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ジャンヌ速報 ξ゚⊿゚)ξは秘密なようです

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ξ゚⊿゚)ξは秘密なようです 

ξ゚⊿゚)ξは秘密なようです


1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 19:51 ID:aCCrZRnY0

元ネタあり、というかパロディです
原作の設定の一部のみ拝借


元ネタが分かっても「シー!」でお願いします






ξ゚⊿゚)ξは秘密なようです


5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 19:53 ID:aCCrZRnY0



受話器越しに、内藤は力のない返事をした。


「……はい、分かりましたお」


通話が終わり掴んでいた受話器を置くと、
内藤は放心状態に陥って、自分しかいない部屋の片隅で立ち尽くした。

使い古された木製のラックの上に乗せられた液晶テレビには、
壮年期の活気溢れる男性キャスターと、若い女性アナウンサーが映っている。
今日あった出来事を淡々と、時に感情的になりながら述べていた。

期待されていた辣腕政治家の汚職の発覚。
先日起きた猟奇殺人事件の真相究明。
人気タレントのスキャンダル。
白熱するプロ野球のペナントレースの行方。
明日の天気。

そんなつまらないニュースなど、今の内藤の耳には届かなかった。
内藤はただぼうっと、鳴らない電話機を眺めていた。





 


7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 19:55 ID:aCCrZRnY0
時計の針は午後十一時を指していた。
内藤が電話に出たのは午後十時を少し過ぎた頃だ。
そして、それを切ったのはその約二十分後。
という事は、内藤は三十分以上もの間そうして立ち続けていた事になる。

どうして、そこまで深いショックを受けていたのか。
何故ならば、伝えられた話が彼にとってあまりにも残酷な内容だったからだ。
内藤にとって最も大切なモノが、たった今失われたのだ。

遅くまで仕事があったため、彼はその最期を看取る事が出来なかった。
帰宅してテレビをつけると同時に電話が鳴り、
そこで、内藤は担当医の荒巻から無情で受け入れ難い事実を聞かされたのだ。


( ;ω;)「…………!」


長い呆然の後、内藤はその場に泣き崩れた。
嗚咽が震える唇から漏れ、涙の雫がくすんだフローリングの床を濡らした。


先程知らされた、恋人であるツンの死を、彼は一人静かに嘆いた。





8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 19:57 ID:aCCrZRnY0



       『ξ゚⊿゚)ξは秘密なようです』







9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 19:59 ID:aCCrZRnY0




遡る事二週間前。
桜が開花したばかりの、麗らかな初春の日の事だった。

内藤はその日、ようやく取れた有給休暇を利用して、
隣県まで山々に咲き誇る桜を鑑賞しに行くバスツアーに参加していた。

その際、内藤は二人の知人を誘った。
一人はツン。
そしてもう一人は、二人の高校時代からの友人であるドクオだった。

三人は同じ企業に勤務していた。

卒業後、同級生たちは進学やら上京やらで生まれ育った地を離れていった。
そんな中で、彼らは地元の製鉄会社に就職したのだ。

元来、内藤らの暮らす街は長らく鉄鉱の採掘が盛んであり、
採取された鉱石を精錬する工場が海沿いの土地にいくつも立ち並んでいる。
そのうちの一つ、新興の会社を選んで三人は面接を受けた。

結果は全員合格。
合格通達が届いた時、彼らは顔を突き合わせて嬉笑し合った。





10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:01 ID:aCCrZRnY0
内藤とドクオは工場で、ツンはOLとしてオフィスで働いていた。

当初、ツンは自分だけが別の場所で働く事に文句を言っていた。
とは言え、それは仕様がない事。
男二人はツンの子供じみた我が儘に苦笑しながら、
機嫌を損ねないよう、細心の注意を払って説得したのだった。


仕事は順調で、今年の春で勤続五年目に入るところだった。

内藤とドクオは機械の扱いもかなり上達し、
最初はぶっきらぼうだったツンの電話応対も、柔和で丁寧なものに変わった。
もちろん、給料の額も。

しかし、その代償として三人で過ごす時間は失われていった。

内藤はその事を残念に思っていた。
「いつかまた、あの頃のようにふざけ合いたい」と願っていた。
そこで、久方ぶりに学生時代の気分に戻って楽しもうと内藤は計画したのだ。

後日内藤がツンとドクオに持ち掛けたところ、二人は喜んで彼の提案に賛同した。
そして揃って有給休暇を取り、期待に胸を弾ませながら旅行当日を迎えたのだった。





11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:03 ID:aCCrZRnY0
その日は気温は低かったが、胸のすくような快晴だった。
春とは言え、まだ肌寒い時期。
そんな繊細な気候の中で、太陽だけが地上の人々を暖めてくれていた。


('A`)「……ねぇ、何で俺補助席なの? ねぇ」

揺れるバスの中でドクオは尋ねた。
聞いて、ツンが自ら持ち込んだクッキーをかじりながら答える。

ξ゚⊿゚)ξ「あら、そんなに嫌なら誰か知らない人の隣に座る?」

('A`)「……お断りします」

ξ゚ー゚)ξ「そうよねー。ドクオ、人見知りしちゃうもんねー」

(#'A`)「ビキビキ」

ツンの失礼な言葉にドクオは腹を立てた。
彼は自分の性格を馬鹿にされる事が、何よりも大嫌いだった。
それがコンプレックスになっていたからだ。





12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:05 ID:aCCrZRnY0
(;^ω^)「すまんお、ツンがどうしても景色が見たいって言うから……」

内藤は二人の間に挟まれていた。
窓際にツン。補助席にドクオ。
一応恋人である手前、内藤はツンの隣である通路側の席に座らざるを得なかった。
ただ、それは彼自身も望んでいた事ではあったが。

('A`)「いいですよーだ。どうせ俺はビビリの小心者ですよ。
   ……こんなんだから、この年になっても彼女が出来ねぇんだよな。ちくしょー!」

ドクオが愚痴を零した。
これまでに、彼に恋人がいた事はない。

その原因の大部分を占めていたのは彼の性格のせいだった。

顔は決して良くはないが、悪くもない。
身長も内藤より少し低い程度で、細身の体にしても今時の女性には受けがいいかも知れない。

けれども、ドクオは異性に対して奥手過ぎた。
それは異性にだけではなく、同性に対しても、である。
彼は知っている人間以外には心を許さない。
何故なら、傷つく事を極度に恐れてしまっているからだ。

そんな消極性が、ドクオの春の到来を妨げていた。





13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:08 ID:aCCrZRnY0
バスは一時も止まる事無く、長閑な山道を走り続けていた。


ξ゚⊿゚)ξ「ほら! あれ見てみてよ!」


ツンが窓の向こうを指差した。
そこに広がっていた景色は、満開の桜の木々だった。

淡く、どこまでも白に近いピンク色の花びら。
春の日差しを浴びて、さわさわと揺らめきながらパステルカラーの世界を作り上げている。
内藤含め、三人はその美しく穏やかな風景に溜飲を下げた。

( ^ω^)「うほっ、これはまた見事な桜だお」

('A`)「出来る事なら、彼女と来たかったな……」

(;^ω^)「まだ言ってるのかお」

('A`)「内藤はいいじゃねぇか、可愛い彼女のツンと一緒に来てるんだからよー」

むくれながら、ドクオが暗いトーンで言った。
ふぅ、と浅い溜息を吐く。





14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:10 ID:aCCrZRnY0
( ^ω^)「まあ、否定はしないお。僕は今凄く幸せだお」

臆面もなく内藤は言い切った。

内藤とツンが交際し始めたのは今から七年ほど前になる。
当時学生であった二人は、仲は良かったものの、中々恋愛には発展しなかった。
幼い頃からの付き合いだったため、互いの素直な感情には気が付いていなかったからだ。

先に恋心に気付いたのは内藤の方だった。
ある日、勇気を出して内藤はツンに一世一代の告白をした。
それをツンは笑って了承した。
長い間同じ時間を共有してきて、知らず知らずのうちにツンも彼に惹かれていた。
内藤に言われてから、ツンは初めてその気持ちに気付いたのだ。

それからの内藤の学園生活は、一言で言えば「薔薇色」だった。
そして今、その頃のような幸福を内藤は感じていた。

社会人になってからは、ツンと過ごす時間は随分と減ってしまっている。
だから、彼は数年ぶりに率直に自分の気持ちを述べた。
その言葉を聞いて、ツンは照れて頬をほんのりと赤らめた。

ξ*゚⊿゚)ξ「ちょっと、何言ってるのよーw」

(;^ω^)「いてぇwwwwwそんなに強く叩かないでほしいおwwwwwww」

('A`)「……ウツダシノウ」





15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:12 ID:aCCrZRnY0
ξ゚ー゚)ξ「……それにしても、やっぱりブーンって変わらないわね」

ツンが笑みを浮かべて呟く。
ブーンというのは内藤の幼少の頃のあだ名だ。
その名前で内藤の事を呼ぶのは、今では誰よりも付き合いの長いツンぐらいだ。

( ^ω^)「おっ? そうかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「そうよ。今だって、首筋を掻いてるじゃない」

( ^ω^)「あー……確かにそうだおね」

内藤は指摘されてから気が付いた。
無意識のうちに首筋を掻いてしまうのは、昔からの彼の癖だった。
幼馴染だけあって、ツンはそうした内藤の細かい仕草を見抜くのには長けていた。


('A`)「んがー、アツアツでいいですな、全く」


惚気る二人を見てやさぐれながらも、ドクオもまたこの小旅行を満喫していた。
それは高校時代からもそうだった。
内藤とツンに羨望の眼差しを向ける事はあれど、嫉妬は一度たりともした事はない。
むしろ、微笑ましいとさえ思っていたぐらいだ。





16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:15 ID:aCCrZRnY0
春色の景色。
心地良いバスの震動。
聴こえてくる、他の乗客の笑い声。

彼らは心から楽しんでいた。
大人になってから、こうして全員で遊びに行く事はこれが初めてだった。
学生時代以来となる、三人揃っての遠出。
それは内藤たちにとって、掛替えのない思い出になる筈だった。


少なくとも、この時までは。


不意に、ガタン、という妙な音が車内に響いた。


( ^ω^)「あれ、今のは――――」


気付いた時にはもう遅かった。

それはタイヤが脱輪した事を報せる音だった。





17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:17 ID:aCCrZRnY0
車輪の一つを失ったバスはバランスを崩し、激しく揺れ動いた。
路線を蛇行し、ぐらぐらと左右に振られながら走行し続ける。
運転手は懸命に車体を止めようとするが、上手くブレーキを効かせられない。


(;^ω^)「お、おおおおおおおおおおおおおおっ!?」

(;'A`)「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ξ;>⊿<)ξ「キャ――――――――――!!」


車内に阿鼻叫喚の声が響いた。
そして同時に、乗客は「もう助からない」と悟った。

この恐怖の瞬間は、彼らには何時間もの長さに感じられただろう。


不運な事に、それは現実になってしまった。

脱輪してから二百メートルほど進んだところで、
バスは速度を保ったままに横転し、その勢いで十数メートル下の山麓へと転がり落ちた。





18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:21 ID:aCCrZRnY0



バスの転落事故はその日のニュースで一番に伝えられた。
被害は甚大。
死者数は優に二桁に上り、生還者にしてもその殆どの人が重傷を負っていたと言う。

幸運な事に、内藤は助かった。
その上、奇跡的にも怪我は全身の打撲程度の軽傷で済んでいた。

後で内藤が医師や救助隊から聞かされた話によると、
ツンとドクオに挟まれていた事により、様々な衝撃から身を守られていたらしい。

皮肉な事に、内藤はやむを得ず二人の間に座っていたおかげで助かったのだ。
内藤はその事実を知った時、運命のいたずらに涙した。

残る二人は命こそあるが重体で、かろうじて生きているという深刻な状態だった。
ツンは窓側にいたために、割れたガラスの破片が突き刺さった事による失血が甚だしかった。
そのショックで意識不明になっていたのだ。

一方ドクオは外傷こそさほどではなかったものの、
頭を強く打っており、脳細胞の損傷が激しく植物状態に陥っていた。





 


20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:23 ID:aCCrZRnY0
内藤はすぐに退院できた。
次の日からは職場にも復帰した。
上司からは「休んでもいい」と言われたが、根が真面目な内藤はその気遣いを断った。

仕事を終えると、彼は毎日のように病院へとツンとドクオの見舞いに行った。
こちらから語り掛けても、意識のない二人は返事をする事はなかった。
それでも内藤は語り続けた。

けれど、内藤は荒巻から「二人が助かる見込みは殆どない」と聞かされていた。
荒巻はベテランの医師だった。
何度もこうした事例を見てきたためか、そうした判断は的確で信憑性があった。
残酷だった。

内藤はその話を聞いてからも希望は捨てなかった。
何も言わない二人の寝顔を見つめながら励まし続けた。
ツンの顔は包帯でくるまれていて、彼にその表情を読み取る事は出来なかった。

ツンの様態は芳しくなかった。日に日に心拍数が低下していった。
「もう助からない」と荒巻は内藤に告げた。
その話を聞かされて、内藤は号泣しながら荒巻に詰め寄った。
それが無駄だと悟ると、内藤は力無く床に崩れ落ちたのだった。

そして結局、ツンが目を覚ます事はなかった。





21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:26 ID:aCCrZRnY0
彼女の通夜はしめやかに行われた。
内藤は親族に混じって出席した。
彼はそこにいた誰よりも多くの涙粒を流していた。
愛する人を失って悲しまない人間など、この世には存在しない。


( ´ω`)(せめて、ドクオだけでも助かってほしいお)


ツンが亡くなってからも内藤は病室に通い続けた。
荒巻曰く、ドクオにはツンに比べればまだ回復の見込みがあるらしい。
肉体は無事であるため、意識が戻りさえすれば生還するだろうと。
ただ、その可能性は限りなくゼロに近かった。

( ^ω^)「ドクオ、頑張るお」

旧友の手を握り、その瞼が開かれる事を願った。
「もうこれ以上大切な人を失いたくない」、内藤はそう祈っていた。


しかし、ドクオの容態には何の変化も訪れなかった。
恋人まで失い、更に友人まで失ってしまう事になろうものなら、
果たして内藤は正気でいられただろうか。





22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:28 ID:aCCrZRnY0



事故から一ヶ月と数日。
ツンが息を引き取ってから三週間あまり。

昼間の休憩時間に、携帯電話に掛かってきた荒巻からの連絡を聞いて、
内藤は作業服のまま製鉄工場から急いで病院に駆けつけた。


ドクオの意識が戻ったのだ。


(;^ω^)「開けてくださいお!」

階段を駆け上がり、汗を拭いながらドクオが入院している病室のドアを思い切り叩いた。
ドンドンとやかましい音が響く。
廊下を歩いていた看護師に内藤は口うるさく注意された。

それでも内藤は止めなかった。
彼はこの時、高鳴る鼓動を抑えられなかった。





23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:30 ID:aCCrZRnY0
物々しくドアが開かれた。

/ ,' 3「おお、お出でになりましたか」

白髪頭に、年季の入った皺が刻まれた顔。
着馴らした白衣。
そこに立っていたのは荒巻だった。傍らには内藤の知らない看護師が二人いた。

(;^ω^)「本当に、本当にドクオが目を覚ましたんですかお!?」

/ ,' 3「内藤さん、落ち着いて。ドクオさんが助かったのは事実ですよ」

( ^ω^)「ああ、良かったですお……」

内藤はほっと胸を撫で下ろして安堵した。

( ^ω^)「早く会わせてくださいお!」

/ ,' 3「構いませんが、しかしですね……」

荒巻が口を噤む。
何かを言いたげにしていた。

/ ,' 3「実は、一つばかり問題点がございまして……」





 


26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:33 ID:aCCrZRnY0
(;^ω^)「もしかして、後遺症とか……」

/ ,' 3「いえ、そういったものではないのですが……むしろ、体の方はすこぶる元気でして」

( ^ω^)「でしたら、何の問題もありませんお! 早くドクオの顔を見させてほしいですお!」

内藤が強引に言い寄り、荒巻は観念したかのように渋々答えた。

/ ,' 3「そうですか。それなら……どうぞこちらに。
   ただし、決して驚かないでください。何があっても」

そう言って、荒巻は内藤を病室内に招き入れた。
部屋の隅に置かれたベッドを見る。
そこには、体を起こして花瓶に活けてある鈴蘭を眺めているドクオの姿があった。
その花は内藤が贈ったものだった。


( ^ω^)「ドクオ……」


内藤は胸が一杯になった。嬉し涙が零れそうになった。
ドクオは内藤の存在に気付き、向き変わって彼の顔に視線を移した。
もうこの時点で、内藤は半分泣きかけていた。

そして、ドクオが口を開いた。





 


29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:35 ID:aCCrZRnY0



('A`)「ブーン、私よ、私。ツンなのよ」



(  ω )  ゚ ゚ 「」







30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:36 ID:aCCrZRnY0

※チラ裏


こんなパロディネタでオチじゃないよ!



↓以下、完全に創作






31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:38 ID:aCCrZRnY0
( ^ω^)「ちょwwwwおまwwwwwwこんな時に冗談はやめるおwwwwww」

('A`)「冗談じゃないわ、本当よ」

( ^ω^)「……へっ?」

その口調があまりに真剣だったので、内藤は唖然とした。

( ^ω^)「そう言えば……確かに発音の仕方がドクオとはちょっと違うお……」

内藤は錯乱した。
ドクオの口から発せられる言葉のイントネーションが、明らかにツンのものであったからだ。


(;^ω^)「じゃ、じゃあ、僕たちが初めて行ったデートの場所は分かるかお?」

('A`)「覚えてる……一緒に映画を観に行ったわ。
   次に公園に行ったっけ。噴水が凄く綺麗だったな……。
   その後、ファミレスで夕ごはんを食べて……ハンバーグセットだったかしら?」

それは正しい解答だった。
言いながら、ドクオが顎に親指と人差し指を当てて考え込む。
内藤はその仕草にはっとした。それはツンの癖だった。
彼もまた、他人が知らないツンの些細な癖を見抜いていた。





 


34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:40 ID:aCCrZRnY0
(;^ω^)「えー……でも、そんな事が……あうあう……」

内藤の頭は軽く混乱した。
姿形はどう見てもドクオであるのに、振る舞いや喋り方はまさしくツンそのものだった。


/ ,' 3「内藤さん」


頭を抱える内藤の背後から、荒巻がすっと顔を出した。

/ ,' 3「原因は分かりませんが……どうやらツンさんの意識が彼の中に入っているみたいです」

(;^ω^)「じゃあ……ツンがドクオの中で生きているという事ですかお?」

/ ,' 3「そういう事になりますな。こんな事例は私共でも初めての事です。
   一応、ドクオさんのご家族の方には一時的な記憶喪失だと伝えておりますが……」

内藤は納得しないながらも、理解はした。
これだけ証拠が出揃っているのだから、信じざるを得ない。

つまり、目の前にいるのは、ドクオではなくツンなのだ。

内藤は再びドクオに――――いや、ツンに目を戻した。
その目、仕草。紛れも無くツンである。
「これからどうなるのだろう」と、内藤は二人の行く末を案じた。





35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:44 ID:aCCrZRnY0



ツンの退院後、内藤は彼女を自宅に招いた。
内藤は職場近くにあるマンションに住んでいる。
各交通機関からは離れているが、広さや間取りの割には家賃も安く、
築年数もそれほど経っていないため、この物件を見つけた時内藤は心底喜んだ。
その様子はツンもよく覚えていた。

( ´ω`)「…………」

机を挟んで、二人は向かい合っていた。
内藤は従容とした顔をして、ドクオの姿をしたツンを霞を見るような目で見ていた。
どこか疲れているような、そんな雰囲気だとツンは思った。

ツンは自分の境遇を悲観したりはしなかった。
逆に、ドクオに対して申し訳ない気持ちを抱いていた。
本来なら自分が死んでいた筈だったのに、
その代わりにドクオの命を追いだして生きている事に、罪悪感を感じていたのだ。


( ´ω`)「……ツン、話があるお」





 


37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:46 ID:aCCrZRnY0
('A`)「何、かしら」

ツンが内藤に淹れてもらったコーヒーを啜りながら聞き返す。

部屋にはコーヒーの香りが充満していた。
内藤の部屋の居間は広々としていたが、窓はベランダに繋がっている大窓の一つしかない。
そのため、換気が困難であった。それは彼の悩みの種の一つだった。

( ´ω`)「ツンは……これから、どうやって生きていくつもりなんだお」

('A`)「それは……そうね。とりあえず、自分がツンだと皆に説明するわ。
   きっとおかしな目で見られるでしょうけど、ドクオの分まで私は生きないと……」

( ´ω`)「……じゃあ、ツンはあくまでツンとして生きるのかお」

('A`)「そうよ」

きっぱりとツンは言い切った。
如何なる苦難があろうとも、友人のためにも生きる事が自分の宿命だと考えていた。

だが内藤の表情はやはり冴えなかった。





 


39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:49 ID:aCCrZRnY0


( ´ω`)「僕は、反対だお」







40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:51 ID:aCCrZRnY0
('A`)「……えっ?」

ツンは驚いて、内藤の顔を見返した。
当然内藤も応援してくれるものだと、彼女は信じて疑っていなかった。

('A`)「どうして……? じゃあ、ブーンは私にどう生きてほしいの?」

( ´ω`)「僕は……ツンにはツンとしてじゃなく、ドクオとして生きてほしいお」

内藤は力なく答えた。
ツンは一瞬ぴくりと肩を震わせたが、すぐに聞き手に回った。
内藤の声には全く生気が込められていない。

( ´ω`)「誰にもこの秘密は喋らないでほしいお。
      僕は君の事をドクオとしてしか見られないお」

('A`)「そんな……! それじゃあ、私たちの関係はどうなるのよ!」

( ´ω`)「もう無理だお。恋人として見る事なんて出来ないお。
      たとえ心がツンだとしても、外見はドクオだお。そんな風には捉えられないお」

内藤は覇気のない声で続けた。

( ´ω`)「僕は君とは友人としてやり直したいお。
      ドクオは僕の一番の親友だったお。ドクオまで失いたくないんだお」





41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:53 ID:aCCrZRnY0
内藤は迷っていた。人知れず悩んでいた。
ツンが真実を公にするつもりである事は、入院中の彼女の話し振りから薄々感付いていた。

彼は一度はツンの死を受け入れていた。
忘れようとさえした。
どんなに悲しくても、愛しくても、
彼女の事を引きずっていたって辛いだけだと、内藤は考えていたからだ。

けれども彼女は生きていた。
容姿は変わったが、それでも生きていた。
そのせいでますます内藤は困惑していたのだ。

死んだ筈の人間に再会しても、ただ頭の中が混沌とするだけ。
その上、彼女は今ドクオの姿をしている。
もうツンは女ではない。体の上では男なのだ。
それなのにツンとして見るなんて事は、内藤にはどうしても出来なかった。

内藤が下した決断は、ドクオとしてなら見られるかもしれないという事だった。
通夜に出席した時から、内藤の中でツンはもう過ぎ去った思い出になっていたのだ。


( ´ω`)「……だから、ツンにはドクオとして生きてほしいんだお」


それは、内藤が初めてツンに言った我が儘だった。





 


44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:55 ID:aCCrZRnY0
('A`)「そんなの……そんなのあんたのエゴじゃない!」

ツンは思わず声を荒げてしまった。

('A`)「私の人生なんか、どうでもいいって言うの!?」

( ´ω`)「そんな事は思っていないお」

「ただ」、と内藤は付け加える。


( ´ω`)「よく考えれば分かるお。
      その姿でツンとして生きるなんて出来ない事ぐらい、君だって分かる筈だお」


内藤は諦めていたのだ。
どんなにツンが望んだとしても、性別の違いは何よりも大きな壁である。
それは、決して乗り越えられないほどに。





45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 20:57 ID:aCCrZRnY0


( ´ω`)「もう君は……昔の君じゃないんだお」


('A`)「そんな……ブーン……」



ツンは絶句して、心の中で悲嘆した。

内藤の言っている事ぐらい、彼女自身も頭の片隅では密かに理解していた。
それでも、どんな困難にも挫けないと彼女は決めていた。
だが、恋人だった内藤にまでこうも単刀直入に言われた事で、ツンは心が折れてしまった。





46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:00 ID:aCCrZRnY0
( ´ω`)「ドクオ」


('A`)「っ……!」


自分を「ドクオ」と呼ばれた事に、ツンはショックを受けた。
「ああ、もう彼は自分をツンとして見ていないのだ」と、確信する決め手にもなった。


( ´ω`)「……私じゃなくて、俺って言ってほしいお」

('A`)「…………」

( ´ω`)「それに……僕の事をブーンじゃなくて、内藤と呼んでほしいお」


頷くしかなかった。
ツンは自分がまだ生きているのだと思っていた。

だが実際は、そう思っていたのは彼女だけで、
恋人である内藤でさえも、ツンは亡くなったものとして受け止めていたのだ。





 


48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:02 ID:aCCrZRnY0


('A`)「……分かったよ、内藤」



しばらくの沈黙の末、ツンはドクオの口調を真似た。

たどたどしい言葉遣い。
「内藤」と口にした時、ツンは自分の中で何かが壊れてしまったような音を聴いた。


この日、ツンという人間はもう一度死んだ。





49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:04 ID:aCCrZRnY0



翌日からツンはドクオとしての人生を歩み始めた。
そこには多くの障害があった。

まず第一に戸惑った事は、何よりも男女の人体構造の違い。
最初の頃は、トイレやシャワーに行く毎にツンはパニックになっていた。
ただそれも一週間もすれば大丈夫になるのだから、慣れというのは怖いものだ。

それよりも、男性らしい仕草を覚える事の方が難関だった。
内藤の指導の甲斐あってそれは解消されたが、
そうして内藤に男としての振る舞い方を教えられる度に、ツンは寂しさを覚えたのだった。

また、人格はツンであるのだが、脳や身体はドクオのものであるため、
持っている能力自体はドクオのままであり、その感覚の差異にも彼女は苦戦した。


ドクオは生前一人暮らしをしていた。
彼は内藤よりもほんの少しだけ町の中心部に近い地域に住んでいた。

当然ツンもそこで暮らす事になった。
しかし、彼女は生まれて此の方、実家住まいしかした事がなかった。
幸いにもツンは料理始め家事全般が得意であったため、
孤独さえ我慢すれば、生活に関して支障はあまりなかった。





50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:06 ID:aCCrZRnY0
もっとも、すぐにドクオとしての生活に馴染んだ訳ではない。


('A`)「ここが、ドクオの部屋……」

ツンはドクオの部屋を見た事がなかった。
初めてそれを目にしたとき、軽い驚きを覚えた。

ドクオの部屋は、一人暮らしの男が住んでいたとは思えないほど整頓されていた。
単純に、置かれてある物が少ないだけとも言える。
必要最小限の家具しかない、黒と白を基調にしたシンプルな色使いの空間。
ツンの家とは大違いだった。

ツンが唯一目を惹かれたのは、メタルラックにずらりと並べられた大量の書籍だった。
ドクオは見かけによらず読書家であった。

そこにあった一冊を手に取ると、ちょうど真ん中辺りのページに栞が挟まれていた。

('A`)「ドクオ……これ全部読み切れなかったのかな……」

ツンは彼の無念を知り、身に沁みてドクオの死を実感した。

その日から、彼女はドクオが最後まで読めなかったであろう本の数々を読み始めた。
果たせなかったドクオの望みを、少しでも叶えてあげたいと思ったからだ。





51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:08 ID:aCCrZRnY0
もう一つ、変えなくてはならない事があった。


( ^ω^)「ドクオ、君は配置転換の願い出をした方がいいお」

('A`)「えー、どうしてだよ」

( ^ω^)「今からじゃ機械の扱い方を覚えられないお。
      それにもし一から学ぼうとしたら、上司や同僚に怪しまれちゃうお」


ツンにそう勧めた理由はそれだけではない。
内藤は毎日ツンと出会う事に息苦しさを覚えていた。
友人として付き合いたいと言ったものの、彼は気まずさを感じずにはいられなかった。

そのため、内藤は出来る事ならツンと離れたかったのだ。

('A`)「分かった、そうするよ」

内藤の本当の考えにツンは気付かなかった。
彼女は何も知らずに、精一杯ドクオを演じて承諾した。

ツンは「早ければ早いほどいい」と思い、内藤に言われた翌日に願書を提出した。
それはすぐに認可され、翌週から彼女はオフィスでの業務に配属された。
結果、ツンはまた一人になってしまった。





 


53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:11 ID:aCCrZRnY0
ある晩、ツンは就寝前にベッドの中でミステリー小説を読み耽りながら、
「ドクオが望んでいた生き方とは、どんな生き方なのだろう」と考えた。


('A`)(ドクオとして生きるからには、ドクオの希望を叶えてあげないと……)


生前、ドクオは口癖のように「彼女が欲しい」と言っていた。
ならば、彼の代わりにその願いを叶える事が、残された自分の役目ではないか。
そうしなければ、天国のドクオも浮かばれないだろう。
ツンはそんな風に考えていた。

ツンもまた、そうする事で内藤を忘れられるかも知れないと思った。
もう自分は男なのだ。内藤を忘れる事が出来なければ、新しい人生を歩む事も出来ない。
そのためには、誰か女性と交際すれば早いのではないかとツンは閃いた。
計らずも両者の想いは一致していた。

('A`)(ドクオのためにも、ううん、自分のためにも頑張らなくちゃ)

切りのいい所で読書を切り上げると、ツンは固く決心しつつ、ライトを消して眠りに就いた。
この部屋でただ一つ、枕だけはツンが使っていた物だった。


この先、自分にはどんな苦境が待ち受けているのだろうか。
それは彼女にも分からなかった。





54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:15 ID:aCCrZRnY0



( ^ω^)「えぇ……はい……はい、分かりましたお。それでは」

受話器を置き、内藤は肩を揉みつつぐったりしながらソファに腰掛けた。
テレビでは、あれから二ヶ月以上経つと言うのに、まだあの事故に関するニュースをやっていた。
その大半が遺族の訴訟問題についてだった。

内藤の元には毎日のようにツンの父親から電話が掛かってきていた。
ツンの両親は被害者の会に参加している。
すなわち、彼らも訴訟を起こしている人間の一部だった。
会合が行われる度に、彼はツンと深い関係にあった内藤に逐一報告をしていた。

幼少の頃から内藤とツンは家族ぐるみの付き合いをしていたため、
お互いの両親の事はよく知っていた。

ツンの父親は厳格な人物だった。また、責任感が人一倍強くリーダーシップに富んでいた。
被害者の会でも、中心に立って活動していると内藤は聞いている。

ただ、ツンの母親は未だに立ち直っていない。
挨拶に行った時、彼女が記憶よりも随分と小さくなっていた事に内藤は衝撃を受けた。
悲しみに眩れてあまり食事を取れていないのか、ひどくやつれていたのだ。

だが、内藤には彼らに隠している事があった。姿は違えど、ツンはまだ生きているのだ。





55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:18 ID:aCCrZRnY0
一方、ドクオの両親は以前と何ら変わりない生活を送っていた。

内藤はドクオの両親とはあまり接点がない。
高校時代、ドクオの家に遊びに行った時ぐらいしか顔を見た事がなかった。
大人になってからは全く会っていなかった。
お見舞いの際に、一度だけ鉢合わせた事があるぐらいだ。

荒巻からドクオが生きていると聞いて、彼らは嬉し涙を溢れさせながら喜んでいた。
一時的な記憶喪失という嘘も、何一つ疑わずに信じていた。
恐らくは、ドクオの生還という奇跡が彼らの視界を曇らせていたのだろう。


( ´ω`)(違うんだお……死んだのは、ドクオの方なんだお……)


内藤は真実を口に出来ない事にもどかしさを覚えていた。
亡くなったのはドクオの方なのだ。
息子の死を永遠に知らずに生きるだなんて、あまりにも悲しすぎると内藤は思った。


ツンの両親とドクオの両親。
かたや娘の生存を知らず、かたや息子の死亡を知らない。
どちらの方が幸せであるかなど、内藤には分かる由もなかった。





56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:19 ID:aCCrZRnY0
内藤自身も時々分からなくなる事があった。

自分はツンを失ったのか、失っていないのか。

ツンは死んだものだと考えていたが、
それでもやはり、彼女と出会う度に気に掛かって仕様がなかったのだ。

何とかして忘れようと彼は努めた。
友人として付き合う事でさえ、ぎくしゃくして上手くはいかなかった。
「ドクオはツンである」という事が、内藤の脳裏にこびり付いて離れなかった。

自然と忘れようとしても土台無理な話だ。内藤もその事は重々承知だった。
時間は何も解決してくれない。


( ´ω`)(誰か、他に恋人を作れば忘れられるかお)


その考えはツンのものとまるっきり同じだった。
内藤とツンは共に、お互いを忘れるため他の異性と付き合おうと思案していたのだ。
「忘れるため」だなんて、何と儚く、胸が詰まるような理由だろうか。


もうこの時から、二人のすれ違いは始まっていたのかも知れない。





57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:22 ID:aCCrZRnY0



ツンがドクオとして生き始めてから数ヶ月が過ぎた。
あの日見た桜は、彼女の知らないうちにもう葉桜になってしまっている。


('A`)「えっ、同窓会?」

(´・ω・`) 『いや、そんな大したものじゃないよ。ちょっと集まろうって事になってさ……』


電話の主はショボンだった。
彼は高校時代の同級生であり、内藤とドクオ、そしてツンとも仲が良かった。

ショボンは人付き合いが良かった。
輪の中心にいるような事はないが、誰とでも分け隔てなく接せられる気さくな男だった。

そんな彼が突然、ツンに電話をよこしてきたのだ。

(´・ω・`)『えぇと、何人かは帰ってきてるしさ。こういうのもいいんじゃないかと思って』

ショボンは都会の大学に進学し、卒業後は地元の大手企業に就職していた。
彼のようなケースはそう珍しい事ではない。
同様に生まれ故郷に戻ってきた同級生は何人もいた。それはツンも風の噂で聞いていた。





58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:24 ID:aCCrZRnY0
('A`)「えーと、それブ……あっ、いや、内藤にも伝えてあるのか?」

(´・ω・`)『まだだけど……そうだ、ドクオは内藤と同じ会社に勤めてるんだよね?
     良かったら、ドクオが直接伝えてもらうと助かるんだけど』

('A`)『……いや、いいよ。ごめん、ショボンから伝えておいて』

(´・ω・`)『分かった、そうするよ』

何故だか分からないが、ツンにはそうする事が憚られた。
距離を置きたかったのかも知れないと、後になって彼女は思い返した。


暫くは雑談が続いた。

おかしな事を口走らないようツンは警戒した。
ショボンはドクオとは旧知の仲なのだから、尚更である。
自分の知らないドクオとショボンの間だけでの事は話しようがなかったが、
「事故の後遺症で、まだ記憶があやふやになっている」と説明して、何とか納得してもらった。

あの転落事故の事はショボンも知っていた。
あれだけ大々的に報道されていたのだから、当然だ。

ツンは慎重に言葉を選びながら、緊張の糸を切らさずに会話を繋げていった。





 


60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:26 ID:aCCrZRnY0
(´・ω・`)『うーん、それにしても……』

受話器越しに、ショボンの迷っているような声が聞こえてくる。

('A`)「何?」

(´・ω・`)『何と言うか、ドクオ、話し方変わったよね。昔とは違う感じだ』

(;'A`)「いや、それは、その……」


――――こいつ、鋭い。
ツンは内心冷やりとしながら、無理やりな理由をこじつけて言い訳をした。


('A`)「そりゃあ、四年以上も経てばそのぐらい変わるさ」

(´・ω・`)『そうだよね。うん、そりゃそうだ。
     外見だって、多少なりとも変わるだろうしね。ごめんごめん』

(;'A`)(……特に意味はない、わよね……)


ショボンが一言口にする度に、ツンの心臓は飛び出しそうになった。





61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:28 ID:aCCrZRnY0
そして週末、約束の日が訪れた。
ショボンが予約した店は、中心街にある小さな居酒屋。
前もって予約せずとも席には付けるだろうが、彼は念のために準備を済ませておいたのだ。


(´・ω・`)「それじゃ、乾杯!」

( ^ω^)(*゚ー゚)「「「「かんぱーい!」」」」('A` )('、`*川


ショボンの音頭を合図に、内藤たちはビールの入った中ジョッキをかちんと鳴らした。

集まったのは五人。いずれも高校時代の同級生だ。

内藤の隣に座った可愛らしい女性はしぃと言った。
容姿から何まで女性的な魅力に溢れ、それでいて少女のようなあどけなさも兼ね備えていた。
学生の頃からそれは変わっていなかった。
男子から絶大な人気を誇り、競争が激しかった事を内藤はよく記憶している。

もう一人の背の高い女性はペニサスと言う。
男勝りで、竹を割ったような性格をしていた。また、女性にしてはかなり背か高い。
当時から男子のグループにに混じって、ずけずけと物怖じする事無く会話を交わしていた。





62以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:30 ID:aCCrZRnY0
そして週末、約束の日が訪れた。
ショボンが予約した店は、中心街にある小さな居酒屋。
前もって予約せずとも席には付けるだろうが、彼は念のために準備を済ませておいたのだ。


(´・ω・`)「それじゃ、乾杯!」

( ^ω^)(*゚ー゚)「「「「かんぱーい!」」」」('A` )('、`*川


ショボンの音頭を合図に、内藤たちはビールの入った中ジョッキをかちんと鳴らした。

集まったのは五人。いずれも高校時代の同級生だ。

内藤の隣に座った可愛らしい女性はしぃと言った。
容姿から何まで女性的な魅力に溢れ、それでいて少女のようなあどけなさも兼ね備えていた。
学生の頃からそれは変わっていなかった。
男子から絶大な人気を誇り、競争が激しかった事を内藤はよく記憶している。

もう一人の背の高い女性はペニサスと言う。
男勝りで、竹を割ったような性格をしていた。また、女性にしてはかなり背か高い。
当時から男子のグループにに混じって、ずけずけと物怖じする事無く会話を交わしていた。





 


64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:32 ID:aCCrZRnY0
(´・ω・`)「そう言えば……しぃ、ギコと別れたんだって?」

(*゚ー゚)「あっ……うん、そうだよ」

( ^ω^)「それは初耳だお」

内藤が二杯目に注文したウーロンハイのグラスを傾ける。

( ^ω^)「せっかく一緒の大学にまで行ったのに、どうしてだお?」

(*゚ー゚)「ギコ、こっちに帰りたくなかったんだって。
    私はね、働くならこの町でって決めてたから、それで……。
    んと、こういうの価値観の違いって言うのかな? よく分かんないけどね」

別れを悔やむ様子もなく、しぃは時折首をひねりながら言った。
内藤にはもう未練が無いように聞こえた。
ただ、ほんの少しだけ彼女の目が寂しげに見えた。それは気のせいだろうか。

('、`*川「ギコも勿体無い事するわねぇ。あんなに猛アピールして付き合えるようになったのに」

(´・ω・`)「ペニサスはどうなんだい? 浮いた噂の一つも聞かないけど」

('、`*川「どうせ私は負け犬ですよー。悪かったわね」





 


66作者[]:07/10/01 21:34 ID:7yaxVY8CO
ごめん、ちょっと、トイレタイム




67作者[]:07/10/01 21:42 ID:7yaxVY8CO
トイレからほしゅ




68以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:47 ID:aCCrZRnY0
お待たせしました。間を空けてしまってすみません
続きを投下します




69以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:50 ID:aCCrZRnY0
彼らのちょっとした同窓会は、お酒が入ると一気に盛り上がった。
内藤は久々の再会に顔をほころばせていた。
ツンはあまり積極的には会話に入っていかなかったが、それでも懐かしさに安らぎを覚えていた。

閉店時間が近づき、ラストオーダーを済ませた後。
宴も最終盤に差し掛かった中で、ペニサスがぽつりと漏らした。

('、`*川「本当なら……ここにツンも呼びたかったな……」

('A`)「っ…………」

一瞬、ツンは動揺した。

(´・ω・`)「うん、そうだね……それが唯一残念な事だ」

ツンが――正しくはドクオだが――死んだ事は皆が知っていた。
ペニサスがすんと鼻を啜り、瞳を潤ませながら語りを続ける。

('、`*川「どうして……どうしてツンが死ななくちゃいけなかったの!
     ツンが何か悪い事をしたっていうの!? してないでしょ!
     それなのに……こんなの、酷過ぎるわ……!」





70以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:52 ID:aCCrZRnY0
ガン、と勢いよくグラスをテーブルに叩きつけた。
カシスオレンジの注がれたそれを握り締める手が、ぷるぷると小刻みに揺れ動いている。
グラスの側面に付着した水滴が、ぴちゃり、とペニサスの目元に飛び散った。

彼女は感傷的になっていた。
それも当たり前の事だ。友人の死を悼まない人間など、いる筈がない。

数分の間、ペニサスは慟哭した。
それが収まると、静寂が五人を支配した。
永遠に終わる事のない夜を過ごしているかのように、ひどく重苦しかった。


(*゚ー゚)「……ホントだよ……」


やがてしぃが口を開き、沈黙を破った。
彼女にも想う所があったのだ。

この時から既に、彼女は涙声になっていた。

(*;ー;)「卒業以来会ってなかったから、ツンの顔を見るのをずっと楽しみにしてた。
     帰ってきたら、ツンに一杯、一杯話す事があったのに……。
     ……だけど、もう会えないんだよね……」





71以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:53 ID:aCCrZRnY0
しぃの涙が頬を伝う。
ペニサスもそれに釣られて、ぐっと堪えていた涙腺がとうとう緩んでしまった。

その悲哀な光景を直視できないのか、ショボンは俯いて何やら考え込んでいた。
もしかしたら、涙を堪えているのかも知れないと内藤は思った。
痛ましかった。
内藤は、彼らを慰めたい気持ちで一杯だった。


('A`)「…………」


ツンは黙っていた。
心臓を圧迫されて、声を発せられずに喉を震わせている。
「違うの、ここにいるの」と言いたいのに、言う事の出来ないジレンマに苦しんでいた。

自分がどれほど愛されていたか。どれほど死を惜しまれているか。

友人たちの悲しみようを見るだけで、その度合が痛いほどに、惨いほどに伝わってくる。
それを想うだけで、ツンは胸が張り裂けそうになった。





72以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:56 ID:aCCrZRnY0
(*うー゚)「……内藤くんは」

(;^ω^)「おっ?」

不意に話を振られ、内藤は一瞬狼狽してしまった。

(*゚ー゚)「内藤くんは、もう悲しくないの?」

内藤はしぃの質問にどきりとした。
彼はこの空気の中で、どんな顔をしてよいのか分からず、強張った表情を張り付かせていたのだ。
手にしていた割り箸をそっと置き、困っているかのような調子で内藤は語り始めた。

( ^ω^)「……そんな事ないお。僕が一番、悲しんでいるお……。
      だけどそれは……ツンがああなってしまったのは……もう仕方のない事なんだお」

内藤の台詞は途切れ途切れになっていた。葛藤しているようだった。

( ^ω^)「でも、何でそんな事を聞くんだお?」

(*゚ー゚)「だって、内藤くん、ずっと一緒にいたツンが死んじゃったのに妙に落ち着いているなって……。
    ……ううん、そうだよね、内藤君が一番辛い筈だよね……ごめん、変な事言っちゃって」

しぃの切なげな声を聞いて、内藤は冷たい鉛を飲み込んだような気分になった。
ツンはやはり、黙っていた。





73以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 21:58 ID:aCCrZRnY0
居酒屋からの帰り道、内藤とツンは途中まで並んで歩いた。
そこに会話は無かった。二人口を閉ざしたまま、ただ道なりに進んでいるだけだった。

夜空には殆ど星が見られなかった。
工業で栄えた町なので、空気があまり良くないせいであろう。
幽かに見える光は、今にも消え入ってしまいそうに、ちかちかと朧げに瞬いていた。


( ^ω^)「……ツン」

別れ間際になって、ようやく内藤は口を開いた。
彼がツンの事を本当の名前で呼ぶのは、相当久しぶりであった。
( ^ω^)「僕は、恋人を作ろうと思ってるお」

ツンは表情を変えなかった。


( ´ω`)「理由は……正直に言うお、君を忘れるためだお。
      ドクオとして見たくても、どうしてもツンだと意識してしまうんだお。
      ……苦しいんだお。このまま君を忘却しないで生きられる自信がないんだお
      ごめんだお。自分でも凄く酷い事を言っているのは分かってるお……本当にごめんだお」


内藤は頭を深々と下げた。
彼は、ツンが自分の申し出をすんなりと承知してくれるなんて事は期待していなかった。





74以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 22:00 ID:aCCrZRnY0



('A`)「……分かった」







75以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 22:02 ID:aCCrZRnY0
ツンが返答した。ツンとしてではなく、あくまでドクオの口調で。
あっさりと了解を得られたのが予想外だったのか、内藤は呆気に取られてしまった。

( ^ω^)「……えっ?」

('A`)「内藤がそう言うのなら、俺は見守るだけだ。それが親友だろ?」

ツンは分かっていた。苦悩しているのは自分だけじゃなく、内藤もであると。
それに、彼女自身も内藤との思い出を忘れようと思っていた。

今の自分に出来るのは、
自分が内藤の人生において枷にならないようにする事だけだと、ツンは考えていた。

何も内藤を嫌いになった訳ではない。
ただ今後の内藤の未来を案ずる上で、本当に彼の事を想うのなら、
その幸せを願うだけだと、内藤さえ良ければそれでいいと、健気にもそう思っていたのだ。

だが、内藤にはどこか無理しているように感じられた。


('A`)「俺、応援するよ」

( ^ω^)「ツ――――ドクオ、ありがとうだお……」





 


77以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 22:04 ID:aCCrZRnY0



月日は流れ、季節が移り変わる頃。


( ^ω^)「ドクオ、僕はしぃにアタックしてみるお」


内藤はツンにそう話した。
あれからも五人で集まり、交流を続けるうちに内藤は彼女に興味を持ったのだ。

もっとも、本当の理由はそんな事ではなかった。
内藤は職場の都合上、異性との出会いが殆どなかった。
彼の勤める工場には男しかいない。
そのため、彼が接点を持てる事の出来る女性は限られているのだ。

内藤の身近にいる女性はしぃぐらいしかいない。だから彼女にアプローチを掛けていた。
それならば、どうしてペニサスには向かわなかったのかと言うと、
あの後、彼女がショボンといい感じになっていると人づてに聞いたからだ。

別に誰でも良かったという訳ではない。
けれども、それは焦り過ぎのように見えた。少なくとも、ツンにはそう思えた。





78以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 22:07 ID:aCCrZRnY0
一方、ツンはツンで恋人探しに奔走していた。

こちらはあまり上手くいっていなかった。
彼女自身は女心を分かっているつもりだったが、
いざ男性側の立場になってみると、どうしてよいか分からず歯噛みするばかりだった。

その上、イマイチぱっとしない容姿のせいか、女性の側から声を掛けられる事も少なかった。

ツンがツンであった頃は、彼女は自分のルックスに自信を持っていた。
内藤という存在があったため無視していたが、同僚からは憧れに似た眼差しを浴びていた。

それが今では違う。

(;'A`)(ドクオ……辛い人生を送っていたのね)

ツンは今になって、やっとドクオの気持ちが分かったような気がした。


('A`)「あー、もう誰でもいいや。好きになってくれるんなら」


ある日ふと漏らした言葉。
それがまるでドクオ自身が言ったかのようである事に、本人は気が付いていなかった。
そのぐらい、ツンは自棄になっていた。
思った通りに事を運べず、苛立ちを覚えていたのだ。





79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 22:08 ID:aCCrZRnY0
そうして、彼らが違った道を歩み出してから早一年が過ぎた。

涼やかな風が舞う秋のある日。
内藤とツンはいつものようにショボンたちと飲みに行っていた。
その帰りの事だ。内藤はその日、ツンとではなくショボンとペニサスと共に帰宅した。


(*^ω^)「うぃー、僕はですお……まだ酔ってないですおー……ひっく」

('、`*川「はいはい、分かったからしっかり歩きましょうねー」

(´・ω・`)「ペニサス、右肩を頼むよ」

('、`*川「了解。ほら、しゃんと立ちなさい」

(*^ω^)「あうー……まだ酔いが足りませんお……うぃー」


彼は仕事で少々ミスをしてしまい、その憂さ晴らしのつもりなのか、いつもよりも酒量が増えていた。
案の定、泥酔して二人に抱えられて帰る事になったのだ。
そのせいで、お開きの時間が普段よりも早まってしまっていた。


残されたのはしぃと、ツンだけだった。





80以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 22:10 ID:aCCrZRnY0
(*゚ー゚)「どうする? お店変えよっか?」

('A`)「んーそうだな、違うとこに行くか」


時間の余った彼女らは、駅近くの地下にある小洒落たバーで飲み直す事にした。

言葉遣いにさえ気をつければ特に会話に支障はなかった。
ツンは旧友との談笑が楽しくて仕方がなかった。たとえ、昔とは姿が違えども。

ツンはXYZを、しぃはミリオン・ダラーを頼んだ。
ツンはあまりカクテルの種類には詳しくなかったので、しぃに勧められるままに注文した。
彼女曰く、これが一番無難らしい。

カラカラとシェイカーが振られた後、シェリーグラスに注がれたのは、
透き通っているようにも、濁っているようにも見える、美しい白色の液体だった。
一口飲むと、レモンの爽やかな酸味が鼻から抜けるように広がった。
美味しいお酒だと、ツンは思った。


('A`)「内藤がお前に惚れてるって、薄々感付いてるだろ?
   わ――――俺が言うのも何だけど、あいついい奴だから、きっと悪くはしないと思う」

(*゚ー゚)「うん、嫌じゃないんだけどね……」

ツンは内藤の事を話した。しぃに彼の良さをさりげなく伝えようとしていたのだ。
けれど話題を振っても、曖昧な返事しか返ってこなかった。





 


82以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 22:13 ID:aCCrZRnY0
「どうして」とツンは尋ねた。

(*゚ー゚)「それはね……うん、ちょっと、ね」

やはりしぃははっきりと答えてくれない。
彼女が手にしているグラスの中の、深い赤がゆらりと揺れる。
カクテルを少し口に含んだあと、しぃは一度顔を下げて親指の爪を軽く噛んだ。


(*゚ー゚)「……それより、何でドクオくんがそんな事を聞くの?」


しぃに反撃され、ツンは呼吸が止まるような思いをしたた。

('A`)「……それは……その、ツンを忘れさせてやりたいんだ。
   内藤の哀しそうな顔を見たくないんだ……。
   ……ほら、そのぐらいしか俺に出来る事ってないからさ。はは」

ツンは無理くりに笑い声を添えた。嘘臭いと自身でも思った。
内藤を応援したいと想う気持ちは本当だ。
なのに、その事を考えるだけで胸が苦しくなった。どこかで自分を偽っているからだろうか。

('A`)(……ブーンを忘れるって、決めてたのに……)

ツンは自己嫌悪に陥った。





83以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 22:16 ID:aCCrZRnY0
店を出て、ツンとしぃの二人は他愛も無い雑談をした。
二人の家は全く違う方角にある。
ひとたび歩き出せば、もうそれは「さよなら」を意味する事になる。

運ばれてきた冷たい風に、ツンは縮み上がってぶるっと身震いした。
それもその筈だ。もう冬はすぐそこまで来ているのだ。
あまりにも時の流れが早過ぎて、ツンは季節の変わり目を感じ取れていなかった。


('A`)「じゃあ、また今度」

ツンは手を振り、別れを告げようとした。

(*゚ー゚)「……待って」

('A`)「うわっ、と?」

ツンは服の袖を掴まれた。踏み出した足が、虚しく空を切って元の位置に戻る。

(*゚ー゚)「少しだけ、ドクオくんに言いたい事があるの。
    ……それに、その話を聞いてくれたら、
    どうして私が、内藤くんの誘いに乗り気じゃないのかも分かると思う」

一呼吸置き、しぃは告げた。


(*゚ー゚)「……私は、ドクオくんの事が好きなの」





 


85以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 22:18 ID:aCCrZRnY0
瞬間、ツンは何が何だか分からなくなった。

('A`)「俺の事が……好き……?」

(*゚ー゚)「うん、そうよ」

しぃが微笑みながら言った。
天使のようだった。だがツンからしてみれば、悪魔のように見えた。

(*゚ー゚)「ドクオくん、久しぶりに会ったら見違えるほど明るくなってた。
    何て言うか、人が変わったって言うのかな。
    昔はあまりポジティブじゃなかったのに、今は凄く前向きで、素敵だなって思ったんだ」

(;'A`)(本当に人が変わってるからなんだけどね……)

(*゚ー゚)「だから……ドクオくんのそういう所、好きになっちゃった」

('A`)「ああ……うん……」

ツンは思い煩っていた。
「好きになってくれるなら誰でもいい」と言ったのは、他ならぬ彼女自身である。
そして奇跡的にも自分を好きと言ってくれる女性は現れた。
だがそれは、よりにもよって内藤が好意を寄せていたしぃであった。





86以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 22:20 ID:aCCrZRnY0
('A`)「……ごめん」


悩んだ挙句、ツンはそう答えた。
しぃの目を見る事なく、ただじっと下を向いて、掻き消えそうな声でしぃの告白を断った。
彼女は内藤を裏切りたくはなかったのだ。

(*゚ー゚)「……どうして……」

しぃは我が耳を疑った。驚いたような、怒ったような顔をしている。

(;゚ー゚)「ねぇ、どうして!」

しぃはまさか拒否されるとは思っていなかった。
彼女は可憐であると同時に、したたかだった。純真なようで計算高い女だった。
これまでに、微笑むだけで多くの男を虜にしてきた。
当然、今回も成功すると思っていた。まして相手はドクオ、一発で落とせると踏んでいた。
だが結果は、ご覧の通りである。

(;゚ー゚)「どうして……駄目なの……?」

('A`)「それは……」

ツンはしぃの顔を見つめた。それだけで、胸が熱くなった。
数秒ほど口籠って、口の中に溜まった生唾を飲み込んだ後、その続きを述べた。





87以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 22:22 ID:aCCrZRnY0



('A`)「俺……他に好きな人がいるから……」







103以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 22:55 ID:aCCrZRnY0
おお、規制解除されました!
本当にありがとうございます。何とか続きを投下できそうです

どうか最後までお付き合いいただけると幸いです





 


106以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 22:57 ID:aCCrZRnY0
本音だった。
内藤の願望のために、彼女は自分の願望を犠牲にしたのだ。

('A`)「……ごめん、俺には頷く事は出来ないよ」

(*゚ー゚)「…………」

押し潰されそうなほど重たい空気が流れた。
ツンはこの場から早く離れたかった。けれど、自分からは言い出しにくかった。

(*゚ー゚)「……はは、ふられちゃった」

('A`)「ごめん、本当にごめん……」

(*゚ー゚)「ううん、もういいの。私の方こそ変な事言っちゃってごめんね。
    うん、そうだよね……好きな人がいるんならしょうがないよね……」

しぃが自嘲するように呟いた。
独り言のつもりなのだろうが、ツンの耳にはそれが痛いほどに伝わってきた。

(*゚ー゚)「それじゃ……さよなら、ドクオくん」

そう言い残して、しぃは振り返る事なく早足で帰っていった。
最後の台詞が、ツンにはひどく冷たく感じられた。心の弱い場所に突き刺さるようだった。
しぃの背中が徐々に遠くなる。
ツンは友人さえも失ってしまったような気になった。





 


109以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:00 ID:aCCrZRnY0



時が経ち、やがて春になった。あの事故から、二年近くが経過した。

しかし、まだ遺族たちによる訴訟運動は続いている。
事故の傷跡はまだ完全には癒えていなかった。
そして、これからも完治する事はないだろう。


内藤とツンにも一つの大きな変化があった。
正確には、内藤に「だけ」だが。


(*^ω^)「やったお! しぃにOKを貰えたお!」


内藤は年明けにしぃに告白をした。
しぃもそれに応じて、晴れて二人は恋人同士となったのだった。
「初詣で買った恋愛成就のお守りのおかげだ」と、内藤ははしゃぎながら話していた。





110以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:02 ID:aCCrZRnY0
ただ、ツンはしぃの態度を不思議に思っていた。
そんなにすぐに、自分の気持ちを切り替えられるものなのか。

ひょっとすると、しぃは自暴自棄になっていたのかも知れないとツンは考えた。
だが、真実は分かりようがない。
他人の心など、正確に読み切る事など出来る筈がないのだ。

ならば直接に聞けば良いのだろうが、
あれ以降、疎遠とまではいかないが、ツンとしぃの間には若干の距離が開いてしまった。
皆と一緒に顔を合わせて飲む事はあったが、二人きりで話す事は皆無だった。


とは言え、思案し続けても意味がない。
そんな事よりも、現実に内藤に起きた幸福の方が、よっぽど重要な事であるのは自明だった。


('A`)「やったな、内藤」


ツンも内藤の成功を祝福した。
けれど、何故か素直に喜ぶ事が出来なかった。





 


113以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:05 ID:aCCrZRnY0
桜舞う季節の日の事。内藤はしぃを何度目かのデートに誘った。
場所は住宅街付近にある公園。
定番中の定番だが、彼のデートコースには必ずと言っていいほどこの場所が組み込まれていた。

初めてツンをデートに誘った時も、内藤はこの公園を選択していた。


( ^ω^)「いやー、いつ見ても清々しい噴水だお」

(*゚ー゚)「本当だね。こうして改めて見てみると、凄く綺麗だね」


ベンチに腰掛け、二人はこの公園のシンボルである噴水を眺めていた。
内藤はこの噴水が大好きだった。
水が勢いよく空に向かって噴き上がる様が、勇壮でいて、この上なく優雅に見えるからだ。
陽光を反射して、それはキラリと眩いぐらいに輝いている。
そんな噴水が大好きだった。

公園は市民の憩いの場になっていた。
彼ら以外にも、多くの人々がここでゆるやかな時間を過ごしていた。

元気に走り回る子供もいれば、一人落ち着いて読書に耽る社会人もいる。
日向ぼっこをする老人も、その隣で眠る猫だって、全てが公園という空間に溶け込んでいた。





 


115以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:07 ID:aCCrZRnY0
(*゚ー゚)「そう言えば……内藤くんとツンが初めてデートした場所って、ここなんだよね」

( ^ω^)「おっ? そうだったかお?」

(*゚ー゚)「そうだよー。学校で言い触らして、ツンにこっぴどく叱られてたじゃない」

内藤は意識してこの場所を選んだわけではない。
理由はただ単に、「何となく」だった。
それでもここに来てしまうと言う事は、それだけ自分の中で大切な場所になっているからだろう。

そうやって考え込んでいると、内藤はある事が少々気に掛かった。
無意識だったとは言え、この場所に来てしまっている。
ツンとの思い出が詰まったこの公園にだ。
それは、未だに自分がツンを忘れられていないという事の証明ではないのか。

(;^ω^)「あっ、もしかして嫌だったかお?」

(*゚ー゚)「ううん、全然そんな事ないよ」

(;^ω^)「でも、何だかまだツンを引きずってるみたいで……。
      ごめんだお、気を悪くしたなら謝るお」

内藤は自分の無神経さが嫌になった。
たとえ、それが思わざる事であったとしても。





116以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:09 ID:aCCrZRnY0
ふと、内藤は察した。
自分では忘れようとしているつもりだったが、
傍目からすれば、こんな具合に、まだツンを吹っ切れていないかのように見えている。

そんな不自然なまでに衝動的だった自分の告白に、どうしてしぃは首を縦に振ったのか。
その事を、彼は初めて疑問に思ったのだ。


(*゚ー゚)「……内藤くん?」

(;^ω^)「おぉっ!?」

唐突に声を掛けられたので、内藤は必要以上に驚いてしまった。

(*゚ー゚)「やっぱり……ツンの事が今でも忘れられないのかな?」

(;^ω^)「いや、そんな事は……」

(*゚ー゚)「嘘だよ。だって、顔にそう書いてあるもん」

顔も見ていないのにしぃはそう言った。
彼女は俯いて、迷っているようにくるくると指を回していた。


(*゚ー゚)「それに……私だって内藤くんに嘘を吐いてるから……」





120以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:12 ID:aCCrZRnY0
(*゚ー゚)「私、内藤くんの事が好きだった訳じゃないんだ」

(;^ω^)「っ……!?」

しぃの突然の告白に、内藤は強い衝撃を受けた。
全身に雷鳴轟く稲妻が走ったかのような、そんな感覚に襲われた。

(*゚ー゚)「あの時……内藤くんに告白された時、私は失恋して自暴自棄になってたの。
    だから、誰でも良かった。優しくしてくれるなら、その人に甘えたかった」

(;^ω^)「失恋って……誰にだお?」

内藤が恐る恐る尋ねる。返ってくる答えも知らずに。

(*゚ー゚)「ドクオくん」

(;゚ω゚)「っっっ!?」

彼は先程よりも更に強い衝撃を受けた。
こめかみから首筋に伝わる冷や汗の存在を明確に感じ取った。
いつもの癖で、首筋を掻いていたからだ。

(*゚ー゚)「他に好きな人がいるからって……ふられちゃった……」





 


122以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:15 ID:aCCrZRnY0
内藤は怒る気になれなかった。そんな資格などなかった。

彼もしぃを愛していたわけではなかったのだ。

ツンを忘れるために、その捌け口として彼女に接近していただけだったのだ。
「惹かれている」とばかり思っていた感情も、ただ忘れようと努めている自分に酔っていただけだった。
今になって、ようやく内藤は気が付いた。

それよりも、内藤はツンがしぃの告白を断った事に気がいった。
そんな事は有り得ないと、内藤は思っていた。


('A`)『あー、もう誰でもいいや。好きになってくれるんなら』


ある日ツンが漏らした言葉。
これは、彼女が内藤に対して言った言葉だった。
こんな風に語っていたツンが、どうして人の好意を無下にする事があったのか。

内藤に浮かんだ答えは一つだけだった。


( ^ω^)(ツンは……僕のために……・?)






127以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:18 ID:aCCrZRnY0
そうとしか彼には考えられなかった。
ツンが自分を想って身を引いてくれたのだと、譲ってくれたのだと。

内藤は目頭が熱くなった。
「ドクオとして生きろ」だの、「君を忘れたい」だの、あれだけ酷い事を言ったというのに、
それでもまだツンが自分の事を想ってくれているのかと思うと、内藤は切なくなってしまった。

そんな風に想ってくれるツンの事が、内藤は愛しくて堪らなかった。

絶対に忘れられないと、頭では分かっていた筈なのに、随分と紆余曲折を経てしまった。


(*゚ー゚)「それに、分かってたよ。私じゃツンの代わりになれない事ぐらい」

しぃは話を続けた。

(*゚ー゚)「内藤くんも、私の事が好きじゃなかったでしょ?」

( ^ω^)「そんな事……」

(*゚ー゚)「ふふ、内藤くんって本当に嘘が下手ね。
    内藤くん、ツンの事を忘れようと思って私にアタックしたんでしょ?
    だけど凄く無理していて、見ていて辛かったもん……」

内藤は図星過ぎて声を出せなかった。口をぎゅっと真一文字に結んでいた。





133以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:20 ID:aCCrZRnY0
(*゚ー゚)「でも私は、そんな弱い内藤くんを自分の都合で利用しようとしてた。
    だから悪いのは、全部こっち。謝らなきゃいけないのは私の方」

しぃは座ったまま内藤の方を向き、頭を軽く下げた。

(*゚ー゚)「内藤くん、ごめんね」

(;^ω^)「いやいや、こちらの方こそ謝らなくちゃいけないお」

(*゚ー゚)「ううん、もういいの。だってもう、終わっちゃった事でしょ?」


しぃはびっくりするほど平然としていた。
内藤にも分かっていた。

二人の恋人ごっこはお終いだと。


(*゚ー゚)「じゃあね、内藤くん」

しぃはベンチから立ち上がり、微笑みながら言った。
彼女のその晴れやかな立ち振る舞いが、内藤には自分よりもずっと大人に見えた。

(*゚ー゚)「たった数か月だったけど、楽しかったよ」





137以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:22 ID:aCCrZRnY0



その日、内藤は仕事で帰宅が遅くなっていた。

先月までは、残業さえなければ午後六時までには確実に帰路につく事が出来ていた。
ところが、今月から製造ラインの変更に伴って作業時間が延長されたのだ。
会社側の身勝手さが浮き彫りになっている話である。


( ´ω`)「うう……疲れたお……」


彼が疲れていたのは労働だけが理由ではない。
歪になってしまった人間関係に、内藤は疲労困憊していた。

暗い夜道を進んでいると、街灯の薄明かりに照らされた一つの人影が内藤の目に映った。
地味な体格、地味な顔立ち。何の特徴も無い男の影。
どこをどう見ても、ドクオの姿だった。

すなわち、そこに立っていたのはツンであった。





138以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:25 ID:aCCrZRnY0
ツンは内藤の帰りを待ち続けていた。
直接彼に尋ねたい事があったのだ。


('A`)「聞いたよ。内藤……しぃと別れたんだって」


感情を押し殺した声でツンが詰め寄る。
内藤からすればあまり触れてほしくない話題だ。
彼は辟易として、つい押し黙ってしまった。


('A`)「なぁ……どうしてだ? 何で別れたりなんかしたんだ?」


内藤は答えなかった。理由など言えるはずがなかった。

「君を忘れられなかったから」などと、口にする事など到底出来そうになかった。
あまりにも身勝手で、利己的な考え方であるからだ。





 


140以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:27 ID:aCCrZRnY0
ツンが更に内藤へと近づく。
手を伸ばせば、触れられるまでの距離に。


('A`)「何で……何でよっ!」


ツンは一気に感情を露にした。

彼女は途方も無いやり切れなさを覚えていた。


内藤のためを思って、自分は一歩身を引いたというのに、
こんなにも早々と終焉を迎えただなんて、自分の行為を無駄にされたような気になっていたからだ。


それは裏切られたような気持ちにも似ていた。





146以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:30 ID:aCCrZRnY0
彼女はただ内藤に幸せになってほしかっただけなのだ。
その願いすら、叶わなかった。


('A`)「あんなに私を忘れたいって言ってたくせに、どうしてすぐに別れたりなんかしたのよ!
   ……ねぇ、答えてよ! ブーン、答えて!」


ツンは情緒が不安定になっていた。何を言っているのか自分でも分からなくなっていた。
いつの間にか口調が戻ってしまっている事にも、全く気が付かなかった。
彼女が内藤の事をブーンと呼ぶのはいつ以来だろう。

内藤はツンの目を正視できなかった。

聞こえてくる低い声は、ドクオのもの。
だが伝わってくるメッセージは、紛う事無くツンのもの。

今眼前で自分を咎めているのはドクオなんかではない。外見は違っていても、ツンなのだ。
内藤にはドクオの顔の影に、ツンの顔が見えたような気がした。

内藤は胸が張り裂けそうになった。
あれほど遠回りしたというのに、彼は結局はツンの事を忘れられていなかった。

まだ愛していたのだ。





 


148以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:33 ID:aCCrZRnY0
ツンは内藤の肩を掴んで、自分がしてきた事の虚しさに耐えかねて泣いた。

(;A;)「どうして……どうしてよ……」

内藤の胸を二、三度小突く。零れ落ちた涙の雫が、アスファルトに染み込んでいく。
ツンは二人の人生の無情さを呪った。

何もかも皮肉だった。

あの事故が起きなければ。
ツンとドクオの意識が入れ替わったりしなければ。
内藤がしぃを対象として選ばなければ。
しぃが好きになった相手がドクオの姿をしたツンでなければ。

幼い頃に、内藤とツンが出会っていなければ。


(;A;)「お願い……何か言ってよ……」

( ´ω`)「…………」


それでも内藤は口を閉ざしたままだった。
言葉にする事さえも、今の何も考えられなくなった彼には不可能だった。





 


151以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:36 ID:aCCrZRnY0
('A`)「……もういい……答えてくれないのなら、それでいい……」

目を伏せたまま、囁くようにツンが言った。
ツンは既に泣き止んでいた。
辛くなくなった訳ではない。何もかも馬鹿らしくなったのだ。
自分がいくら頑張っても、上手くいく事なんて一握りしか無いと彼女は悟ったのだ。

事実、ツンの願い事は達成されなかった。


('A`)「私、帰るから……」

( ´ω`)「うん……」

内藤がかろうじて捻り出した声。
声と呼べるかも怪しいほど、消えてしまいそうに小さな返事だった。
彼はそんな反応しか示せなかった。


('A`)「私は――――俺は、自分の幸せのために生きるから」


一度だけ内藤の顔を見て、名残惜しそうに下唇を噛むと、ツンは足早に去っていった。





 


153以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:38 ID:aCCrZRnY0



休日、内藤は一人公園に来ていた。
彼がツンに責められたのは、もう三週間以上前の話だ。


( ´ω`)「はぁ……」

内藤は留具の錆びた木製のベンチに腰掛け、膝の上に肘を付いて深い溜息を吐いた。
本当に幸せが逃げてしまいそうだった。


( ´ω`)(僕は……本当の意味でツンを失ってしまったお……)


内藤はあれ以来気落ちしていた。
自分を偽ったりなんかしなければ良かったと、この期に及んで後悔していた。
遅過ぎると、重々理解していながら。

内藤が見ている世界は、尽く色変わりしてしまっていた。
青く見えた空は、灰色がかっている。鮮やかな新緑は、色褪せてしまっている。
彼の目にはそう映っていたのだ。

ただ噴水だけは、いつまでも変わる事無く、壮麗な姿を誇っていた。





 


155以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:41 ID:aCCrZRnY0

(´・ω・`)「待たせたね、内藤……って、どうしたんだ。そんなしょげた顔をして」


ショボンが心配そうに声を掛けながら内藤の隣に座った。
内藤が彼を公園に呼んだのだ。これから自分はどうすべきなのかを、相談したかったのだ。


( ´ω`)「ショボン……僕はこの先、どうやって生きていけばいいんだお……」

(´・ω・`)「まだツンの事が吹っ切れていないのかい?
     悲しいのは僕もだけど、彼女が亡くなったのはもう二年以上も前の話だよ。
     それに……君は僕たちなんかよりもずっと平気でいられたじゃないか」

ショボンの言葉は純粋過ぎた。聞いていて、内藤は心苦しかった。

(´・ω・`)「彼女が死んですぐの時でさえ落ち着いていたから、大丈夫なものだと思っていたのに」

( ´ω`)「違うお……僕の中では生きていたんだお……。
      ……でも、自分の心の中にいたツンまで死んでしまったんだお……」

内藤が気力なく答える。
その瞳には、欠片も光が宿っていなかった。





 


158以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:44 ID:aCCrZRnY0
(´・ω・`)「うーん、よく分からないけど……君は焦燥とし過ぎていたのかも知れないな」

ショボンは一度乾いた唇を濡らして、またすぐに話し始めた。

(´・ω・`)「忘れようと思う事は、それだけ過去を気に掛けてる事になるんだよ。
     だからある時、『忘れられない』と気付いた時に、想いが強い分だけ辛くなってしまう。
     君はツンを失った事を素直に受け入れて、その上で生きるべきだったんだ。
     現実は、決して無かった事には出来ないんだから」

( ´ω`)「…………」

内藤は「その通りだ」と思った。

彼はあまりにも急ぎ過ぎていた。
深慮する事もせず、気持ちだけが先行してしまっていた。
あれだけ大切に想っていたツンを忘れる事など、到底無理だと言うのに。
それに気付いた時には、すでに内藤の心は深い悲しみに覆われていたのだ。


(´・ω・`)「君は前を見るべきだった。通り過ぎた過去なんかじゃなくてね」


ショボンは内藤の肩をぽんと叩きながら言った。
あたかも、秘密を見透しているかのように。

内藤には、ショボンが全ての真理を知っているかのように見えていた。





 


160以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:47 ID:aCCrZRnY0
(´・ω・`)「ごめんよ、偉そうに言って。
     内藤が一番悲しんでいる筈なのに……」

( ´ω`)「ああ……うん……ありがとうだお。少しだけ楽になったような気がするお」

内藤は目の焦点を合わす事が出来なかった。
彼が何を見ているのか、他者からは見当もつかない。


(´・ω・`)「それじゃ、ペニサスに頼まれてた用事があるから……僕はこの辺で帰るよ」


ショボンがゆっくりと腰を上げる。
内藤は、視線を少しも動かさずに返答した。

( ´ω`)「分かったお……」

(´・ω・`)「またね」

告げて、ショボンは閑散とした公園を後にした。
彼の目はじっと前を見据えていた。背筋を伸ばして歩く姿が、妙に様になっていた。





164以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:51 ID:aCCrZRnY0
残された内藤は、ただ一人、ぼんやりと霞みがかった空を眺めていた。



( ´ω`)「ああ……ああ……」



「現実は、決して無かった事には出来ない」。
ショボンが口にした一節が、彼の頭の中で何度も何度も反響していた。


小鳥が囀っている。
何を想いながら、歌を唄い続けているのだろうか。

何を抱えて、内藤は生きていくのだろうか。





 


166以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:55 ID:aCCrZRnY0



内藤はツンとは会わなくなった。
ショボンたちに飲みに誘われても、断る事が多くなった。

家と工場を往復するだけの毎日。
休日には、一人で公園に行って、空模様を虚ろな目で観察していた。
彼はそれ以外の事はする気にはなれなかった。


その代わり、ツンには大きな変化があった。
会社の上司に勧められるままにお見合いをしたのだ。
何故あっさりと承諾したのか。
もしかしたら、彼女も自暴自棄になっていたのかも知れない。

ただ、当時の心境はともかく、当の本人はある意味で好機だと思っていた。
ドクオが生前果たせなかった夢を叶えるための、最大の機会だと目論んでいた。

相手は上司の姪っ子だった。名をデレと言った。
そして、ツンも驚くほどデレとは気が合った。彼女は自分の事を純真に好いてくれたのだ。
恐らくは、心が女性同士である事も原因していたのだろう。

縁談は、あっという間にまとまった。





 


168以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/01 23:58 ID:aCCrZRnY0

ζ(゚ー゚*ζ「ドックン、式には誰を呼ぶ予定なの?」

('A`)「んー、そうだな……職場の人たちと、高校の時の友人かな」


二人はツンの、もといドクオのマンションで、招待状の送り先のリストを作っていた。
デレは楽しそうにツンに喋り掛けている。

ζ(゚ー゚*ζ「ふーん……あっ、そうだ!
      ドックンの卒業アルバム、見せてくれないかな?」

('A`)「ああ、いいけど」

ツンはやをら立ちあがって軽く肩を回すと、
クローゼットにしまってあった卒業アルバムを取り出し、それをデレに差し出した。

ボロボロになってしまった表紙を捲る。

ζ(゚ー゚*ζ「へー、色んな人がいるんだね……私の学校は生徒数少なかったからな……。
      ……くすっ、この人、ドックンといっつも一緒に写ってるねw」

デレが修学旅行の様子を撮った写真を指差す。

その先にあったのは、内藤だった。





173以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/02 00:05 ID:NSm9iM1r0
ツンは写真に目を奪われた。
その中には当然、ツンと内藤が写っている写真もあった。


修学旅行には京都に行った。

最初は、神社や仏閣ばかりで面白くないと予想していた。
だが実際に行ってみると、予測は大間違いであったと考え直させられた。

観光地に行ったことが楽しかったわけではない。

そばに内藤がいたからなのだ。

自分の隣で微笑んでくれる。
それだけで、彼女は多くの元気を貰えた。

そんな内藤の事が大好きだった。


ツンの人生は、いつだって、内藤と共に合った。

だけど、今はもう――――。






 


175以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/02 00:08 ID:NSm9iM1r0
ツンは写真の中で笑う内藤の顔を見て、胸がきゅっと締め付けられるような思いをした。

ζ(゚ー゚*ζ「この人の名前、何て言うのかな?」

('A`)「……内藤って言うんだ、そいつ」

ζ(゚ー゚*ζ「あっ、もしかして仲の良い友達?」

('A`)「あー……うん、そうだよ」

ツンは投げやりになって答えた。頷く事にあまり乗り気ではなかった。
昔は、内藤とはそれ以上の関係だったのだから。


ζ(゚ー゚*ζ「内藤さんも、もちろん披露宴に呼ぶんだよね?」


事情も何も知らないで、デレが好奇心に満ちた目で質問する。
その様子はまるで無垢な子供のようで、悪意が無い分ツンにはひどく酷に感じられた。

('A`)「うん……そのつもり」

ζ(^ー^*ζ「楽しみだな、ドックンの親友に会うの!」

デレが無邪気に微笑む。
ツンも無理して笑おうとした。それが笑顔になっていたかどうかは、自分では判断できなかった。





 


177以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/02 00:10 ID:NSm9iM1r0



ガタン、と金属と金属がぶつかる音が響いた。
缶コーヒーが落ちてきた音だ。
内藤はそれを取り出し口から拾い上げ、プルタブを引き上げて一口だけ啜る。
機械の調子が悪いのか、ホットの割にあまり熱くはなかった。

彼は社員食堂から帰る途中だった。

食堂は、内藤が務めている工場から若干離れた所にそびえ立つ本社ビルの中にある。
昼休みになると内藤はそこで昼食を取っていた。それはいつもの習慣であった。

そのビルの玄関外にある自販機の前で、内藤は一息入れていた。

休憩時間も残り三十分を切った頃。
内藤がコーヒーを半分ほど飲んだところで、一人のとある人物が彼の前に姿を現した。


ツンだった。


内藤は少しだけ身動ぎした。
そして、すぐに平静を装ってツンに話し掛けた。





 


179以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/02 00:14 ID:NSm9iM1r0
( ^ω^)「ドクオ……久しぶりだお。元気だったかお?」

('A`)「ああ、変わりないよ」

内藤からすればさりげない挨拶のつもりだった。
それでもやはり、ぎこちない空気が流れる。
内藤は息苦しさを覚えていた。それはツンも同じだった。

しかし、ツンにはどうしても内藤に言わなくてはならない事があった。


('A`)「……あのさ、内藤に話しておく事があるんだ」

( ^ω^)「…………」

返事もせずに、ただ内藤は息を飲んだ。
ツンは中々切り出せなかった。口にする事が憚られた。
このまま何も言わずに逃げ出せられたならば、それはどんなに楽な事か。

残酷にも時間はあまり残されていなかった。
意を決して、ツンは内藤に伝えるべき事柄を打ち明けた。


('A`)「俺……結婚するんだ」





 


183以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/02 00:16 ID:NSm9iM1r0
閊えていたモノを吐き出すように、ツンが言い放った。

( ^ω^)「……そうかお」

内藤は、心臓に冷たく鋭いナイフが刺さったような気分がした。

けれども、思ったよりは驚愕しなかった。
不思議と悲しくなかったのだ。
「いつか、こんな風にツンに言われる日が来るだろう」と、彼には何となく分かっていたからだ。

「ああ、もう自分はツンを完全に失ってしまったのだ」と、内藤は心の中で呟いた。
悲しくはないが、途方も無く寂しかった。


('A`)「……うん、それだけなんだ、話ってのは」

ツンもまた、二人はこれで終わりだと悟っていた。
彼女が告げた事は、内藤とツンが歩んできた過去との決別とも言えた。


( ^ω^)「おめでとうだお、ドクオ」


内藤は心の底から祝福する事が出来なかった。
綺麗な笑顔を、作れなかった。





184以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/02 00:19 ID:NSm9iM1r0
('A`)「それじゃ……俺、そろそろ仕事に戻らないといけないから……」

ツンが思い出したように腕時計に目を遣る。
内藤は彼女を見てはいなかった。
どこか遠くの、靄に包まれた不明瞭な景色を見つめていた。
それは彼の心象風景であった。


('A`)「……さよなら」


そう言い残して、ツンは建物の中へと入っていった。

特に他意は無かったのかも知れない。
だけども内藤には、その言葉がツンのものに聞こえて仕方がなかった。

内藤は缶の飲み口に唇を付けた。
ホットコーヒーだった筈なのに、すっかり冷めてしまっていた。




            『ξ゚⊿゚)ξは秘密なようです』    終







189 ◆zS3MCsRvy2 []:07/10/02 00:22 ID:NSm9iM1r0

これにて『ξ゚⊿゚)ξは秘密なようです』はおしまいです

途中gdgdになりましたが、
読者の方々の多くの支援のおかげで、なんとか無事完結させられました
本当に感謝しています


読んでいただき、ありがとうございました!


イメージソングのようなもの
http://www.youtube.com/watch?v=C2eUCfREAbw





190以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/02 00:22 ID:qwzrMuQPO
乙、最後物足りないな




191以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/02 00:23 ID:ZsqFwhdD0
しうん




192以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/02 00:23 ID:YCWaxfC1O
乙!

だが、これは続編が必要だなw




196 ◆zS3MCsRvy2 []:07/10/02 00:29 ID:NSm9iM1r0
あとがきのようなもの


この作品を書いたのは、某ブログで東野圭吾さんの「秘密」の記事を見たことがきっかけです
「あーこれ好きだったなー」と思って、モチーフにしてみました

ぶっちゃけ現行のガス抜きです
プロットも立てず、思いつくままに三日程度で一気に書き上げました
書いていて楽しかったです

一応テーマだけ定めました
テーマは「皮肉」です。世の中上手くいくことなんてほとんどないん、という事で


「最後物足りない!」と思うのも当然でしょうが、
まあこういう結末が現実ですよと言う事で。ハッピーエンドです、これでも





197 ◆zS3MCsRvy2 []:07/10/02 00:31 ID:NSm9iM1r0
何だよ「ほとんどないん」って……


「ほとんどない」です、すみません



何かあればどうぞ





198以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/02 00:35 ID:zA12edI00

結局ブーンは結婚式行かなかったのか?




 


201以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/02 00:37 ID:YCWaxfC1O
作者のスペックについてkwsk




202以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/02 00:39 ID:BFm2nyYvO
容疑者Xいいよね




203 ◆zS3MCsRvy2 []:07/10/02 00:42 ID:NSm9iM1r0
>>198
自分の思い描いている作品の未来では、内藤は出席しました
一応、「友人」ですから
ただ、物凄い辛いだろうなーとは思います


>>201
「( ^ω^)は霊探偵になったようです」
「(´・ω・`)はメールを打つようです」
「( ^ω^)と夏の日のようです」
「( ^ω^)は帰るようです」
「('A`)はまるで屍のようです」
「( ^ω^)と夏の日の思い出のようです」
「( ^ω^)はピザを届けるようです」

まとめがあるのはこれだけです、たぶん


>>202
石神かっけえええええ





204以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage]:07/10/02 00:45 ID:wpYDN3+r0
何か知ってるの色々あってワロタwwww
ピザのまとめpls
あれ、途中までしか読んでないんだよな




207 ◆zS3MCsRvy2 []:07/10/02 00:50 ID:NSm9iM1r0
>>204
http://nagixnagi.blog38.fc2.com/blog-entry-446.html
http://boonnovel.g.hatena.ne.jp/bbs/68


>>205
前作も読んでいただけて嬉しいです
あと性別は秘密です





208以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/02 00:51 ID:KAR6oNQe0

てっきりデレはツンに似てて、結婚式にでたブーンは・・・
という風に展開していくかと思った。




 


211以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/02 00:53 ID:YCWaxfC1O
って作品じゃなくて性別とか聞きたかったのに~orz

もし、自分がこの続き書きたいって言ったら許可してくれますか?
いや、書きたいかも程度なんですが…




212 ◆zS3MCsRvy2 []:07/10/02 00:58 ID:NSm9iM1r0
>>211
プライベートみたいなのは全部秘密です
情報バラすの怖いお


続編ですが、できれば書かないでいただきたいです
これでこの作品はお終いですので

でも、気が変わったら自分で書くかも





213以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/02 01:00 ID:YCWaxfC1O
はい。了解しました。お疲れ様です♪




214以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/02 01:04 ID:ISngirPc0





217 ◆zS3MCsRvy2 []:07/10/02 01:21 ID:NSm9iM1r0

それじゃ、ありがとうございましたー

またいつかお会いしましょう





218以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/02 01:31 ID:TJ35w2nG0
おつかれさまです
よければまとめさせていただいてよろしいでしょうか?




219 ◆zS3MCsRvy2 []:07/10/02 01:36 ID:NSm9iM1r0
>>218
おお、ありがとうございます
そうしていただけると自分も嬉しいです。よろしくお願いします




220以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:07/10/02 01:38 ID:TJ35w2nG0
遅くまでお疲れ様です、ブーン速!というまとめブログです
合作の方もよきライバル、共同作者としてお互い高めあっていけたらな、と思います




221 ◆zS3MCsRvy2 []:07/10/02 01:43 ID:NSm9iM1r0
>>220
めろんさんでしたか。どうもありがとうございます
何気にブーン速さんにまとめてもらうのは初めてです
よろしくお願いしますね

合作・・・恩赦もらえるかなぁ・・・





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[ 2007/10/02 00:00 ] ξ゚⊿゚)ξ | TB(0) | CM(0)
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