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ジャンヌ速報 「おーい磯野、野球しようぜ!!」

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「おーい磯野、野球しようぜ!!」 

「おーい磯野、野球しようぜ!!」


1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:03 ID:mfg64uq30
この言葉を聞くことは、二度とないと思っていた。
だからこそ今、玄関から響くこの言葉に精一杯こたえよう。
「今行くよ!中島!」





4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:04 ID:mfg64uq30
今日は日曜日で、久々に野球部の練習が休みだ。
布団の中で惰眠を貪るカツオは幸せの絶頂にいた。
しかし、中島の声で無理やりたたき起こされることになった。
中島は部の練習が休みのときでも、カツオを誘って練習をする。





5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:06 ID:mfg64uq30
六月に入って間もないのに、日差しは強くなる一方だった。
地区予選は炎天下の中で試合をすることになるだろう。
カツオと中島は中学生のときバッテリーを組んでいた。
しかし、中学最後の試合に負けたあとから
ついこの間の二ヶ月前まで、二人は言葉を交わすこともなく、
すれ違いの日々を送っていた。
それでも周りの人たちの協力もあって、二人は黄金バッテリーとして復活したのだった。





 


7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:08 ID:mfg64uq30
暑くなってきたといっても、やはり今はまだ朝の八時。
さわやかな風が町を吹きぬけていた。
辺りには犬の散歩をする人や、早くからおしゃべりに興じる主婦らの姿も見える。
そんな人々を尻目に、二人はいつもの空地へと向かう。




8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:10 ID:mfg64uq30
空き地には先客がいた。
「いーそーのーくーん!やっぱりくると思ったわ」
空き地の真ん中に仁王立ち。花沢花子その人だった。鬱陶しい。
花沢さんはあの練習試合以降、野球部のマネージャーになっていた。
しかも前からではあるが、ことあるごとにカツオのあとにくっついてくる。
「聞いてよ磯野君。昨日は珍しく父ちゃんの店が忙しくって。
 私も手伝いでてんてこ舞いだったんだから。珍しくマンションの部屋なんかも
 売れちゃったりしてさ。あ、そうそううちで扱ってるアパートの住人に面白い人がいてね……」





9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:11 ID:mfg64uq30
花沢さんの父親は花沢不動産という会社を経営している。
一応彼女は社長令嬢というわけなのだが、カツオの目には一度もそう映ったことはない。
「花沢さん、こんな朝早くに、しかもこんな所までついて来なくていいんだよ。大変でしょ」
平常心を装いながらも口元がひきつるカツオ。
しかし、こんな花沢さんにとても感謝しているのは内緒だ。




 


11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:13 ID:mfg64uq30
「やーね、磯野くんてば!」
花沢さんの張り手がカツオの背中にヒットする。
「ウグッ!」
悶絶。
「二人の赤い糸は決して切れることはないわよ!ねっ、中島君?」
ここで僕に振るのかよ、と言いたげに困り果てる中島。
何気ない夏の休日は始まったばかりだ。




12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:15 ID:mfg64uq30
夜、ネオンサインが街を彩り始める時刻になろうというのに、
フグ田マスオは仕事に追われていた。
「おーいフグ田君、書類出来上がったのか?」
マスオの同僚、アナゴの声がキーボードの音に紛れて耳に届く。
「あと五分で終わるよ、一杯やっていくかい?」
「いいねえ、今日はフグ田君の奢りで?」
「勘弁してくれよ、またサザエに小遣い減らされたんだ」
「恐妻家同士、苦労するなあ」
アナゴは明るく笑う。





13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:17 ID:mfg64uq30
ここ海山商事で、マスオは同期の中ではアナゴと並ぶ
出世頭だった。黙々と、それでいて正確に仕事をこなすマスオの
存在は海山商事になくてはならないものだった。
黙々仕事をこなすといっても、自分の仕事だけやるのではなく
周りの仕事にも気を配る。いかにもマスオらしい。





 


15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:19 ID:mfg64uq30
「らっしゃい」
暖簾をくぐると、馴染みの店主の声が威勢よく響く。
店内には、くたびれたスーツを着たサラリーマンの姿がちらほらと見える。
戦士の休息というやつだろう。
席に着くや否やアナゴが酒とつまみを注文する。
「おやっさん、生と、焼き鳥適当にお願い」
マスオは仕事上でもプライベートな面においてもアナゴを信頼していた。
カツオと中島、とまでは行かないかもしれないが二人は息の合ったコンビだった。




16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:22 ID:mfg64uq30
四杯目のビールに差し掛かったあたりで仕事の話になる。
ジョッキを半分ほど空にして、アナゴはほろ酔い加減だ。
「今度のプロジェクト、僕と君で進めていけって専務から言われたよ」
「あの、一円でコーラを売るってやつかい?上手くいくのかなあ」
「話題性はあるだろうな。ところでカツオ君、また野球始めたんだろ?」




 


18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:23 ID:mfg64uq30
「おかげさまでね。いろいろあったけど、
 やっぱりカツオ君は野球やってるのが一番だよ」
 それより、きみの息子さんのほうは調子いいのかい?」
「それが前より大分良くなったんだよ。この調子で治療を続けていけば
 普通に生活できるまでに回復するそうなんだ」
「そいつはめでたい話じゃないか!いや、安心したよ」




19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:25 ID:mfg64uq30
アナゴの息子は先天性の病気を患っていて、定期的な治療が必要とされていた。
家族を守るために、アナゴは身を粉にして働いている。
これだけ頑張っているアナゴが報われないなんて、そんな話はない。
だから、マスオはなによりもセル……ゲフンゲフン!!……アナゴジュニアの回復がうれしかった。





20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:27 ID:mfg64uq30
「いやー、すまんな。フグ田君にまで心配掛けて。
 うちの奴も感謝してたよ。おや、もうこんな時間だが帰らなくていいのかい」
「あっ」
時計を見て青ざめるマスオ。
その日マスオが家に帰ったとき、玄関には珍妙な髪型をした鬼のシルエットが
たしかに映っていたという。




21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:29 ID:mfg64uq30
「一回戦の相手が決まった?」
廊下で偶然出会った花沢さんの言葉に耳を疑う。
「そうよ磯野君。昨日抽選会だって、前から何度も言ってたじゃない」
プリプリ怒った素振りを見せる花沢さん。
花沢さんの話はほぼ聞き流しているから知らなかった、とは言えない。




22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:31 ID:mfg64uq30
「で、相手は?」
「宇潮第二高校、通称宇二高ね」
「ああ、あの金持ちのボンボンが通ってる私立高校だろ。
 たまに町で見かけるよ。あんなやつらに野球ができるのかい?」
カツオは宇二高の生徒に好感をもっていなかった。あいつらは
親が有力者であるのをいいことに、好き放題している。
少しのことは親の力で何とかなると思っているのだろう。




 


24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:33 ID:mfg64uq30
するといつからいたのか、話を聞いていた中島が口を出す。
「磯野、油断は禁物だぞ。あそこは資金が豊富で設備も整っている。今年からは
 一流のコーチを雇っているらしい。だいたい実績で言えばうちの岩志高校のほうが
 よっぽど弱小と言えるんだ。うちはまだ打線に不安もあるし…」
「わかったわかった。お前は心配性すぎるんだよ」
中島の小言を茶化す。
「磯野、勝負に絶対はないんだぞ」
「わかってるさ、だから面白いんだろ」






 


23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:33 ID:uIzftojs0
どらえもんとさざえさん混ぜて書いてた人?





26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:37 ID:mfg64uq30
>>23
たぶん違う


「フグ田君、社長が君に話があるそうだ」
専務から伝言を受けたマスオは社長室へと足を進めていた。
海山商事の社長はまだ五十路前で、バリバリの現役だ。
裏で色々と汚いことをやっているという話を小耳に挟んだことがある
からだろうか。マスオはあまり社長のことが好きではなかった。




27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:38 ID:mfg64uq30
「社長室」と書かれたプレートが掛けられたドアをノックする。
「入りたまえ」
威厳のある声が聞こえる。
「失礼します」
社長は椅子に座ったままこちらに背中を向けていた。
二人は口を開かない。
わずかな間の沈黙ではあったが、部屋の雰囲気が梅雨空のように重い。




 


29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:40 ID:mfg64uq30
「社長、何か御用でしょうか」
勇気を振り絞り、ついでに声も絞り出した。
社長もとっかかりをさがしていたのか、フンと鼻を鳴らすと
重い口を開いた。




30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:41 ID:mfg64uq30
「君の噂は私の耳にも届いている。よくやってくれているそうじゃないか」
「はい、ありがとうございます」
こちらに背中を向けたままでよく言えたものだ。
そんなことを言うために呼び出したはずがない。本題はなんだ?





31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:43 ID:mfg64uq30
「あー、私の息子は高校生でな、今部活で野球をやっとる。
 息子の高校は知っとるか?」
「確か……宇潮第二高校でしたか」
「そうだ。それでこの間、地区予選の組み合わせが決まってな。
 岩志高校とかいうところらしいんだ」
カツオ君の高校。冷や汗が背中を滑り落ちる。




32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:45 ID:mfg64uq30
「そうですか、息子さん頑張ってくれるといいですね」
マスオはなにも知らないというような口調で答えた。
「岩志高校は弱小チームらしい。だが最近になっていいピッチャーが
 入ったそうでな。名前を磯野……とかいったかな」
「そう……ですか」
「それでよくよく調べてみるとそのピッチャー、君の甥っ子だそうじゃないか。
 それで、君に少し相談があるんだが――」
「社長!!」




 


35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:47 ID:mfg64uq30
めったに大きな声など出さないマスオが怒声を上げる。
社長室に緊張が走る。
「まだ何も言ってないじゃないか、落ち着きたまえフグ田君」
ようやく正面にその顔を向けてニヤリと笑う社長。
久しぶりにその顔を見たがマスオであったが、醜悪という他ない。
「まあ、座って話を聞きたまえ。君だってここまで来てその地位を
 失いたくはあるまい」
握り締めたマスオの拳が震える。





36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:49 ID:mfg64uq30
「なあに、勝負どころでちょっと手を抜いてくれればいいだけだよ」
「社長はカツオ君たちにわざと負けろとおっしゃりたいのですか!」
「一回戦負けでは格好がつかんらしいからな?」
卑劣なやりかただ。どこに左遷されようとも、断るしかない。マスオは口を開きかけた。
「君が断るとなると、アナゴ君も一緒に辞めてもらうことになるかな」
「っ!」 
「君達はいいコンビだから、辞めるときも一緒だ。
 彼、子供が病気なんだってねえ。今無職になったら、治療費とか大変だろうねえ」





37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:51 ID:mfg64uq30
外道。この男を言い表すにはこれで十分だ。
取るに足らない自分の都合のために、
他人の人生を壊すことのできる人間がこの世には存在する。
「失礼します」
温厚なマスオだからこそ、ここまで耐えられたのかもしれない。
これ以上ここにいたらこの男に殴りかかってしまう、そう思った。
ドアを閉める寸前に声がした。
「君に選択肢はないよ」
部屋の外で無機質に佇む秘書官の姿が、やけに憎らしかった。





38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:53 ID:mfg64uq30
「どういうことですか、監督!」
普段は穏やかなキャプテン真黒も、このときばかりは声を荒げていた。
真黒は岩志高野球部唯一の三年生にしてキャプテン、そして四番を務める男だ。
打線が弱い岩志高校において貴重な存在である。
「いや、だからな。何も今すぐ廃部ってわけじゃないんだ」
監督の口調は楽観的だった。




39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:55 ID:mfg64uq30
話はこうだ。岩志高校野球部はここ十年連続で一回戦敗退を喫していた。
いまや野球部の強さというのは、その学校のランクを示す指標の一つにまでなっている。
この間、各校の校長の集まりがあった。岩志高校の校長も当然それに参加した。
そこで自身の野球部の弱さを散々馬鹿にされたらしい。




40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:56 ID:mfg64uq30
憤慨した校長は監督にこう言ったそうだ。
「地区予選でまた一回戦負けをするようならば、野球部は廃部だ!」と。
なんとも大人気ない話である。
だが、実績のない野球部を庇いたてる教職員は少なく、ほとんどはワンマン校長の言いなりだった。
「それで監督は、その話を黙って受けたんですか」
真黒の声はいつもより弱弱しい。




41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 19:58 ID:mfg64uq30
「あー、磯野も入ったし。一回戦くらい勝てるかなって感じで。
 ま、大丈夫でしょ」
中島は頭を抱えていたし、他の部員は真黒を始めとしてあっけにとられていた。
カツオも入部してから気づいたのだが、監督はとてもアバウトな人物だった。
なにせ、見ず知らずのカツオを練習試合で登板させた人だ。
そのころのカツオはまだ野球部員ではなかった。




42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 20:00 ID:mfg64uq30
だが、そのアバウトさがカツオと中島の間の
止まった時間を動かしてくれた要因であったことは
確かだ。この人はアバウトなのではなく、スケールがでかい。
カツオは無理やりそう思い込むことにした。
そうでもしなきゃやってられない。





43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 20:01 ID:mfg64uq30
練習が終わり、一年生は片付けやグラウンドの整備を始めていた。
もうすぐ夏至ということもあり、日はまだ落ちていなかった。
「おい磯野、頼むぞ」
狼狽した様子の真黒が、トンボをかけていたカツオに声をかける。
「大丈夫ですよ」




44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 20:04 ID:mfg64uq30
「ホント、頼むぞ……」
そういって真黒は校門に向かってトボトボ歩いていく。
真黒は三年生だが、
自分がいた部が無くなってしまうのがとても寂しいらしい。
正直、カツオにはまだピンとこない感情だった。
しかし、野球部を廃部にしたくない気持ちは同じだ。




45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 20:06 ID:mfg64uq30
「勝とうぜ、磯野」
帰り道、中島が言う。
「ああ、一点もやらん」
そうさ。やっとまた野球を始めることができたんだ。
こんなところで、終わってたまるか。






46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:08/07/06 20:07 ID:GwFQor+x0
前同じタイトルで書いてた人?




 


48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 20:09 ID:mfg64uq30
>>46
はい。今回は!を二つにしました


あと少しで昼休みというところだった。
マスオは大きく伸びをする振りをして、隣のデスクのアナゴをちらりと盗み見る。
あまり仕事がはかどっているようには見えなかった。
もっとも、はかどっていないのはマスオも同じだった。
社長の一件以来、マスオは憂鬱だった。
フグ田マスオの憂鬱。なんとも締まらないフレーズだ。




49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 20:11 ID:mfg64uq30
マスオはアナゴと一緒に外で昼食をとることになった。
というのも、
「フグ田君、昼飯どうだい?ちょっと話が」
とアナゴから持ちかけられたからだ。
正午を回り、街は活気に満ち溢れていた。
今が一番暑い時間だというのに。
二人が月に数回は利用する、会社から徒歩三分の定食屋に入ることにした。




50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 20:13 ID:mfg64uq30
注文を終えると、アナゴはすぐに話を切り出した。
「……実は君と社長の話、聞いてしまったんだ」
アナゴから話があると言われたとき、そんな気がしていた。
あの話がらみではないかと。
「アナゴ君……」
「君に頼みがある! あの話を……受けてくれないか!」
アナゴはテーブルに額を打ち付ける勢いで頭を下げる。




51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 20:15 ID:mfg64uq30
「いま、職を失うわけにはいかないんだ!
 社長が言っているのは実に下らんことだ。
 だが、あの男はやりかねん。本気で僕達をクビに……だから……頼む、フグ田君!」
アナゴの必死の想いがマスオには痛いほど分かった。
病気の息子を持ちながら、一度も弱音を吐かず仕事と向き合ってきたアナゴ。
その彼が、苦痛な面持ちで頭を下げている。
「顔を上げてくれ、アナゴ君」
「スマン……」




52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:08/07/06 20:16 ID:GwFQor+x0
>>48
前回のはまとめサイトで見たけど面白かった
今回もがんばってくれ




531 ◆8jF6DdCTlE [コテつけます]:08/07/06 20:19 ID:mfg64uq30
>>52
自信ないけど、頑張ります


「偵察に行く?」
「そうよ」
「そうだよ」
当たり前じゃないか、とでも言いたげな中島と花沢さんの返答。
「監督に行けって言われたのかい?」
「あの監督がそんなに気の利いたこと言うわけないだろ。
 真黒さんだよ。うちは打線が弱いから少しでも失点を減らさなきゃ。
 それでバッテリーに偵察して来いってさ。絶対一回戦で負けるわけにはいかないからね」





541 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 20:20 ID:mfg64uq30
中島と真黒以外、岩志にはろくなバッターがいない。
カツオはなんでもこなすように見えて、バッティングは昔からからっきしだった。





55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 20:22 ID:mfg64uq30
宇二高は岩志高前からバスで六つ目の停留所で降りて、少し歩いたところにある。
バス内には、老人が二三人いるだけだった。エアコンが少し強い。
「どーせ、僕は打てませんよ」
「あら、磯野君には自慢の快速球があるじゃない。それで充分おつりがくるわよ」
「で、君はまたついてきたわけだ」
「真黒さんが行ってきていいって。さすがにキャプテンは気が利いているわ」




561 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 20:25 ID:mfg64uq30
どういう意味で気が利いているんだ、と言い掛けてカツオは口をつぐんだ。
まさか、キャプテンまで僕と花沢さんのことを誤解しているのでは。
カツオの頭に恐るべき考えが浮かんだ。
周りにはカツオと花沢さんが付き合っていると思っている人が少なからずいた。
サザエとワカメはその最たる人物であった。
カツオの顔が青ざめる。
「磯野、降りるぞ。ん、車酔いでもしたのか?」
中島はカツオの顔を不思議そうに見ていた。




571 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 20:27 ID:mfg64uq30
宇二高野球部はざっと見たところ、部員三十人程度のいたって普通の野球部だ。
対して岩志高は部員十三人の弱小野球部、と他校からは思われている。
中島と花沢さんは持ってきたノートを取り出して、なにやら書き込みをしている。
カツオはフェンスにもたれ掛かる。




581 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 20:28 ID:mfg64uq30
足元に落ちているボールを手で弄びながら、ボーっと練習風景を眺めていた。
いたって普通のチーム。カツオの感想だった。
投打のバランスは取れているが、それだけだ。
飯田高の陣平のように突出した選手はいない。
これなら楽勝とは行かないが、
一回戦突破という条件はそれほど無茶なものではないだろう。





591 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 20:29 ID:mfg64uq30
そのとき、甲高い金属音でカツオの思考がストップした。
ノックのボールが逸れて、こちらに飛んでくる。
カツオによる予想着弾点は花沢さんの顔面。
「キャー!」
花沢さんの叫び声がグラウンドに木霊する。




60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 20:30 ID:NiSqifUo0
支援します

前スレまとめが・・・見たい




611 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 20:33 ID:mfg64uq30
>>60
スレタイでググれば出てくると思います


カツオは持っていたボールを咄嗟に投げて、
飛んできたボールの軌道を変えた。
失速したボールは、三人の脇を転がっていく。
まさか上手く当たるとは思わなかった。
カツオは自分で自分に感心していた。




621 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 20:35 ID:mfg64uq30
「い、磯野君、ありがとう」
尻餅をついた花沢さんが口を開く。
「流石だな、磯野」
隣にいる中島も感心している。
「ま、まあね」
いまさらまぐれだとは言えない雰囲気だ。




631 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 20:37 ID:mfg64uq30
飛んできたボールに気を取られていたせいで、グラウンドのほうから
近づいてくる男にカツオたちは今しがた気がついた。
「お前ら、岩志高校だな」
高そうなバットを持ち、岩志高では誰も手が出せないような
メーカーのスパイクを履いた男が目の前に立っていた。
こぎれいなユニフォームに身を包み、こちらをニヤニヤと見ている。




641 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 20:39 ID:mfg64uq30
「おい、この娘にボールが当たるとこだったんだぞ。
 少しは謝ったらどうだ!」
男に憤る中島。
厳格な祖父に育てられた中島は、正義感が強い。
「あ、悪いね」
少しも自分が悪いとは思っていない。そんな声だった。
にやけた面に人を馬鹿にした態度。
「海山金成、宇二高二年で四番を打ってる」
突然花沢さんが後ろでこっそり呟く。
おそらく対戦相手である宇二高をしらべていたのだろう。




651 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 20:41 ID:mfg64uq30
「ふーん」
カツオは少し考え込んだあとに提案する。
「一球だけ僕と勝負してみないか?
 それでアンタが空振りしたらこの娘に謝ってくれ。今度はちゃんとね」
「いいだろう、マウンドに上がれ」
海山はバッターボックスへと歩いていく。
こういう輩は無駄にプライドが高い。
カツオの思ったとおりだった。
「中島、キャッチャー頼む」




661 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 20:43 ID:mfg64uq30
「まさかぶつけるつもりじゃないよな、磯野」
中島は心配そうな口調だ。
「ははは、いいから構えた構えた」
何か言いたそうな中島を向こうへと押しやる。





671 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 20:44 ID:mfg64uq30
準備は整った。周囲は妙に静まり返っている。
そのとき、カツオはグラウンドにいる全員に聞こえる程大きな声を出した。
「中島! ど真ん中に構えてくれ、ストレートだ!」
海山の顔が歪む。
「お前、ふざけてんのか!?」
海山の顔とは対照的に中島は自身ありげに笑う。
「きますよ、構えてください」
「ちっ」




681 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 20:45 ID:mfg64uq30
二ヶ月前までのカツオではない。
ブランクを埋めるために毎日、基礎からトレーニングをやり直した。
慣れないマウンドでもカツオは動じない。
ワインドアップでゆったりと投球動作に移る。
まるで熟練の書道家が一筆で字を書くように淀みなく、
カツオの身体は美しい流線を描く。




 


701 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 20:46 ID:mfg64uq30
―現場にいた宇潮第二高校野球部一年・比児木(某格闘漫画好き)は次のように語る―

「はい、耳を疑いました。突然、投げる前にコースと球種を宣言したんです。
 え?海山さんの顔?怖くて見れたもんじゃないですよ。
 その後はどうだったかって?いや、なんかね、一瞬だったんですよ。ええ。
 ボール?見えませんよ。見えてた人いるのかな?
 信じられますか?気がついたらキャッチャーミットにボールがありましたもん。
 バット?とんでもない。振れませんよ、あれは」




71以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 20:48 ID:mfg64uq30
「なるほど、なかなかの球を投げる。
 いい試合になるかもしれないね」
海山は必死で平静を装おうとしているようだった。
「帰ろう。中島、花沢さん」
三人はくるりと背を向けるとグラウンドを後にする。
「試合でこの球が投げられればの話だけどね」
海山が呟いた言葉は、中島と花沢さんには聞こえていなかったようだった。
カツオの胸には言いようのない不快感が残った。




 


731 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 20:50 ID:mfg64uq30
社長と話をしてから一週間後、マスオは再び社長室のドアの前に立っていた。
この一週間、マスオはいろいろと思い悩んだ。
カツオに一度だけ負けてもらえばいいだけではないか、と。
しかし、カツオに話を切り出すことは出来なかった。




741 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 20:52 ID:mfg64uq30
マスオは昔、高校球児だった。
強豪高校ではなかったものの、マスオはチームのエースだった。
あのころの高校生は誰もが本気で甲子園を目指していた。
もちろん、マスオもその一人だ。




751 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 20:53 ID:mfg64uq30
しかし二年の秋、悲劇がマスオを襲った。
変化球の投げすぎで肘に疲労がたまっていたらしい。
練習熱心なマスオの性格が裏目に出てしまったのだ。
マスオの肘は使い物にならなくなった。




 


771 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 20:54 ID:mfg64uq30
ピッチャーを辞めることを余儀なくされたマスオは当時、失意のなかにいた。
それでも、すぐに気持ちを切り替えて、
マスオは影からチームを盛り立てていくことを決めた。
下級生にアドバイスをしたり、新しい練習方法を考えたり、マスオは前向きだった。
しかし努力の甲斐無く、チームは甲子園に行くことができなかった。




76以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 20:53 ID:lusHMOSNO
>>1 どこ住みですか?




781 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 20:58 ID:mfg64uq30
>>76
カントー地方。なんで?


二ヶ月前、マスオは野球をやめてくすぶっているカツオの手助けをした。
それは心のどこかに、自分の夢をカツオに託したい、という想いがあったからではないか。
最近になってマスオはそんなことを考えていた。




 


801 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 21:00 ID:mfg64uq30
社長室には相変わらず趣味の悪い壷や、ゴテゴテとした絵画が飾られている。
「おう、フグ田君。あの件、よろしく頼むよ」
「その件で、お話があって参りました」
「ん?」
マスオはその場で跪く。
「その話、無しにしてもらうことは出来ませんか!?
 無しにできないなら、アナゴ君を巻き込むのはやめにしていただきたいんです!」
 もしカツオ君たちが勝っても、辞めるのは私だけで充分のはずです」




831 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 21:01 ID:mfg64uq30
「貴様、まだそんなことを言っているのか?
 カツオ君たちが勝つ?それをさせんのが貴様の仕事だろうが!
 どうしても甥に言えんというのなら仕方がない。
 そのカツオ君とやらは”不幸な事故”に遭うかしれんぞ?ん?」




84以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:08/07/06 21:02 ID:gE0zFSqYO
社長が絵に書いたような悪役だwwwwwwww




85以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 21:04 ID:ecrFD3Un0
>>85
まあ、実際こんなやついたらワイドショーだけどなw




81以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 21:01 ID:lusHMOSNO
こんなすばらしい小説を書ける人がいるなんてと思いました。感動です!

オレは岐阜ですけどね^^
ちなみに何県ですか?




 


861 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 21:05 ID:mfg64uq30
>>81
身元バレが怖いから勘弁w



マスオは自分のデスクに突っ伏していた。
分かりきっていたことではないか。
あの男の性根は腐っている。
人の努力や気持ちなんて、何とも思っていないんだから。
「僕はどうすればいい……サザエ」


ここで切ります。
再開は一時間後くらいです。





 


961 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 21:53 ID:mfg64uq30
再開アンド保守ありがとう


その夜、磯野家はいつものようにみんなで食卓を囲んでいた。
「お兄ちゃん、試合いつだっけ?」
カツオの妹ワカメがエビフライを頬張りながらカツオに聞く。
「今週末だよ」
「絶対に応援に行くわ! ね、おねえちゃん?」
「そうね」
「僕も行きたいですぅ」
どこぞの第三ドールのような口調で喋るのは、マスオの一人息子タラオ、
つまりカツオの甥っ子だ。




971 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 21:55 ID:mfg64uq30
「あら、タラちゃんは前からリカちゃんと約束があったでしょ」
サザエはタラちゃんのスケジュールを完璧に把握しているようだ。
「残念ですぅ」
「かあさん、ワシらも少し顔を出すとするか」
「そうですねえ、おとうさん」
波平とフネは穏やかに会話をしている。
「暑いんだから気をつけなきゃ駄目よ、二人とも」
二人の年齢を考えて、サザエが注意する。
「そう年寄り扱いするな、サザエ。
 ワシらはまだまだ元気だ」




 


991 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 21:59 ID:mfg64uq30
「そういえばカツオ、野球部が校長に睨まれてるみたいじゃない。
 大丈夫なの?花沢さんが言ってたわよ」
花沢さんはまた余計なことをサザエに話したようだ。鬱陶しい。
「大丈夫さ姉さん。一回戦に勝てば廃部は免れるんだ。
 そんなに強い相手じゃないからね、きっと勝つよ」
その時カツオにはマスオの身体がピクッと揺れたように見えた。
しかし、気にとめなかった。
賑やかな中、マスオの口数だけが少なかった。




1001 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:02 ID:mfg64uq30
夕食のあと、久しぶりに雨が降った。
夕立と呼ぶには少し遅いタイミングだ。
マスオの心模様を表すかのように空に星はない。
縁側で空を見上げながら、マスオは物思いにふける。




98以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 21:57 ID:/MlcUgkB0
>>1って前に全力でgdgdになった京極堂?
だったら今回は上手くまとめてくれwktk




1011 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:04 ID:mfg64uq30
>>98
誰それ?たぶん違う


「囲碁でもどうかね」
そう言い出したのは、波平だった。
いい気晴らしになるかもと思ったマスオは申し出を受けた。





1021 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:06 ID:mfg64uq30
「どうした? マスオ君」
「あっ、すいませんお義父さん」
対局の中盤でマスオは次の一手を考え込んでいるうちに、
ほかの事を考えていた。
「心ここに在らず、といったところかな」
波平の心を見透かすような目をマスオは直視できない。





103以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 22:07 ID:mfg64uq30
「お義父さん、ひとつ聞いてもいいですか?」
「何なりと」
「二人の親しい人間がいるんです。もし、もしですよ。そのどちらかに
 必ず辛い思いをさせてしまう選択に迫られた時、お義父さんならどうします?」
波平は視線を碁盤に向けて、口を開かない。
気まずい時間が二人の間に流れる。




1041 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:08 ID:mfg64uq30
「すいません、おかしな事を聞いて。忘れてください」
「男には通さねばならん筋がある」
「えっ」
「ん、ワシ何か言ったかな?」
「い、いいえ」
「今日はここまでじゃな」
腰を上げて部屋に戻ろうとする波平に何か言わなくてはと思いながらも、
言葉が出てこない。結局出てきた言葉は、今一番悩んでいることに関係していた。
「お義父さんもカツオ君の応援に行くんですよね?」
「左様。そのつもりだ」
波平は嬉しそうに笑う。
その笑顔は裏切れない。




1051 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:10 ID:mfg64uq30
高級マンションの一室、海山商事社長はベッドに腰掛けていた。
横には若い女がすやすやと寝ている。
「フフフ、明日は金成の試合か」
とりだしたタバコに火をつける。




1061 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:11 ID:mfg64uq30
「フグ田の奴が断るとは思わんが……。
 念には念をいれておくか」
社長は何か思いついたように電話に手を掛けた。
「ああ、私だ。実は――」
「軽く怪我をさせる程度でいい。分かったな」
電話を切ってタバコを吹かすその顔は、まさに悪魔の形相だった。




1071 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:12 ID:mfg64uq30
波平と碁を打ったあと、夫婦の寝室に戻ったマスオを待ち受けていたのは妻サザエだった。
「マスオさん、最近本当に元気ないわよ?どうかしたの」
ここ数日のマスオの様子にサザエはどうしても我慢できなくなったのだろう。
寝室でタラオを寝かしつけた後、サザエはおずおずとマスオに問い詰めた。
もう隠し通すことはできない。
「……君にだけは話しておくよ。実は……」




 


1091 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:16 ID:mfg64uq30
マスオは事の顛末を包み隠さずサザエに話した。
誰かに話して楽になりたいと思う自分が、何処かにいたのかもしれない。
「そう……ごめんなさいね、気づいてあげられなくて」
「いや、いいんだ。でも僕は結局カツオ君に言い出せなかった。
 友人を救うこともできずに、甥っ子が負けるのを願っていた情けない男だよ」
 しかし、一回戦で負けたら廃部というのは本当なのか?」
「そうみたいね」
どっちに転んでもどちらかに傷を残す。
マスオは考えるのが辛くなっていた。
「マスオさん、自分を卑下しないで」
力なく微笑んだマスオは、そのまま布団に横たわる。




 


108以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 22:15 ID:/MlcUgkB0
あ、スマン。肩をなでおろした人か。




1111 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:17 ID:mfg64uq30
>>108
半年前なのによく覚えてるね


目を瞑る。早く眠りたかった。
「電気、消すわね?」
サザエの声が小さく聞こえた。
明日はついにカツオ君の試合か……。
それが眠る前にマスオが最後に考えた事だった。
「あら、ちゃんと閉めたはずなのに」
サザエが僅かに開いていた扉を閉める。
人々の様々な思惑を孕みながら、夜は更けていった。






1121 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:19 ID:mfg64uq30
一回戦当日、カツオはいつもよりも早く目が覚めた。
一晩寝れば昨日の夜に聞いてしまったことを忘れられるかと思ったが、無駄だった。
昔ほど単純ではなくなってしまったようだ。
マスオの様子がおかしかったのには、カツオも気づいていた。
しかし、まさかこんな話だったとは思いもよらなかった。
「さて、どーするかな……」




1131 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:22 ID:mfg64uq30
試合へ向かう道中、カツオは物思いにふける。
もちろんマスオが昨夜話していたことについてだ。
成金野郎の妙な態度は気になっていたが、まさかこんな裏があるとは。
昨日、話を聞くんじゃなかった。
聞かなければ、カツオはこんなに思い悩むことも無かっただろう。





1141 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:24 ID:mfg64uq30
今、自分に接近してくるものにカツオは気がついていなかった。
昨日の記憶がカツオの注意力を奪った。
顔を上げたときには、黒い乗用車が目の前に迫っていた。
避けられない――。




1151 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:27 ID:mfg64uq30
球場はすでに多くの人で溢れかえっている。
一回戦にしては観客が多い。
今日が休日であることも原因のひとつだ。
宇二高の応援席には、所謂上流階級の人々が座っていた。
部員の父兄たちだろう。
そこには社長の姿も見られた。




1161 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:29 ID:mfg64uq30
マスオはサザエ、ワカメとともに三塁側の観客席に腰を下ろしていた。
もちろん岩志高校側の応援席である。
「闘魂!中島博」という大きな旗をもっている老人が一人異彩を放っていた。
自分が見届けないわけにはいかないと言う気持ちがマスオにはあった。
「お兄ちゃん、先発よね?楽しみー」
何もワカメの口調は明るい。
「そうね……」
真実を知ってしまったサザエの声は暗い。
炎天下での長い間の観戦は身体に毒なので、波平とフネは後から来ることになっていた。






 


1211 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:33 ID:mfg64uq30
「磯野くん、遅いわね」
花沢さんは心配した様子で落ち着きなく歩きまわる。
なにせエースで先発予定のカツオがまだ来ていないのだから。
「白須!一応肩作っとけ!」
監督の声だ。
「は、はい」
二年生ピッチャーの白須はまさか自分が投げるとは思っていない。
試合開始まであと五分と迫り、岩志高ベンチはそわそわしていた。
「事故にでも遭ったのかしら……」




1221 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:35 ID:mfg64uq30
「縁起でもないこと言うなよ」
そう言って、現れたのは息を切らしたカツオだった。
「磯野君!」
「磯野!」
「悪い、遅れた」
「何してたんだよ!」
そう言っている中島もホッとした様子は隠せないようだ。




 


1251 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:38 ID:mfg64uq30
「ヒーローは遅れてやって来るもんだろ?」
「まったく何言ってんだ。もう試合始まっちゃうぞ! ほら、行かな……」
中島の言葉が止まった。
岩志高のユニフォームは白と黒を基調としている。
ソックスは黒いものを使用することを部で決めていた。
よく見ないと分からないが、カツオの黒いソックスからは血がにじみ出ていた。
「磯野! お前……!」
「中島、お前は今何も見なかった。いいな?」
カツオは中島を無理やり引っ張って、整列に向かった。




 


1271 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:42 ID:mfg64uq30
空模様の暗い中、試合は始まった。
先攻は宇二高のようだ。
応援席で息を呑むマスオたち。
マスオはこの試合がどのような結末を迎えるか、考えるのが怖かった。








 


1291 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:45 ID:mfg64uq30
マスオの思いをくみとるように、三回を終わっても試合は動かなかった。
毎回ランナーを出すものの、なんとか失点はしていないカツオ。
宇二高ピッチャーにタイミングが合わず、ヒットわずか一本の岩志打線。
宇二高のピッチャーはフォームが変則的で、真黒、中島でも苦労していた。
引き分けだったらどうなるんだろう。くマスオはくだらないことを考えてすぐにそれを打ち消す。
問題が先延ばしになるだけだ。




1301 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:46 ID:mfg64uq30
四回の表、マウンドに向かう途中でカツオは海山とすれ違った。
「もっと速い球投げてみろよ」
カツオ以外には聞こえないように小さな声で、しかし勝ち誇ったようにささやく。
カツオは海山を睨むが、何も言い返さない。
「投げれるもんならな」
愉快な様子で笑ってベンチに戻る海山を見て、カツオは地面を蹴った。




131以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/06 22:49 ID:mfg64uq30
「もしかしたらカツオ、昨日の話聞いていたんじゃないかしら?」
呟いたのはサザエ。
サザエの言うことは確かに的を射ていた。
誰の目から見てもカツオは全力で投げていないように見えたからだ。
もはや、選択権は自分にない。
マスオは図らずもカツオに重大な選択を任せたしまったのだから。





1321 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:51 ID:mfg64uq30
雨が降り出したのは、五回が終わった直後だった。
ここまでよく持ったといえるだろう。
ポツポツと降り出したかと思えば、
五分も経たないうちに雨足は強くなり、試合は0-0のまま一時中断となる。





1331 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:53 ID:mfg64uq30
カツオはトイレで手を洗っていた。
「足を見せろ」
後ろから声がする。
「中島か」
ゆっくりと振り向いたカツオは中島の顔を見る。
中島の目は本気だった。





1341 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:56 ID:mfg64uq30
「平気だよ」
カツオはまともに取り合おうとしない。
「こんなに血が出て平気なはずが無いだろ!」
無理やりカツオのスパイクを脱がせようとする中島。
力は中島のほうか強い。
「自分で脱ぐよ」
隠し通せなかった。
カツオは観念した。
血だらけのソックスを脱いで、足を中島に見せる。
傷はない。
中島の顔には疑問符が浮かんでいる。
「僕の血じゃないんだ」




 


1361 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 22:58 ID:mfg64uq30
避けられない――。
車がカツオに衝突する瞬間に、誰かがカツオを庇った。
アナゴだった。
衝撃で地面に叩きつけられるアナゴ。
お陰でカツオには怪我一つない。
カツオは急いでアナゴに駆け寄る。




 


1401 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 23:01 ID:mfg64uq30
「カ、カツオ君、フグ田君から話は聞いていると思う。
 僕はどうかしていたんだ、すまない……!」
アナゴさんの息は荒い。
「アナゴさん、腕から血が……」
「君は全力でプレイしてくれ!
 何にも気兼ねする必要なんてないんだ。
 いつの時代も、子供ってのはそういうもんだろ?」
カツオはアナゴの傷の具合を心配したが、アナゴは辛そうな顔を見せない。
見るからにやせ我慢だ。
「なあに、カスリ傷さ。これから病院にいく。
 治療が終わったら、君の応援に行くよ。さあ行くんだ!」




 


1451 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 23:04 ID:mfg64uq30
「――というわけだ」
事故のことを話すときに、マスオと社長の一件を語らないわけにはいかなかった。
中島は言葉が出ない。
「だからお前には言いたくなかったんだ。
 そうやって、すぐに人の事を考える」





 


1471 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 23:07 ID:mfg64uq30
「そういうことだったのね」
カツオと中島は慌てて振り向く。
そこには花沢さんが立っていた。
「花沢さん、ここ男子トイレだよ!」
そういう問題でもない気がするが、中島は大きな声を出す。
彼女なりにカツオの異変を感じていたのだろう。
花沢さんが心配そうに二人を見つめる。
「雨が上がったわ」





1481 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 23:09 ID:mfg64uq30
グラウンドに戻る途中、カツオは中島に尋ねた。
「なあ中島」
「うん?」
「お前は、どっちが正解だと思う?」
その後、二人は一言も言葉を交わすこともなく自らのポジションについた。





 


1521 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 23:13 ID:mfg64uq30
試合は再開した。グラウンドは雨のせいでぬかるんでいる。
カツオはマウンド上で唇をかみ締める。
今はまだいい。試合が終わったとき、自分はどんな顔をしているだろう。
思いを振り払うように、モーションに入る。




 


1551 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 23:16 ID:mfg64uq30
七回の裏、岩志に待望の先取点をもたらしたのはレフトスタンドに飛び込む、
真黒のソロホームランだった。まるで試合に勝ったかのように沸く岩志高ベンチ。
それでもカツオと中島の顔は暗かった。
このままカツオが抑え続ければ、岩志が勝つ。
廃部は撤回されて、そして――。
カツオはどちらかしか選べない。
雨はまた、霧のように降り始めた。




1561 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 23:19 ID:mfg64uq30
波平とフネはなぜか宇二高側の応援席に来ていた。
「隣、よろしいですかな」
五十台前後の男の横に立つ波平。後ろで見守るフネ。
「え、ええ……」
二人はゆっくりと腰をおろす。
「いやー、息子が選手として出てるものですから。
 おや、もしかして御宅もですか?」
「ええ、そうなんです。宇潮第二の四番でして」
波平の眉がピクリと吊り上る。






 


1601 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 23:24 ID:mfg64uq30
―現場にいた宇潮第二高校野球部一年・比児木(某格闘漫画好き)は次のように語る―

「ええ、鼓膜が破れるかと思いましたよ。
 距離?数十メートルはあったんじゃないですか?
 いきなり「バカモン!!」って。大統領命令ですよ、まるで。
 そうです、一本だけ髪の毛が。球場が一瞬止まりましたね」




 


1641 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 23:29 ID:mfg64uq30
父さんの声がした、気がした。
こんなところまで声が届くわけがないか。
父さんにすがるくらいに僕は追い詰められているのかなあ…。
不安定な精神状態、不安定なピッチング。カツオはボロボロだった。
八回の表、カツオは満塁のピンチを迎えながらもそれを切り抜ける。
八回最後の一球は、波平の声に押されたかのような球速を見せた。





 


1701 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 23:34 ID:mfg64uq30
マスオは祈るような気持ちで試合を見ていた。
サザエは隣で涙ぐんでいる。
あんなにボロボロになって闘うカツオを、マスオは初めてみた。
申し訳ない想いで胸がいっぱいだった。
マスオはみんなを守りたかったのだ。

試合は宇二高最後の攻撃、九回の表を迎えていた。




1711 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 23:37 ID:mfg64uq30
「タイム!」
中島がマウンドに駆け寄る。
それほどまでにカツオの状態は酷いものだった。
「磯野……」
「どうすればいいか分からないんだ、中島。
 アナゴさんはああ言ってくれたけど、本当にそれでいいのか?」
カツオの声は震えていた。今にも泣き出しそうだ。





 


1731 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 23:40 ID:mfg64uq30
「負けたら、僕達は野球が出来なくなる」
「……分かってる!」
カツオは決心がつかなかった。
どちらを選ぶのが正しいのか。
そして迷いを抱えたまま、九回ツーアウト。最後のバッターを迎えてしまった。
奇しくもバッターは四番海山だ。
「僕の一球で全部決まるんだ。そう思うと、怖いんだよ」
中島はカツオにかける言葉がみつからないようだった。

そのとき静寂を破って、声が轟いた。
「ぶるあああああああああああああああああああああああ!!」




 


1781 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 23:46 ID:mfg64uq30
「カツオくーん!あと一人だぞー!」
球場に響いたその声の主はアナゴだった。
包帯でぐるぐる巻きになった腕が痛々しい。
観客席でマスオはあっけに取られている。
「アナゴ君……」
「フグ田君、悪かったな。
 でも、こんなことをしなくちゃ守れないなんて僕は嫌だ!
 本当に大切なものは、正々堂々と守って見せるさ」
厚い口唇の隙間から歯を見せて、アナゴは笑った。
 




 


1821 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 23:49 ID:mfg64uq30
「あと一人!」
「あと一人!」
「あと一人!」
波平、フネ、マスオ、サザエ、ワカメ、アナゴ、その他にも大勢。
カツオを応援する声が聞こえた。
カツオの脳裏に小学生のころに聞いた波平の言葉がよみがえる。




 


1851 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 23:51 ID:mfg64uq30
「カツオ。何かに迷った時は、全力で目の前のことに取り組んでみなさい。 
 さすれば、道は自ずと開けよう」





 


1891 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/06 23:55 ID:mfg64uq30
腹は決まった。カウントは2-2。
目には先程までにない、光が宿っている。
カツオはこれが最後の一球だと確信していた。
ただ目の前のことに全力を――。
この試合、はじめて投げる全身全霊を込めたストレート。
中島のミットへ放った。




 


1911 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/07 00:00 ID:s4cqNsTt0
試合後、球場の外でカツオはマスオと向き合った。
いまでは痛いほど分かる、苦労でやつれたマスオの顔。
「マスオ義兄さん……ごめんなさい」
「カツオ君が謝ることじゃないさ、
 僕がはっきりしなかったからさ。本当にすまなかった」
「でも、これでマスオ義兄さんとアナゴさんは……」
その時、二人の前に社長が現れる。波平に怒鳴られて相当参っているように見える。
「フ、フグ田!ただで済むとおもうなよ、貴様もアナゴもこの業界では二度と職に就けんように
 してやる。わ、私の権力を甘く見るなよ」




 


1931 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/07 00:04 ID:s4cqNsTt0
「あら、磯野くん、お疲れ様」
緊迫した場面に現れたのは花沢さんだった。
場の空気が一転する。
「このオジサンだれなの?」
仕方なくカツオが説明する。
「さっきの話聞いてたんだろ。これが例の社長だよ!」
「どこかで見たことあるわね……」
考え込む花沢さん。
「私はお前のような小娘に会った覚えは無い!」




 


1971 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/07 00:07 ID:s4cqNsTt0
「思い出した!ほらこの間父ちゃんの店でマンションが売れたって言ったでしょ。
 買って行ったのこのオジサンなの。しかも若い女の人と一緒に。
 どう見ても、奥さんじゃなかったわ。
 へえ、このオジサンが磯野くんがさっき言ってた会社の社長なんだあ」
花沢さんは意味ありげにニヤリと笑う。
「君、それは……!」
社長は花沢さんの発言で急に焦りだしたように見えた。
嘘がつけない、というよりも思っていることが顔に出やすいらしい。
「それでオジ様、私口が軽いってみんなに評判なんです。
 言いたいこと、分かりますよね?」





 


2041 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/07 00:09 ID:s4cqNsTt0
「ぐぬぬぬぬぬ……!」
社長は顔を真っ赤にして去っていった。
海山は十五歳の女の子に言い負かされた父親に泣きついている。
「アハハハ、傑作ね!」
花沢さんはからからと笑い声を上げる。
突然のことでマスオさんは状況が飲みこめていない。
カツオはパクパクと口を開いた。
「は花沢さん、君って結構いい女かもね」
「あら、やっと気づいたの?磯野君」





 


2061 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/07 00:11 ID:s4cqNsTt0
「おーい磯野、野球しようぜ!!」
玄関の扉がガラガラと開く。
今日も野球部の練習は休みだったが、中島はカツオの家に来た。
もちろん練習をするためだ。
休日はゆっくり寝ていたいというカツオのリクエストが通ったので、
時計の針は現在四時を指している。




2071 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/07 00:12 ID:s4cqNsTt0
「今日は僕も付き合っていいかな、カツオ君」
靴をはくカツオの後ろから声がする。
声の主はマスオだった。驚いたカツオは思っていたことをそのまま口にする。
「マスオ義兄さんって野球できるの?」
「こう見えても昔ちょっとやってたんだよ。
 肘を痛めたから、やめちゃったけどね」
そう言って靴を履くマスオの横顔は、どこか寂しげだった。





 


2091 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/07 00:14 ID:s4cqNsTt0
「準決勝で負けるとはな」
カツオはまだ悔しそうだ。
「仕方ないよ。でも校長、すごい喜んでたらしいよ」
「そりゃ、一回戦敗退から一気にベスト4だからな。
 あーあ、僕が最後に打ってたらなあ……。
 バッティングの練習もしたほうがいいな」
準決勝最後のバッターはカツオだった。
一点リードされて迎えた最終回ツーアウト二塁三塁、カツオは見事に三振した。
「はははは、磯野にしちゃ殊勝な言葉じゃないか」
なぜか中島は馬鹿受けしている。
そんな二人をマスオは微笑んで見ている。




2101 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/07 00:15 ID:s4cqNsTt0
空き地には先客がいた。
見たところ小学校低学年だろうか。
細身でいかにも体力がなさそうだが、
その顔にはどこか力強さを感じさせるものがあった。





 


2121 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/07 00:17 ID:s4cqNsTt0
その少年と向かい合っているのはアナゴだった。
二人の距離は五メートル。キャッチボールをする距離としては少し短い。
それでも、親子がしているのは、確かに”キャッチボール”だった。
マスオたちに気がついたのか、アナゴはボールを投げ返すのをやめた。





 


2161 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/07 00:18 ID:s4cqNsTt0
アナゴの息子もマスオたちに気がついて、首を傾げる。
「パパ、どうしたの?あの人たち誰?」
「あの人たちは、パパのヒーローさ」
「ひーろー?」




 


2181 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/07 00:20 ID:s4cqNsTt0
息子はさらに首を傾げる。
「そのうちわかるさ」
そう言って、アナゴは小さな頭を撫でる。
アナゴはマスオたちの方を向いて、大きな声を出す。
「おーいフグ田くーん、この後一杯どうだい!」
マスオの口が綻ぶ。
「いいね」 
 
        「おーい磯野、野球しようぜ!!」      完





219以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/07 00:22 ID:Daolvw/N0





 


221以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[karaage]:08/07/07 00:22 ID:NbTQMH9z0
乙したー




222以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:08/07/07 00:23 ID:t8hIHuOqO
いちおつ!




2361 ◆8jF6DdCTlE []:08/07/07 00:28 ID:s4cqNsTt0
読んでくれたみなさんありがとうございます
投下速度遅くてごめんね
半年も前の話を覚えてくれている人がいてビックリしました
またどこかでお会いしましょう
では


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[ 2008/07/07 00:00 ] サザエさん | TB(0) | CM(0)
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