいなんでもねーよ」

ξつー;)ξ「ありがとう……私、ドクオが友達で本当に良かった」

ツンはそういってドクオから受け取ったハンカチで涙を拭う。

('A`)「まぁ、再来年には『友達』じゃなくて『彼氏』になってるといいがな」

ツンが泣き止んだのを見てドクオは、いつものように「へっ」っと意地の悪い笑顔を浮かべる。

ξ゚⊿゚)ξ「それはどうかなー? ドクオ、顔がいまいちなんだもの」

ドクオが普段の調子で話すのにつられるように、ツンも普段の調子を取り戻していた。




 


515 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 12:58 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「確かにイケメンじゃねーのは認めるけど、ブーンに比べりゃ大分マシだろ? 」

ξ゚⊿゚)ξ「あれはあれで愛嬌があるわよ? 」

('A`)「……悪かったな、邪悪な顔してて」

ドクオはいじけた様に呟く。

ξ゚ー゚)ξ「クー姉は美人なのに、何で似てないのかしらね? 」

('A`)「言ってろ。……そろそろ帰るか? 」

ξ゚ー゚)ξ「うん」

そういって頷き、二人は美府岬を後にした。










 


518 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:00 ID:GMYVJWfZ0
―時刻・PM11:03―

深夜の住宅街にバイクの排気音が響く。

('A`)「ほい、到着っと」

ξ゚⊿゚)ξ「ん。ありがと」

ツンはバイクを降りるとヘルメットをドクオに渡す。

ξ゚⊿゚)ξ「……ねぇ、ドクオ」

('A`)「なんだ? 」

ξ゚⊿゚)ξ「ホントに待っててくれるの?
      ……いい人がいたら別に私の事なんか気にしないで、付き合ってもいいんだよ? 」

受け取ったヘルメットをフックにかけるドクオに、ツンは少しだけ寂しそうに呟く。

('A`)「お前、それ皮肉か? 俺がそう簡単に彼女なんてつくれるわけねーだろ……それに」

ξ゚⊿゚)ξ「……それに? 」

('A`)「お前よりいい女なんて、そうそう見つかるかよ。……チャンスがあるうちは、待ってるよ」

既に自分の気持ちを言ってしまったドクオは、ためらうことも無くぶっきらぼうに答える。





 


520 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:02 ID:GMYVJWfZ0
ξ////)ξ「あ、ありがと」

そういってツンは顔を赤くすると俯く。

('A`)「じゃあ、俺帰るわ。……出発の日は見送りに行くから」

そういってドクオはヘルメットを被りなおし、エンジンをかける。

ξ////)ξ「ど、ドクオ! ちょっとヘルメット脱いで」

ツンは慌ててドクオを呼び止めた。

('A`)「ん? 」

ツンの言葉にドクオはヘルメットを脱いで振り返る。
目の前にはツンの顔があった。




521 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:03 ID:GMYVJWfZ0
ドクオがそれを確認したと同時に頬に何かが触れる。

ξ-⊿-)ξ「……んっ」

('A`;)(……ツンの唇)

その感触は一瞬だけですぐに離れた。

('A`;)「ツン、おま、何してんだよ! 」

ξ////)ξ「……えっと、美府岬に連れって行ってくれた事とか、
       いい女って言ってくれた事とか、全部ひっくるめたお礼と、
       後は、その……えっと……これから待たせる分の利息」

ドクオの言葉に対して、ツンはしどろもどろに答えるとまた俯く。

('A`;)「……なぁ、それは答えとは違うのか?」

ξ#///)ξ「か、勘違いしないでよ! ただ、私のワガママで一年半も待たせるのは
       悪いかなって思っただけなんだから! 自惚れんじゃないわよ!! 」

('A`)「へーへー、分かりましたよ。再会してから振られても文句言いませんよ」

そういってドクオはヘルメットを被り直し、深夜の闇の中に消えていった。




 


523 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:05 ID:GMYVJWfZ0
―8月31日(金曜日)―

―時刻・AM11:24―

八月最後の日。四人は美府駅前にいた。

(*; -;)「ツンちゃん、ホントに行っちゃうの? 」

朝、待ち合わせたときからずっとこんな調子のしぃに、ツンが優しく話しかける。

ξ゚⊿゚)ξ「うん。……パパに心配かけるわけにもいかないしね」

(*; -;)「で、でも」

ξ゚⊿゚)ξ「ほら、泣かないの。冬休みには帰ってくるから」

(*; -;)「ほんとに? 」

ξ゚ー゚)ξ「当たり前でしょ? 私の地元はここだけよ」

( ^ω^)「ほら、しぃ。そんなに泣いてたらツンまで泣いちゃうからその辺にしておくお」

ブーンはそういってしぃにハンカチを手渡す。

(*つー;)「うん」




524 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:07 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚ー゚)ξ「しぃ、泣いてる暇なんか無いわよ? この馬鹿もきっちり美府大まで連れて来てね」

(*゚ー゚)「うん。任せてよ」

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオもよ? しぃ一人に負担かけたら帰ってきたとき殺すわよ? 」

('A`)「わかってるよ。いざとなったら替え玉使ってでも合格させてやらぁ」

いつものように口元をゆがめ「へっ」と笑う。

(;^ω^)「そんなに心配しなくても、自力で受かって見せるお」

散々に言われたブーンが、最後くらいはとばかりに反撃する。

(*゚ー゚)「その意気込みが、成績に反映すればいいんだけどねー」

('A`)「ブーン、それが負け犬の遠吠えって言うんだ。一つ勉強になったな、覚えとけ」

ξ゚⊿゚)ξ「その言葉が信用できるくらいなら、
       しぃやドクオにわざわざ言わないわよ。こんな事」

( ;ω;)「ひどい言われようだお」

だが、三人の集中砲火を浴びて、あえなく撃沈した。




 


526 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:09 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚⊿゚)ξ「さて、そろそろ時間ね」

ツンは腕時計で時間を確認すると、ポツリと呟く。

ξ゚ー゚)ξ「じゃあ、そろそろ行くわ。……三人とも 『またね』 」

そういってツンはヒラヒラと手を振った。

(*゚ー゚)「うん、 『またね』 」

( ^ω^)「お?じゃあ 『また』 だお」

('A`)「ああ、『またな』」

四人とも 『さよなら』 とは言わない。











……約束したから。




 


528 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:10 ID:GMYVJWfZ0











………… 『また、会える』 って。














 


530 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:12 ID:GMYVJWfZ0
~ 一年半後 ~

―4月8日(木曜日)―

―AM7:02―

('A`)「なぁ、あの馬鹿は何してるわけ? 」

腕時計に視線を落とし、ドクオは苛立つように呟く。

(*゚ー゚)「さぁ? 私より付き合いの長いドックンに分からないのに、
     私が分かるわけ無いじゃない」

二人がそろってため息を吐いたところで、疾走する人影が現れた。

⊂ニニ(;^ω^)ニ⊃「ブーーーーン!!! 」

('A`#)「『ブーン! 』じゃねぇ!! 」

(;゚ω゚)「ぶひぃ!! 」

走ってきたブーンの腹に、ドクオの膝蹴りがきれいにめり込んだ。

('A`#)「てめぇは何回遅刻したら気が済むんだよ!! 」

(;^ω^)「これでも大急ぎで来たんだお」

(#゚ー゚)「デートの時とおんなじ言い訳。さすがに私も怒るよ」

そういってしぃはブーンの頬を両手でつかむと抓りあげる。




 


532 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:14 ID:GMYVJWfZ0
<;TωT>「いでででででで!! ちょ、しぃデートの時より痛いお! 」

(#゚ー゚)「当たり前でしょ! 今日がどんな日か分かってるの?! 」

< ;ω;>「分かってるお……おっおっおっ、ほっぺたがとがっちゃったお」

そういってブーンは頬をさする。

< ;ω;>「顔が悪くなったらどうするんだお」

('A`)「安心しろ、元の顔も大した事無い」

ブーンの嘆きに、ドクオがお約束ともいえるツッコミを返す。

(#゚ー゚)「……ドックンだって大した事無いじゃん」

そこにいつものようにしぃの反撃が入る。

('A`)「はいはい、分かりましたよ。……おら、行くぞ」

しぃの相手もそこそこにドクオはさっさと改札をくぐり中に入っていった。




 


534 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:16 ID:GMYVJWfZ0
(;^ω^)「ドクオは何をあせってるんだお? 」

ブーンはしぃが前もって買っておいた切符を受け取りながら、首を傾げる。

(*゚ー゚)「もー、ブーンは鈍いなぁ。決まってるでしょ」

ニコニコとしながらしぃが答える。

( ^ω^)「お? 」

(*゚ー゚)「……分からないならいいよ」

( ^ω^)「……じゃあ、僕らも行くかお」

(*゚ー゚)「うん」

そういって二人も後を追うように構内に入っていった。












 


537 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:18 ID:GMYVJWfZ0
桜の花びらがヒラヒラと舞う中、一人たたずむ女性。







ξ゚⊿゚)ξ「……また、ブーンが遅刻でもしたのかしら? 」

ツンは美府大の正門前で腕時計に視線を落とすと、ため息をついた。

ξ#゚⊿゚)ξ「こんな日まで遅刻するとは、あの馬鹿いい度胸してるわね」

そんな怒りがこみ上げてきた頃、懐かしい声が響いてきた。

⊂ニニ( ^ω^)ニ⊃「ブーーーーン!!! 」

駅のほうから疾走してくるブーンだった。

( ^ω^)「ツン! 久しぶりだお! 」

ξ#゚⊿゚)ξ「だっしゃらぁーーー!! 」

( ゚ω(#)「ぐぼらっ!!」

約一年ぶりのツンの右フックが、そのブランクを感じさせない鋭さでブーンの顔面を捉えた。




 


539 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:19 ID:GMYVJWfZ0
ξ#゚⊿゚)ξ「アンタはいつになったら時間を守れるようになるのよ!! 」

(;^ω(#)「正直すまんかったお。……だが、反省はしていないお」

ξ#゚⊿゚)ξ「反省しろ! 」

(#)ω(#)「あうちっ!」

そんなやり取りをしていると、遅れてきたしぃとドクオが合流した。

(*゚ー゚)「ツンちゃん、会いたかったよ! 」

ξ*゚⊿゚)ξ「しぃー。私も会いたかったよー」

しぃを視界に捉えたツンはブーンを放り出してしぃに抱きついた。

(*゚ー゚)「ツンちゃん苦しいよー」

ξ*゚⊿゚)ξ「久しぶりなんだから固いこと言わないの」

(*゚ー゚)「しょうがないなー。今日だけは特別だよ? 」

ξ*゚⊿゚)ξ「えー、今日だけなのー? これから毎日ハグしようよー」

(*゚ー゚)「却下します」

ξ*゚⊿゚)ξ「別に、しぃの許可取らなくてもするもん」

(*゚ー゚)「もー、ツンちゃんは相変わらずだね」




 


542 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:21 ID:GMYVJWfZ0
ドクオもとりあえずブーンは無視してツンに話しかける。

('A`)「……よお、元気そうだな」

ξ*゚⊿゚)ξ「アンタは相変わらず不健康そうな顔してるわね」

しぃから離れることなくツンはドクオに皮肉を返す。

('A`)「バカップルの世話を押し付けられたら誰だってやつれるわ」

(#゚ー゚)「誰がバカップルなのかな? 」

('A`)「オメーとブーン以外に誰かいるなら、教えてもらいてぇもんだな」

(#゚ー゚)「むー、ケンカもせずに仲がいいのは認めるけど、バカップルは聞き捨てなら無いよ」

('A`)「その言葉がバカップルだって言ってんだよ」

しぃとドクオがにらみ合ってると後ろから声が聞こえた。

( ^ω^)「二人ともそこまでだお。それより大事なことを忘れてるお」

(*゚ー゚)「うん。そうだね」

('A`)「おっと、バカップルからかってる場合じゃなかったな」

(#゚ぺ)「むー、ドックンしつこい! 」




 


546 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:22 ID:GMYVJWfZ0
そういってしぃは、ツンの腕を解きツンの正面に立ち、
それに倣うようにドクオとブーンもしぃの両脇に立つ。

(*゚ー゚)「ツンちゃん、お帰り」

( ^ω^)「お帰りだお。ツン」

('A`)「ツン、お帰り」







三人の言葉にツンも笑顔で答える。

ξ゚ー゚)ξ「ただいま」









 


549 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:24 ID:GMYVJWfZ0
―時刻・PM6:27―

(;´ω`)「疲れたおー」

('A`;)「まったくだ」

ブーンはカーペットの上に大の字になり、ドクオはソファーにもたれかかる。

(;´ω`)「なんで、僕らがこんな事しなきゃいけないんだお?」

('A`;)「知るか」

(;´ω`)「普通、これって再会を祝って飲み会とかのパターンじゃないのかお? 
       なんで僕たち、ツンのアパートで荷物を片付けてるんだお? 」

('A`;)「だから、しらねーよ。強いて言うなら昨日引っ越しなんて無茶したツンのせいだろ」

男二人がへばっているとツンとしぃが戻ってきた。

ξ゚⊿゚)ξ「あら、随分片付いたじゃない」

(*゚ー゚)「二人ともお疲れ様。もうすぐお鍋できるから、お祝いしよ」

( ^ω^)「お? やっとかお? 」

('A`;)「オメー元気だな。俺はもう、くたくただよ」

鍋と聞いて起き上がるブーンと対照的に、ドクオはソファーにもたれたまま動かない。




 


553 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:25 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚⊿゚)ξ「ほら、ドクオ。起きてテーブルの上を片付けなさいよ。お鍋が置けないじゃない」

('A`;)「それくらいおめーやれよ」

ξ#゚⊿゚)ξ「働かざるもの食うべからずよ」

('A`;)「これ以上働いたら、労働基準法に違反するわ」

ξ#゚⊿゚)ξ「つべこべ、言わない! 」

('A`;)「……ホントわがままな女だぜ」

ξ゚ー゚)ξ「そんなの、昔から知ってるでしょ? 」

ツンがドクオの言葉に含みのある言い方で返す。

('A`)「へーへー分かりましたよ」

結局、何も言い返せなくなったドクオは体を起こし、ブーンとテーブルの上を片付けた。




 


555 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:27 ID:GMYVJWfZ0
―時刻・PM8:41―

(*-ω-)「……zzz……もう、飲めないお」

酒に酔ったブーンはソファーで居眠りをしていた。

('A`)「ったく、未成年の癖に酒なんか持ち込みやがって。どーしようもねーな、この馬鹿」

その隣でドクオはあきれながらジンジャエールを飲む。

(*゚ー゚)「まぁまぁ、おめでたい時くらい、いいじゃない」

そこに、洗い物を終えたしぃが戻ってきた。

('A`)「一緒になって飲んでたお前が言っても、言い訳にしか聞こえねーよ」

しぃの方に向き直るとドクオは「へっ」と口元を歪めて笑う。

(*゚ー゚)「あはは、それもそうだね」

しぃが楽しそうに笑っていると、後ろからツンも戻ってきて口をはさむ。

ξ゚⊿゚)ξ「アンタだって人のこと言えないんじゃない? 」

そういってテーブルの上を指差す。

ξ゚⊿゚)ξ「タバコなんていつから吸い始めたのよ。人のうちで勝手に火、着けないでよね」

テーブルの上の携帯用灰皿には一本の吸殻が入っていた。




556 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:29 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚⊿゚)ξ「それにアンタだってお酒くらい飲むんでしょ? 」

('A`)「まぁ、嗜む程度にはな」

そういってドクオは頭を掻いた。

ξ゚⊿゚)ξ「なーにが嗜む程度よ。カッコつけちゃって」

(*゚ー゚)「あれ? そういえば今日、ドックン飲んでないね? なんで?」

('A`)「一回帰ってバイクで来てるからな。飲酒運転なんてまずいだろ? 」

そういって、ドクオはタバコに手を伸ばす。

('A`)「……ありゃ? さっきのがラス一か。自販機まだ買えるし、ちょっと買いに行って来るわ」

ドクオはジャケットを羽織ると立ち上がる。

ξ゚⊿゚)ξ「あ、なら私も行く。お酒もうないし、もうちょっと飲みたい気分だから」

('A`)「未成年はコンビニじゃ酒買えないだろ? あきらめろよ」

ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと遠いけど24時間やってるスーパー行こ? あそこなら年齢確認されないから」

そういってツンはパーカーを羽織るとポケットに財布と携帯を突っ込む。

(*゚ー゚)「じゃあ、私は留守番してるから、私の分もお願い」

('A`)「ならバイクで行くか」




 


558 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:31 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚⊿゚)ξ「そうね。じゃあ、ちょっと行ってくるから、留守番よろしくね」

そういってツンは先に玄関を出て行った。

('A`)「じゃあ、すぐ戻るよ」

ドクオもツンを追って玄関に行こうとするところでしぃが呼び止める。

(*゚ー゚)「ドックン」

('A`)「ん? ゆっくりしてきた方がいいか? 」

ドクオはニヤニヤと笑いながらしぃとブーンを見比べる。

(;////)「そんなんじゃないよ! ……えっと」

('A`)「なんだよ? 」

(*゚ー゚)「がんばってね」

('A`)「何をがんばりゃいいのかねぇ? 」

ドクオはため息を吐いて、バイクのキーをポケットに突っ込む。

('A`)「まぁ、行ってくる。……ちょっと遅くなるかもな」

そう言い残してドクオも玄関を出て行った。




 


561 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:32 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ、早く」

バイクの横でツンはドクオを急かす。

('A`)「へーへー。分かりましたよ、お嬢様」

そういってヘルメットをツンに手渡しバイクに跨る。

('A`)「……ちょっと、寄り道するぜ」

ξ゚⊿゚)ξ「いいけど、どこ行くの? 」

('A`)「……すぐ分かる。はよ、乗れ」

ξ゚⊿゚)ξ「……うん」

ツンはそれ以上何も聞かずに、ドクオの後ろに跨ると腰に手を回した。

それを確認してドクオは夜の闇の中にテールランプを踊らせた。




562 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:34 ID:GMYVJWfZ0
―時刻・PM9:23―

ξ゚⊿゚)ξ「……やっぱり、ここなのね」

美府岬の展望台の手すりに手をかけ、ツンが呟く。

('A`)「お前も気に入ってくれたみたいだし、
    帰ってきたら一番に、ここに連れて来てやろうと思ってたからな」

そう言って、ドクオはいつものようにロイヤルミルクティを差し出す。

('A`)「どうよ? 一年半ぶりの美府岬は」

ξ゚ー゚)ξ「ありがと。ここは好きよ」

ドクオから受け取ったロイヤルミルクティを空け一口飲むと、ツンは笑顔で答える。

('A`)「そいつは良かった。ガソリンが無駄にならんで済む。最近はガソリンも高くてな」

そんなことを言いながら、ドクオは自販機で買ったタバコに火をつける。

ξ゚⊿゚)ξ「タバコなんて止めなさいよ」

('A`)「いいじゃねーか、マナーは守ってるんだし」

そういって近くの灰皿に灰を落とす。

ξ゚⊿゚)ξ「法律は守ってないでしょ? 」

('A`)「そりゃ、お互い様だ」




 


564 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:35 ID:GMYVJWfZ0
ξ*゚ー^)ξ「お酒くらい、いいじゃない。ほんのり桜色で綺麗でしょ? 」

そういって微笑むとイタズラっぽくウィンクをする。

('A`)「ならタバコくらい、いいだろうよ。クールでカッコいいだろ? 」

ξ゚⊿゚)ξ「微妙」

ドクオはツンのセリフに対して皮肉を言ったつもりだったが、
ツンのほうが一枚上手のようだった。

('A`)「そーかよ」

そういって手すりに寄り掛かると缶コーヒーを一口飲む。

ξ゚⊿゚)ξ「そうやってタバコ持った手で缶コーヒー飲んでると、ちょっとカッコいいね。
      横顔しか見えない角度から見た場合限定だけど」

ツンはさらに追い打ちをかける。

ξ゚⊿゚)ξ「あっ、でも夜で場所がいいからかもね」

('A`)「あんまり、顔については触れるな。それ以上言ったらここから身投げするぞ」

ξ゚⊿゚)ξ「やーよ、私が帰れなくなるじゃない」

('A`)「はいはい、わかったよ」

そういってドクオはタバコを灰皿に押し付けた。




568 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:38 ID:GMYVJWfZ0
それっきり二人は無言のまま、海を眺める。




('A`)「……どうだった? 」

最初に口を開いたのはドクオ。

ξ゚⊿゚)ξ「なにが? 」

('A`)「気持ちの整理はついたか? 」

一度、その話題に触れてしまえば後はどうなるのかくらい、二人とも分かっていた。

だから、ツンもドクオも今日一日その話題には触れずに過ごした。

それでも、一年半前別れを決意したこの場所でその話題に触れずにいることなど出来なかった。

('A`)(それを望んでいたのかもしれない)

ここに来たら、おそらくその話をすることになるのが分かっていて、ドクオはここに来た。

帰ってきたら一番に、ここに連れて来てやろうと思ってたなんて、ただの建前に過ぎなかった。

('A`)(必死だな、俺)

そんな事を考えているとツンが、海から視線を戻すことなく口を開く。




 


570 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:39 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚⊿゚)ξ「……よく、わかんない」

星の輝く夜空のように澄んだツンの声が、波の音を掻き消すようにドクオに届く。

ξ゚⊿゚)ξ「結局、なんだか分からなかった。分かったことは二つだけかな? 」

('A`)「二つ? 」

ξ゚⊿゚)ξ「うん」

ツンは振り向いてドクオを正面から見据える。

ξ゚⊿゚)ξ「……みんなと居ないと、寂しい。向こうでも友達は出来たけどね、なんか違うの。
      ブーンがいて、ドクオがいて、そして、しぃがいて。
      ……私の居場所はここなんだって思った」

('A`)「後ひとつは? 」

ξ゚⊿゚)ξ「……聞きたい? 」

('A`)「ああ」

ξ゚⊿゚)ξ「……じゃあ、目を閉じてくれる? 」

(-A-)「……」

ドクオはツンに言われるままに目を閉じる。




571 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:41 ID:GMYVJWfZ0









『……もうひとつは、私の気持ちよ』

そうツンの言葉が聞こえたと同時に、ドクオの唇に何かが触れた。















577 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:43 ID:GMYVJWfZ0
(-A-;)「……っ!」

ξ-⊿-)ξ「……んっ」

それがツンの唇であることに気付くまで数秒を要した。

(-A-)(甘い匂いがする……エンジェルハートだっけ? )

そんな事を考えていたら、唇に触れていた感触が離れた。

ξ////)ξ「……」

ドクオが目を開くと目の前には、顔を真っ赤にして俯くツンがいた。

('A`;)「なぁ、今のって……」

ξ////)ξ「ば、ばか! それくらい察しなさいよ! 」

ドクオが口を開こうとするとツンがそれを遮るように叫んだ。

ξ////)ξ「え、えっと、向こうでね、告白とかしてくる男の子はいたんだけど、
       その度に、『チャンスがあるうちは、待ってるよ』って言ってたドクオの顔が浮かんだの。
       ……それで、断ってるうちに、私に告白してくる人なんか居なくなっちゃったの」

そこまで言ってツンは俯いていた顔を上げると、真っ赤な顔のままドクオを睨む。

ξ////)ξ「……こ、この私に彼氏が居ないのは、アンタのせいなんだから! 
       せ、責任とって私の彼氏になんなさいよね! 」

そしてまたツンは俯いた。




 


581 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:45 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「……ツン」

そんなツンにドクオは優しく話しかける。

ξ////)ξ「な、なによ」

('A`)「俺でいいのか? 」

ドクオは自分でも意地の悪い質問だと思ったが、あえて聞いてみた。

ξ////)ξ「あ、当たり前でしょ! 」

('A`)「顔は悪いぞ」

ξ////)ξ「知ってるわよ! だいたい私、面食いじゃないわよ」

('A`)「性格も悪いぞ」

ξ////)ξ「それも、知ってるわよ! でも、それ以上に優しいことも知ってる」

('A`)「それでも俺でいいのか? 」

ξ////)ξ「しつこいわね! アンタでいいって言ってるでしょ! 」

('A`)「俺『で』いいのか? 」

ドクオは『で』を大きく強調して聞き返す。




 


585 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:45 ID:GMYVJWfZ0
ξ////)ξ「うー。アンタ性格悪いわよ」

ツンは抗議めいた目でドクオを睨む。

('A`)「性格悪いのは知ってるんだろ? 」

ドクオはシレッとした態度で切り返す。

ξ////)ξ「うー、分かったわよ」

観念した様にそう言うとツンは、少しだけ黙る。
















 


587 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:47 ID:GMYVJWfZ0






ξ////)ξ「……ドクオじゃなきゃ…………ヤダ」

わずかな沈黙の後、消え入りそうな声でそう呟いた。











593 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:49 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「……ツン」

ξ////)ξ「な、何よ」

('∀`)「ありがとう。待ってて良かった」

ξ////)ξ「うん。……待っててくれてありがとう」





そういって二人はどちらとも無く顔を近づけると




満天の星空の下、波の音を聞きながら










二度目の口付けを交わした。




 


597 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:51 ID:GMYVJWfZ0
―PM11:23―

ξ゚⊿゚)ξ「ただいま」

(*゚ー゚)「おかえり」

ツンの声にしぃは見ていたTVから視線を外し、ツンのほうを向いて出迎えた。

('A`)「なんだ、この馬鹿はまだ寝てるのか」

(*-ω-)「……zzz」

(*゚ー゚)「うん。さっきから突っついても、くすぐっても起きないよ」

そういってしぃはブーンの頬をツンツンと指でつつく。

(*゚ー゚)「それより何してたの? 遅かったね」

しぃの問いかけにツンとドクオは顔を見合す。

('A`)「まぁ、しぃにならいいか? 」

ξ////)ξ「……うー、ドクオから言ってよ」

(*゚ー゚)「ん? 何?」

どことなく楽しそうにしぃは聞き返す。




 


599 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:53 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「……お前、わかってるだろ? 」

ξ////)ξ「……そういうことよ」

しぃの態度に二人はあやふやな言葉を返す。

(*゚ー゚)「えー、ちゃんと言ってよ」

そんな二人を見比べながらしぃはさらに楽しそうに微笑む。

(*゚ー゚)「二人のこと心配してたんだから、ちゃんと説明してもらう権利くらいはあると思うんだけどなぁ」

('A`)「……やっぱり、分かってるじゃねぇかよ」

そういってドクオはドカッと腰を下ろしツンもその隣に座る。

(*゚ー゚)「むー、そんな事言うと今からブーンを叩き起こして、ブーンに追及させるよ
     ブーンは空気読めないから、しつこいよ? 」

そんなことを言いながらブーンの頬に指を当てる。

ξ////)ξ「わ、わかった! ちゃんと言うから! ……ドクオが」

('A`;)「ちょ、おま、俺かよ! ……はぁ、分かったよ」

しぃの脅迫にツンがそう答えるとドクオは、慌てながらも渋々承知した。




 


602 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:54 ID:GMYVJWfZ0
('A`;)「えっと、その、なんだ。まぁ、しぃも察してるとは思うけどな」

しどろもどろに建前を述べるドクオ。

('A`;)(あー! もう、ヤケだ! )

あまりの恥ずかしさに卒倒しそうになったドクオは、
隣で恥ずかしそうにうつむいて座るツンの肩を抱き寄せる。

ξ;////)ξ「きゃ! ちょ、ドクオ! 」

('A`)「めでたく、ツンの彼氏になれました! 」

ξ////)ξ「うー」

いきなり抱き寄せられてドクオに抗議しようとした矢先に
そんなことを言われてツンは何も言えずにまたうつむく。

('A`)「……これで、満足かよ」

黙って二人を笑顔で見比べていたしぃに、ドクオはぶっきらぼうに言い捨てる。

(*゚ー゚)「うん! 満足! ドックン、待っててよかったね? 」

ここに至るまでドクオの相談役になっていたしぃは満足そうに頷く。




 


604 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:56 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「……ありがとよ」

(*゚ぺ)「むー。また、そんな可愛くない笑い方するー」

しぃの言葉にいつものように口をゆがめて笑うドクオ。
それに対してしぃが抗議する。

('A`)「わりぃな。もう、オメーには笑顔なんか見せられん。
   ……一番いい笑顔は一番大事な人の前でしか見せないことにした」

そんな抗議をドクオはサラッと返した。

ξ////)ξ「……」

ドクオの言葉にますます赤くなってうつむくツン。

(*゚ー゚)「きゃー、ドックン、カッコいい!! ツンちゃん良かったね? 」

そんな二人を見てしぃは本当にうれしそうに答えた。

ξ////)ξ「……うん、ありがと。でもね、一つだけ言っておく事があるの」

しぃの言葉にツンは少しだけ顔を上がると小さくそう答えた。

(*゚ー゚)「なに? 」

ξ////)ξ「……えっと、いくらカッコよくても、コレは私のだから! 」

ツンはそういうと、左肩にまわされたドクオの左手を右手でギュッと掴む。




 


607 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:58 ID:GMYVJWfZ0
('A`;)「ちょ、おま、ツン! 何言ってんだよ! 」

ξ////)ξ「だって、ブーンよりいい男なんだから、取られたらヤダモン! 」

(#゚ー゚)(それは聞き捨てならないよ! ……口には出さないけど)

('A`;)「そんな事あるわけねーだろ? 」

ξ////)ξ「だって、私よりしぃの方が可愛いし、心配なんだもん! 」

('A`;)「大丈夫だって。俺の気持ちは変わらんから」

そんな、二人のやり取りを聞きながらしぃはボソッと呟いた。

(*゚ー゚)「……バカップル」

ξ////)ξ『お前が言うな! 』('A`;)















608 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 13:59 ID:GMYVJWfZ0
~ 12年後 ~

―4月某日―

( ^ω^)「ただいまだお」

リビングの扉を開いてブーンが入ってくると
一人の少女が嬉しそうに駆け寄ってくる。

*(‘‘)*「とーちゃん。おかえり! 」

( ^ω^)「おー、ヘリカルまだ起きてたのかお? 」

自慢の娘の頭をなでながらブーンはネクタイを緩める。

(*゚ー゚)「あなた、お帰りなさい」

( ^ω^)「ただいまだお」

*(‘‘)*「とーちゃん、ほんよめ! 」

(*゚ー゚)「こら、ヘリカル。お父さん疲れてるんだから無茶言わないの」

ブーンにお気に入りの絵本を突き出すヘリカルをたしなめるようにしぃが言う。




 


611 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:01 ID:GMYVJWfZ0
*(‘‘)*「やーだ、とーちゃんほんよむお! 」

しかし、ブーンの口癖を真似る愛娘の姿に、夫婦そろって苦笑するしかなかった。

( ^ω^)「しかたないお。とーちゃん着替えてくるから部屋で待ってるお」

*(‘‘)*「わかったお! 」

返事をしたヘリカルは、「ぶーん」と叫びながら自分の部屋に戻っていった。

(*゚ー゚)「疲れてるんじゃない? 私が行こうか? 」

( ^ω^)「かまわんお。 娘の顔見たら疲れなんか吹っ飛ぶお」

ブーンはそういい残して、リビングを出て行く。

(*゚ー゚)「もう、娘には甘いんだから」

そんなブーンを見ながらしぃは幸せそうに微笑んでいた。




 


615 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:02 ID:GMYVJWfZ0
(*゚ー゚)「さて、肉じゃが温め直さないとね」

しぃは愛しのだんな様の為にコンロに火を点ける。
そこに着替えたブーンがなぜか戻ってきた。

( ^ω^)「しぃの笑顔でも、疲れが吹っ飛ぶお」

どうやら、この一言を言うために戻ってきたようだ。

(*゚ー゚)「もー、いい歳して何言ってるの? 」

( ^ω^)「お? 何か変なこと言ったかお?」

しぃの言葉にブーンは真顔で首を傾げる。

(*^ー^)「んーん。言ってないよ」

( ^ω^)「ならいいお」

微笑みながら答えるしぃにブーンが納得していると、部屋からヘリカルの声が届く。

『とーちゃん、おせーお! 』

(*゚ー゚)「ほら、ヘリカルが待ってるわよ? その間にご飯の用意しておくから」

( ^ω^)「じゃあ、お嬢様のご機嫌でも取ってくるお」

そういって、ブーンは再びリビングを後にした。




 


618 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:04 ID:GMYVJWfZ0
( ^ω^)「ヘリカルお待たせだお」

*(‘‘)*「とーちゃん、おんなのこをまたせるのはどうかとおもうお! 」

(;^ω^)「へ、ヘリカル、何言ってるお」

*(‘‘)*「このあいだ、つんちゃんとままとあそびにいったとき、
     とーちゃんはむかしから、じかんにだらしないおとこだったって
     つんちゃんがいってたお」

(;^ω^)「ほ、ほかには何か言ってたかお? 」

*(‘‘)*「んっとね。そしたらままが『ぷろぽーずもまたされたしね』って、
     いってわらってたお」

(;^ω^)「……」

*(‘‘)*「そしたらつんちゃんも『それだけは、うちのほうがひどいわよ』っていってたお」

娘の無邪気な言葉にブーンの疲労は吹っ飛ぶどころか倍増した。

*(‘‘)*「とーちゃん。いいから、はやくほんよめお! 」

そんなブーンのことなどお構いなしにヘリカルはブーンを急かした。

(;^ω^)「お? じゃあ読むお。『昔々、ある所に……』 」




 


620 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:06 ID:GMYVJWfZ0
( ^ω^)「『幸せに暮らしましたとさ。 めでたし、めでたし』……お? 」

*(- -)*「すぴー……すぴー」

ブーンが本を読み終えたときにはすでに娘は寝息を立てていた。

( ^ω^)「やれやれ、少しは大人になったのかと思ったら、まだまだ可愛いもんだお」

娘のあどけない寝顔にブーンは疲れが癒されたような気がした。

*(- -)*「……とーちゃん、まま、だいすきだお」

( ^ω^)「……ヘリカル、とーちゃんも大好きだお」









ブーンはしばらく娘の頭を撫でたあと、娘の部屋を後にした。




 


623 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:07 ID:GMYVJWfZ0
( ^ω^)「お? 今日は肉じゃがかお」

リビングに戻ってきたブーンは
キッチンから漂う香ばしい香りを楽しむように食卓につく。

(*゚ー゚)「ヘリカルは、もう寝たの? 」

( ^ω^)「寝たお。相変わらず寝つきがいいお」

(*゚ー゚)「ふふ、あなたそっくりね」

しぃは肉じゃがを小鉢に盛り付けるとブーンの前に置き、
サラダ、焼き魚など他の料理をテーブルに並べた後、冷蔵庫からビールを取り出す。

(*゚ー゚)「あなた、少し飲まない? 」

( ^ω^)「お? しぃから言い出すとはめずらしいお」

(*゚ー゚)「今日はいいお知らせがあるのよ」

そういって、一通の封筒をブーンに手渡した。











624 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:09 ID:GMYVJWfZ0
~ 二ヵ月後 ~

―6月某日―

*(‘‘)*「お~、すげーお」

初めて見る教会にヘリカルは感嘆の声を上げる。

*(‘‘)*「とーちゃん、はやくするお! 」

(;^ω^)「ヘリカル、そんなに走ったら危ないお! 」

*(‘‘)*「だいじょうぶだお~」

ヘリカルは走りながらそう答えると、前方にいた人物に衝突した。

*(‘‘)*「いたっ! 」

その声に衝突された人物がやさしく声をかける。








ξ゚⊿゚)ξ「あら、ヘリカルちゃん。大丈夫?」

それはウェディングドレスに身を包んだツンだった。




 


628 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:10 ID:GMYVJWfZ0
*(‘‘)*「お~。つんちゃんきれーだお」

ξ゚ー゚)ξ「ふふ、ありがと。ヘリカルちゃんも、綺麗なお洋服着て可愛いわよ」

*(‘‘)*「おねーさんみたい?」

ξ゚ー゚)ξ「もちろん」

ツンがヘリカルと楽しそうに話していると後ろからしぃが声をかける。

(*゚ー゚)「ツンちゃん、今日はおめでとう」

ξ゚⊿゚)ξ「あら、しぃ。ありがと」

(*゚ー゚)「ようやくだね」

ξ゚⊿゚)ξ「ホントよ。こんなに待たされるとは思わなかったわ」

しぃの言葉に同調するようにツンがうなずくとそこに、ブーンが割ってはいる。

( ^ω^)「ツンだって一年半待たせたじゃないかお」

ξ゚⊿゚)ξ「だからって、大学卒業から8年は待たせすぎだと思わない? もうすぐ三十路よ? 」




 


632 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:11 ID:GMYVJWfZ0
3人がそんなことを話し込んでいるともう一人の主役が現れた。

('A`)「おう、おめーら何の話だ」

*(‘‘)*「おー、どくにぃもきょうは、かっこいいおー」

('A`)「おう、ヘリカル。『今日は』じゃなくて『今日も』かっこいいの間違いだろ? 」

*(‘‘)*「んーん。いつもはそうでもないお。
     なんで、つんちゃんみたいにきれーなひとの、かれしなのかふしぎだお」

('A`;)「……おい、ブーン、しぃ。てめーら娘にどんな教育してんだ? 」

ヘリカルの無邪気な言葉にドクオが三人の方に向き直ると、三人とも笑いを堪えていた。

( ^ω^)「ぷぷぷぷ。べ、別に変なことは教えてないお」

(*゚ー゚)「素直な子になるようにとは、いつも思ってるけどねー」

ξ゚⊿゚)ξ「親の期待通り素直ないい子に育ってるわね」

('A`;)「……」

付き合いの長い友人に止めを刺されてドクオが落ち込んでいる姿を
ヘリカルは不思議そうに眺めていた。




 


636 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:13 ID:GMYVJWfZ0
そのヘリカルにツンが話しかける。

ξ゚ー゚)ξ「そうねー、ヘリカルちゃんにはまだ分からないかもね」

*(‘‘)*「つんちゃん、なにがだおー? 」

ξ゚ー゚)ξ「好きって気持ちはね、見た目じゃないのよ」

*(‘‘)*「よくわかんないお~? 」

ツンの言葉にヘリカルはちょこんと首を傾げる。

ξ゚⊿゚)ξ「んー。ちょっと難しかったかもね。
      ……じゃあ、ヘリカルちゃんは、ママの事を綺麗だと思う? 」

*(‘‘)*「うん! ままはいつもきれいだから、へりかるのじまんのままだお! 」

(*゚ー゚)「あら、ありがとー。ヘリカル」

元気よくうなずくヘリカルの頭をしぃが撫でると、ヘリカルはニコニコと笑顔を浮かべる。

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ、お父さんの事はかっこいいと思う? 」

(*^ω^)(そんなの『かっこいいお! おおきくなったら、
       とーちゃんのおよめさんになるお!』って言うに決まってるお)

ブーンがそんなことを考えていると、ヘリカルは元気よく即答した。




637 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:14 ID:GMYVJWfZ0
*(‘‘)*「んーん。とーちゃんはでぶだし、どくにぃよりかっこわるいお! 」

Σ(;゚ω゚)「なんですとぉ!! 」

愛娘の素直な言葉はブーンの胸を貫いた。

(*゚ー゚)「あらあら、ヘリカルったらいつまでも子供かと思ってたのに、見るところは見てるのねー」

娘の意外な一言に楽しそうに笑うしぃ。

('A`)「素直な娘に育ってよかったな。とーちゃん」

同情するようにブーンの肩を叩くドクオ。

( ;ω;)「とーちゃんはこれから、何を楽しみに生きていけばいいんだお? 」

そして、この世の絶望をすべて受け止めたように、肩をがっくりと落とすブーン。

その様子を楽しそうに眺めながら、ツンはさらにヘリカルに話を続ける。

ξ゚ー゚)ξ「それでも、ママはお父さんの事、大好きなのよ」

*(‘‘)*「ままー、そうなのかお? 」

(*゚ー゚)「うん、そうだよー。ママはとーちゃんもヘリカルも大好きだよ。ヘリカルは? 」

*(‘‘)*「へりかるもー! へりかるも、ままもとーちゃんもだいすきだお!! 」

しぃが優しく問いかけると、ヘリカルは元気いっぱいに答えた。




 


639 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:16 ID:GMYVJWfZ0
('A`)「ホントに、素直な娘に育ってよかったな。とーちゃん」

( ;ω;)「おっおっおっ、この言葉は、父親冥利に尽きるってもんだお」

愛娘の言葉にブーンが喜びをかみ締めていると、クーが4人に声をかける。

川 ゚ -゚)「お前たち、雑談はそれくらいにして、そろそろ式を始めるぞ」


…………

………

……











640 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:18 ID:GMYVJWfZ0
―同日・PM11:53―



ξ゚⊿゚)ξ「あんたさぁ、今夜が結婚初夜だってわかってるの? 」

('A`;)「わかってるよ。だからそんなに怒るなよ」

ツンの言葉にドクオは少しうろたえながら答える。

ξ゚⊿゚)ξ「別に、怒ってないけど……他にやることあるんじゃないの? 」

('A`)「まぁ、世間一般的にはそうなんだろうけどさ。それよりどうしても優先したいことだったんだよ」

ξ゚⊿゚)ξ「アンタって顔に似合わずロマンチストねー」

('A`)「……いやか? 」

先ほどから文句を言うツンの態度に、不安になったドクオは立ち止まると
一歩先で振り返るツンを真正面から見据えて問いかけた。

ξ゚ー゚)ξ「……嫌なわけないでしょ。ここは私にとってもお気に入りの場所なんだから」

('A`)「それは、よかった」

ツンが笑顔で答えたのを見て、ドクオは安心したようにまた歩き始める。

ξ゚ー゚)ξ「それに、私たちの始まりの場所でもあるしね」

('A`)「そうだな」




 


644 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:19 ID:GMYVJWfZ0





手をつなぎ、二人でゆっくりと踏みしめるように階段を上る。







やがて最後の段にたどり着き、視線を上げると……







満天の星空と煌々と輝く月と漆黒の海、そして優しく吹き抜ける海風が、
二人を祝福するように出迎えた。




ξ゚ー゚)ξ「……いつ来ても綺麗ね」

('A`)「……ああ」




 


646 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:20 ID:GMYVJWfZ0
二人が来たのは美府岬。

二人にとって過去との決別を決意した場所であり





そして、共に未来へ歩むことを決めた場所だった。











ξ゚⊿゚)ξ「もう、あれから12年も経つんだね」

ドクオの隣で手すりに手をかけて海を眺めていたツンが、不意に口を開く。

('A`)「……そうだな。正直、あの時はこんなに続くなんて思ってなかったがな」

いつのも様に缶コーヒーを飲みながらドクオはぶっきらぼうに答える。




647 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:22 ID:GMYVJWfZ0
ξ゚⊿゚)ξ「あら、なんで? 」

そんなドクオに不思議そうにツンは聞き返す。

('A`)「……んー、モテナイ男の自虐思考かな。そのうち振られるんじゃねーかって思ってた」

ツンの言葉に少し考えてから答えると、空になった缶コーヒーをゴミ箱に向かって投げる。
放物線を描きながら宙を舞う空き缶は、カランという音と共にゴミ箱に吸い込まれた。

ξ゚⊿゚)ξ「アンタ、馬鹿じゃない? 」

そんなドクオの言葉を聞いたツンはあきれたように口を開いた。

ξ////)ξ「あ、アンタよりいい男なんてそうそう居ないわよ」

そこまで言ってツンは顔を真っ赤にすると俯いた。




 


651 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:24 ID:GMYVJWfZ0
その様子を見て今度はドクオがあきれたように口を開く。

('A`)「いい歳してそんなセリフくらいで赤くなるなよ。もう30だr……」

その瞬間ドクオの鳩尾に、お手本のように綺麗なクー直伝のボディブローがめり込んだ。

(゚A゚;)「はぐぅ! 」

ξ#゚⊿゚)ξ「まだ29だ! 」

('A`;)「……本当に申し訳ありませんでした」

ξ#゚⊿゚)ξ「あーあ! アンタのせいで雰囲気台無し! 」

肩を怒らせて顔を背けると、また海のほうに視線を向けた。

('A`;)(29の怒り方じゃねーな。ホント、こういうときだけはガキなんだから)

ドクオは、まだズキズキと痛む鳩尾をさすりながらツンの後ろに立つと

('A`)(ったく、しょーがねーな)

雪のように白い首に腕を回す。

ξ////)ξ「ちょ、ドクオ! いきなり、なによ! 」

('A`)「ツン、そう怒るなよ」

暴れるツンの耳元でドクオは優しくつぶやく。




 


654 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:26 ID:GMYVJWfZ0
ξ////)ξ「……べ、別に怒ってないわよ」

ドクオの言葉にツンは急におとなしくなった。

二人の間に心地よい沈黙の空気が漂う。

('A`)「なぁ、ツン」

吹き抜けていく海風に溶けるような穏やかなドクオの声がツンの耳に届く。

ξ////)ξ「なに? 」

('A`)「安っぽいセリフだけど……俺、今すっげー幸せだわ」

そういってドクオはツンを抱く腕の力を少し強める。

ξ゚ー゚)ξ「…………私もよ」

ツンはその腕を解きドクオに向き直ると優しく微笑む。

ξ゚ー゚)ξ「ドクオ」

今度はドクオを真正面から見据えたツンの透き通るような声がドクオに届く。

('A`)「なんだ? 」

ξ゚ー゚)ξ「これからも、ずっと一緒にいてね」

('∀`)「……ああ」





 


656 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:29 ID:GMYVJWfZ0
ツンはドクオの返事を聞いて安心したように、ドクオの胸に顔をうずめると、腕を背中に回した。

ξ-⊿-)ξ「ねー、ドクオ」

('A`)「なんだよ」

そんなツンをドクオはしっかりと抱きとめる。

ξ*-⊿-)ξ「幸せだね? 」

('A`)「ああ、そうだな」

そう口にしてお互いに少し腕の力を強くする。

ξ-⊿-)ξ「ねー、ドクオ」

('A`)「今度はなんだよ」




 


658 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:30 ID:GMYVJWfZ0
ξ-⊿-)ξ「もっと、ギュッてして」

('A`)「なにガキみたいなこと言ってんだよ」

ξ-⊿-)ξ「たまには、いいじゃない。恋する女は、いくつになっても乙女なのよ」

('A`)「はいはい、分かりましたよ。……お前、昔に比べてずいぶん弱くなったな」

ドクオは観念したように返事をすると、ツンをさらに強く抱きしめた。









ξ*-⊿-)ξ「……いいじゃない、好きな人の胸の中にいるときくらい」

('A`)「……そいつは光栄だ」




 


661 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:31 ID:GMYVJWfZ0



二人は満天の星空の下で





時折、響く波の音に耳を傾け





柔らかな海風に身を委ね





煌々と輝く月に見守られながら





一緒に居られる事の幸せをかみ締めるように






 


663 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:32 ID:GMYVJWfZ0





いつまでも抱き合っていた。







                 ~ Fin ~





664以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/31 14:33 ID:Nkqw5SDg0
乙!!!よくがんばったw




677 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:36 ID:GMYVJWfZ0
以上!
十時間にも及ぶ長時間の猿退治ありがとう!!!
おかげで一度もさる食らうことなく投下できました

今回も総合で投下予定の短編のつもりがやたら長くなった
もらったお題は
・昔々、ある所に
・純情ラブ☆マジック
・moondance
・夕焼け

でした





678以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/31 14:36 ID:bzIp2u9jO





679以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/31 14:36 ID:nhJDHvKPO
長いことロムってた!作者乙!




680以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/31 14:36 ID:q/Y4pUVm0
それにしても処女膜…もとい処女作とは思えないほどうまいな。




 


683 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:38 ID:GMYVJWfZ0
>>680
処女じゃないんだ
長編は一本
あと総合で短編をいくつか書いてます




684以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/31 14:41 ID:qvfe/3hy0
うわ故郷に帰るようですの人だったのか
これも故郷の方も大好きだ






 


687 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 14:46 ID:GMYVJWfZ0
>>684
ちょwww投下始めた時もいたけど
あれ知ってる人いたのか

あのころちょうど三丁目とかが始まった時だったからマイナーだったのに




 


690以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/31 15:09 ID:C2wRJrn5O
>>687
割と覚えてるやつ多いじゃないか?
俺も覚えてる

内藤地平線を総合で聞いてたろ?




691 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 15:15 ID:GMYVJWfZ0
>>690
そうか、落書きのシーンを総合にテスト投下したから
総合に駐留してる人は結構見てたんだな

さて、あまり馴れ合いやってるわけにもいかんしそろそろ俺は落ちるわ

最後に
猿退治してくれたみんな、愛してるぜ!!!




692以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/31 15:18 ID:ADtnzsP/O
照れるなー




693以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/31 15:18 ID:Wbt2Zrqq0
おつーーー!!!!




694 ◆DyhKUHe1jM []:07/10/31 15:20 ID:GMYVJWfZ0
追伸
ROMってたやつも愛してるぜ




 


733以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/31 19:21 ID:GMCG5XSp0
朝見かけてここまで残ってる事に驚いたわ
お陰で>>1に乙が言えるから良き事だが


マジで乙でした


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[ 2007/10/31 00:00 ] ξ゚⊿゚)ξ | TB(0) | CM(0)
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